気まぐれCINEMAレビュー BackNumber
1999〜2005年

【マ行】

過去の「気まぐれCINEMAレビュー」をまとめました。
満足度は★で、がっかり度は×で評価しました。
五十音順にタイトルが並んでいます。
データベースとしてご活用下さい。

【過去の年間BEST3】
BackNumber CINE LATINO (2007年〜
中南米映画 日本未公開版
2007年〜
【ア】【イ】【ウ】【エ】【オ】  【カ】【キ】【ク】【ケ】【コ】  【サ】【シ】【ス】【セ】【ソ】  【タ】【チ】【ツ】【テ】【ト】 
【ナ】【ニ】【ヌ】【ネ】【ノ】  【ハ】【ヒ】【フ】【ヘ】【ホ】  【マ】【ミ】【ム】【メ】【モ】 
【ヤ】【ユ】【ヨ】  【ラ】【リ】【ル】【レ】【ロ】  【ワ】【タイトル不明】
1999〜2005年
【ア】【イ】【ウ】【エ】【オ】 【カ】【キ】【ク】【ケ】【コ】  【サ】【シ】【ス】【セ】【ソ】  【タ】【チ】【ツ】【テ】【ト】 
【ナ】【ニ】【ヌ】【ネ】【ノ】  【ハ】【ヒ】【フ】【ヘ】【ホ】  【マ】【ミ】【ム】【メ】【モ】 【ヤ】【ユ】【ヨ】 
【ラ】【リ】【ル】【レ】【ロ】  【ワ】【タイトル不明】

【マ ma】

マグノリア ★★
ポール・トーマス・アンダーソン監督、トム・クローズ、ジュリアン・ムーア、ウィリアム・H・メイシー出演☆たくさんの出演者のオムニバスみたいな話がだんだんつながっていき、最後にはけっこう感動してしまう不思議な傑作だった。始めはたるくて、寝てしまったけど、話がまとまっていくラスト30分は見応えがあった。アルトマン監督の映画みたいだった。監督の才能を感じる映画。あやしげな自己啓発の教祖を演じたトム・クルーズは新境地開拓したという感じの迫真の演技だった。あと、人の良い刑事役の役者(ジョン・C・ライリー)がうまかった。老プロデューサーが死に行くシーンは「2001年宇宙の旅」とだぶった。 2001.1.3 参考CINEMA:「パンチドランク・ラブ」「ハード・エイト

マルコビッチの穴 ★★
スパイク・ジョーンズ監督、ジョン・キューザック、キャメロン・ディアス、ジョン・マルコビッチ出演
☆しがない人形師が、妻に言われて就職を決意。が、そこは、7階半という、天井が異常に低い階にあるオフィス。そこで穴を発見して中に入ってみると、有名俳優の脳の中に15分だけいられるという不思議な体験をする。そこで、一目ぼれした女に商売を持ち掛けるが、妻に謎の穴を教えたことで、人生が狂っていく。前半は、奇想天外なストーリーに笑いっぱなし。でも、後半は、妻と夫で、女をめぐる醜い争いに発展し、ちょっとトーンダウンした。もう1度見ると、また新しい発見があるかも。発想の奇抜さを堪能できた。2000.10.21

マルホランド・ドライブ ★★
デビッド・リンチ監督、ナオミ・ワッツ出演
☆身の危険を感じてハリウッドの豪邸に逃げ込んだ記憶喪失の女性が、そこに現れた若い女性の力を借りて自分の記憶を取り戻そうとする。こう書くとわかりやすい映画のように思えるが、説明をくわえる事はナンセンス。久々のリンチワールドを堪能できた。圧巻は突然迷い込んだ劇場で行われる不可思議な歌。キューブリックの「アイズ・ワイド・シャット」以来の悪夢体験ができた。参考CINEMA:「ストレイト・ストーリー

マーサの幸せレシピ BELLA MARTHA
サンドラ・ネットルベック監督、マルティナ・ゲデック,セルジオ・カステリット出演
☆仕事熱心で完璧主義の女性シェフが、突然の姉の死に遭遇し、姪の世話をすることに。姪とのやりとりのなかから、人に頼ったり、触れ合うことを覚え、愛情の大切さに気付いていく。
 潔癖症でギスギスしすぎるマーサの姿は、自分にもちょっと通じるところがあるので、感情移入できた。いい加減だけど陽気なイタリア男にはじめは反発してたんだけど、姪が彼にだけ心を開いているのをみて、自分の心を開き始める、っていう流れが自然に描かれていて、とてもよくできたヒューマンストーリーだった。2004.4.24

マイケル・コリンズ
ニール・ジョーダン監督、リーアム・ニーソン、エイダン・クイン、ジュリア・ロバーツ、アラン・リックマン、ステイーブン・レイ、イアン・ハート出演

レビューはCINEMAの監督たち(N・ジョーダン)へ

マイノリティ・レポート
スティーヴン・スピルバーグ監督、フィリップ・K・ディック原作、トム・クルーズ、 コリン・ファレル、サマンサ・モートン、マックス・フォン・シドー出演
☆2054年のワシントンDCでは、“プリコグ”と呼ばれる3人の予知能力者が未来に起こる犯罪を事前に察知し、事件の前に犯人を捕まえる、という画期的捜査が行われていた。捜査官のジョンは、ある日、自分が36時間以内に見ず知らずの人を殺害すると予知されたことを知る。追われる身となったジョンは、自らの容疑を晴らそうと奔走するのだが…。
 予知能力を使って犯罪を防ぐ、という発想にまず引き込まれた。さすがフィリップ・K・ディック。ジョンがなぜ人を殺そうとするか? 黒幕は誰?といった謎解きは、最初から読めるように構成されていたのがちょっと残念。でも、プリコグの能力が分かりづらいので、謎解きはお決まりにしたのかも。黒幕のマックス・フォン・シドーの存在感が抜群だった。 2003.12.1 参考CINEMA:「A.I.」「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」「ターミナル

マイ・ビッグ・ファット・ウェディング MY BIG FAT GREEK WEDDING
ジョエル・ズウィック監督、ニア・ヴァルダロス脚本・主演、ジョン・コーベット、マイケル・コンスタンティン(お父ちゃん)レイニー・カザン出演
☆ギリシャ系移民の2世である30歳の冴えない女性がコンサバ系アメリカ人男性と恋に落ち、親戚一同、大騒動になるカルチャーギャップ・コメディ。
 ギリシャ人って、派手好きで、家族思いで、スラブ民族だってことをはじめて知った。「オーパ!」って言い合えば、みんな友達。陽気だけど、よそ者嫌いっていう田舎臭さが、笑えた。どんな言葉でも、すべて「語源はギリシャ語」って言い張る“お父ちゃん”のキャラが最高だった。2004.2.7 参考CINEMA:「コニー&カーラ

マジェスティック THE MAJESTIC
フランク・ダラボン監督、ジム・キャリー、マーティン・ランドー、ローリー・ホールデン出演
☆ハリウッドで脚本家として活躍していた男が赤狩りの標的にされる。自暴自棄になった男は事故にあい、記憶を失って、小さな村にたどり着く。そこで、戦死したはずの若者と間違えられたことから、村人たちに生きる力を与えていく。
 「人間愛ってすばらしい!」と、正面からストレートに言われてる感じで、見ていて照れくさかった。でも、クライマックスの法廷シーンはやっぱり感動しちゃいました。2004.7.2 参考CINEMA:「グリーン・マイル」「コラテラル

マスター・アンド・コマンダー 
ピーター・ウィアー監督、ラッセル・クロウ、ポール・ベタニー、ビリー・ボイド出演
☆「ナポレオン率いるフランス軍に果敢に対決を挑むイギリス海軍の活躍を描いたヒーローもの」かと思ったら、まったく違い、船乗りたちのヒューマン・ストーリーに仕上がっていた。
 やっぱり、ピーター・ウィアーはキャラクター作りがうまい!勇敢な艦長をヒーロー扱いせず、自信満々な男が徐々に人間として成長していく姿が自然に描かれていた。とくに、艦長の親友でありながら、ガラパゴスの動物研究に夢中になる医者のキャラ&演技がGOOD!ポール・ベタニー助演男優賞にノミネートされてもよかったのにー。2004.3.26 参考:脇役(ポール・ベタニー

マッチスティック・メン MATCHSTICK MEN
リドリー・スコット監督、ニコラス・ケイジ、サム・ロックウェル、アリソン・ローマン出演
☆極度の潔癖症の詐欺師の前に、突然14歳の娘が現れ、翻弄される姿を描いた作品。映像美を追求してきたリドリー・スコットが今さらトライするような映画じゃないだろー、と突っ込みたくなる悲しいぐらいフツーの映画だった。
 設定は名作「ペーパームーン」の現代版といえるけど、出来はかなり劣っていた。
 ラストの大どんでんがえしも初めから予想がついたし。潔癖症のニコラスの姿はおかしかったのですが。。。残念賞。2004.6.6 参考CINEMA:「キングダム・オブ・ヘブン」「グラディエイター」「ブラックホーク・ダウン」 「ハンニバル

マトリックス
アンディ・ウォシャウスキー、ラリー・ウォシャウスキー(兄弟)監督、キアヌ・リーヴス、ローレンス・フィッシュバーン、キャリー=アン・モス出演
☆ハッカーの「ネオ」が、仮想現実の世界で悪に挑む。こんなに世界中で大ヒットしてるのに、まったく受け付けなかった。ゲーム世代にとっては面白い世界なんだろうけど、正直ついていけない。年取ったんだから仕方ないよね。無理に分かろうとするのはやめようと思います。2004.1.9

マン・オン・ザ・ムーン
ミロシュ・フォアマン監督、ジム・キャリー、ダニー・デビート、コートニー・ラブ出演☆奇抜なコメディアン、アンディ・カウフマンの半生を鋭くえぐった作品。ミロシュ・フォアマン節炸裂。ラリー・フリントに作りが似てた。やらせをショーにした最初の人。それが、ハンパじゃなくて、自分の死をヤラセショーにしたの?と思わせぶりなラストシーン。一番の皮肉は、ガンになって、フィリピンのサイババに治療を受けに行ったアンディがそのヤラセに気づいてしまうシーン。2000.11.3

マンデイ MONDAY
サブ監督、堤真一、松雪泰子ほか出演☆酔うと人が変わる人のいいサラリーマンが、ある葬式で死体の爆発現場に遭遇したことから人生を狂わしていくブラック・コメディ。ひょんなことから、銃で人を殺してしまい、酔った勢いで殺人を犯していく。私好みの話。けど、マイケル・ダグラスの「フォーリング・ダウン」のぱくりっぽいのが気になった。ラスト、夢か真か「銃なんてあるからいけない!」と演説するシーンはちょっと説教臭かったかなあ。サブ監督、好きだけど、やっぱり「ポストマン・ブルース」が一番好き。2001.2.18 参考CINEMA:「幸福の鐘」「ドライブ

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【ミ mi】

ミスティック・リバー  ★★
クリント・イーストウッド監督、デニス・ルヘイン原作、ショーン・ペン、ティム・ロビンス、ケビン・ベーコン、ローレンス・フィッシュバーン、トム・グイリー出演
☆少年時代の忌まわしい過去の傷を共有する3人の男の悲劇的な人生を描いたサスペンス。
 性的虐待を受けたトラウマから逃れられず日陰の人生を送るデイブを、ティム・ロビンスが見事に演じていた。ショーン・ペンが賞とるなら、ティムにもあげなきゃ人道的にあんまりじゃないの? 怯える姿が、ただただ不憫で泣けました。
 もちろん、娘を殺されるジミーを演じたショーン・ペンも文句なし。
 順風満帆な人生に見えるのだが、実はいろいろ背負っている。
そしてそれは、少年のときに友人デイブが連れて行かれるのをだまって見送るしかなかった、という負い目が少なからず関係しているのだ。
 鎧をつけないと生きられなかった複雑な心理の持ち主を、ペンは真に迫る演技で怪演していた。
 ジミーは、いつも怯えているデイブを見るたびに、何もできなかった自分が責められているような気になり、いっそのこと消えて欲しい、と思っていたのではないだろうか。
デイブは一生怯えて生きるぐらいなら死んだほうが本望だと思っていたのかもしれない。
 などと、見終わった後も、それぞれの心理状態を想像して暗い気持ちになった。
 結果的には、復讐が復讐を呼ぶ構図になっていて、後味の悪い映画ではあったが、アンチ・ハッピーエンド派としては納得のエンディング。
 イーストウッド監督は、自分が出演しないほうが深みのある映画が多い気がする。やっぱり自分を出すとついヒーローにしたくなるのでしょう。
 演技派をそろえたからこその成功作といえるだろう。(殺された娘のボーイフレンドを演じたトム・グイリーの初々しい演技にも注目!)2004.1.28 参考CINEMA:「スペース・カウボーイ」「ミリオンダラーベイビー」「ブラッド・ワーク」「目撃」「硫黄島からの手紙」「父親たちの星条旗」「ピアノ・ブルース

ミリオンダラー・ベイビー MILLION DOLLAR BABY
クリント・イーストウッド監督、クリント・イーストウッド、ヒラリー・スワンク、モーガン・フリーマン出演
☆ボクシングの老トレーナーと女性ボクサーの栄光と悲劇を描いたヒューマン・ストーリー。
 イーストウッドと元ボクサー役のフリーマンのやり取りが絶妙。お互い「お前のせいだ」などと年中ケチつけてるんだけど、お互いに信頼しあっていることが伝わってきた。台本のよさプラス役者のうまさ&存在感がないと、なかなかこの味のある関係は出せないだろうなあ。さすが!
 ただ、女ボクサーとトレーナーの師弟関係はいたって普通。ボクサーが倒れてからの苦しみも「みなさん、さようなら」や「海を飛ぶ夢」とテーマは同じだし、ちょっと見飽きた感じがした。
 とってもいい映画であることには違いないんだけど、文句なしのアカデミー受賞、とまでは正直思えなかった。2005.6.5 参考CINEMA:「スペース・カウボーイ」「ミスティック・リバー」「ブラッド・ワーク」「目撃」「硫黄島からの手紙」「父親たちの星条旗」「ピアノ・ブルース

ミリオンダラー・ホテル
ヴィム・ベンダース監督、ボノ原案、ミラ・ジョボビッチ、ジェレミー・デイビス、メル・ギブソン出演☆U2の音楽につきる。ジェレミー・デイビスは、ほんと、繊細少年が適役だよねえ。わきに徹するメル様の余裕のある演技もまた素敵。2002.2.24 参考CINEMA:「アメリカ 家族のいる風景」「ランド・オブ・プレンティ

ミート・ザ・ペアレンツ
ジェイ・ローチ監督、ロバート・デニーロ、ベン・スティラー出演☆恋人の家族に会いに行ったら、相手の父親は元CIAの堅物だった。で、さえない男が次々と失態をやらかすんだけど、ありきたりでつまんなかったな。2001.1.2

見知らぬ街へ
☆トルコからドイツに出稼ぎにきているホモの歌手が、親友が残した娘と娘の母親を捜して旅する。先々でトラブルに巻き込まれ、徐々に心の交流を深めていく。話はシンプルだがトルコの歌手というのが、新鮮。女の子がかわいーの。2000.10.29

ザ・ミッション 非情の掟 THE MISSION
ジョニー・トー監督、アンソニー・ウォン、フランシス・ン出演
☆何者かに命を狙われた香港マフィアのボスが、デブ、美容師、血の気の多い兄弟、若造の5人をボディーガードにつける。
 派手なドンパチと、スタイリッシュな映像が絡み合った洒落たアクション映画だった。5人の立ち位置が、ファッション雑誌の表紙のようにきまっていて面白かった。ラストの大どんでん返しも小気味良い。
 美容師役のアンソニーが「無問道」のときよりもデブだったのはちょっとがっかり。かたや「無問道2」の悪党役だったフランシスはいい味だしてた。「七人の侍」を意識して作られた映画らしい。昔の日本映画の影響力ってすごいのねー。2006.1.8 参考CINEMA:「PTU」「ブレイキング・ニュース」「エレクション 黒社会」

ミッション・トゥ・マーズ ×
ブライアン・デ・パルマ 監督、ゲイリー・シニーズ、ティム・ロビンス出演☆出演者&監督がいいので期待したら、がっくり。火星に新生物がいるという話で、「2001年宇宙の旅」みたいな話なんだけど、それが安っぽいの。まあ、飛行機の中で見たからっていうのもあるだろうけど。宇宙ものはやっぱり苦手。2000.7.26

みなさん、さようなら THE BARBARIAN INVASIONS
ドゥニ・アルカン監督、レミー・ジラール、ステファン・ルソー、マリ=ジョゼ・クローズ出演
☆ガンで余命わずかの大学教授と、家族、友人たちの最後のひとときをユーモアを交えて描いた感動作。死をどう迎えるのが幸せか、について考えさせられた。誰にでもいつかは訪れる死。私は、突然死のほうが後腐れなくていいと思ってたけど、この映画の主人公のように、愛する人たちに囲まれ、バカ話をしながら死んでいくのも幸せかも、と思った。哲学的な台詞が多いので、インテリ向きの映画。左翼の大学教授と、金ですべてを解決しようとする息子の関係が変にベタベタしてなくてよかった。ただ、ヨットに乗ってる娘のビデオレターはいらない気がした。2005.1.16

ミニミニ大作戦 THE ITALIAN JOB
F・ゲイリー・グレイ監督、マーク・ウォールバーグ、エドワード・ノートン、シャーリーズ・セロン、ジェイソン・ステイサム(注目!)、ドナルド・サザーランド出演
☆69年の同名作品のリメイク。盗っ人の天才チャーリーはイタリアのベニスで数十億円相当の金塊を強奪。だが、仲間の一人の裏切りで、ベテランの盗っ人が殺されてしまう。1年後、チャーリーたちは、殺された男の娘を仲間に加え、裏切り者から金塊を奪回しようとする。
 単純な話なんだけど盗み方が豪快!&盗っ人たちのキャラがユニーク。最近の強盗映画って複雑すぎて、話についていけないことが多いんだけど、これはリメイクということもあって、わかりやすくてテンポもよかった。
 美人女優とマーキーが出てるのに、盗む話に徹して、キスシーン一つなかったのも好感がもてた。2005.1.16

耳に残るは君の歌声
サリー・ポッター監督、クリスティーナ・リッチ、ジョニー・デップ、ケイト・ブランシェット、ジョン・タトゥーロ出演
☆ロシア系ユダヤ人ジプシーの娘として生まれた少女が、ナチから逃れるために難民となり、イギリスへたどりつく。踊り子となった少女は、ジプシーと触れ合ううちに、自分のルーツを受け入れるようになる。戦時下のヨーロッパを舞台に、ユダヤ人、ロシア人、イタリア人、ポーランド人といった人々が時代に翻弄される姿を象徴的に描いた作品。何かしら辛い事情を抱えながらも気丈に生きる人々の姿が美しかった。うまい役者を揃えてあるので、単調な展開でも飽きずに見られた。ただ、少女の父親がハリウッドの名プロデューサーになっていた、というラストはちょっといただけない。それまでの霞がかかったような映画のトーンを、いきなりくっきりはっきりオールカラーのハリウッド映画にしてしまった、そんな感じだった。

ミュージック・フロム・アナザー・ヘブン
チャーリー・ピータース監督、ジュード・ロウ出演☆親が親友同士で、お産を手伝って命をすくった末娘と再会し、初恋を実らせるロマンチックストーリー。等身大のジュードが見られる貴重な映画だけど、恋の相手があんまり魅力なくて残念。 2001.1.2

みんなのうた A MIGHTY WIND
クリストファー・ゲスト監督・出演、ボブ・バラバン、キャサリン・オハラ、ユージン・レヴィ
☆フォーク・グループの再結成を擬似ドキュメンタリー・タッチ描いたコメディ。インタビューして人物を語っていく手法をとった傑作といえばウディ・アレンの「カメレオンマン」が有名だけど、それと比べると、ちょっと面白みにかけた。
 たぶん、ちょっとしたセリフが面白いのだろうけど、それって字幕だと伝わりにくい。
相変わらずゲジゲジ眉毛のユージンはいい味だしてました。2005.2.4 参考CINEMA:「ドッグ・ショウ」 脇役(ユージン・レヴィ

壬生義士伝
滝田洋二郎監督、浅田次郎・原作、中井貴一、佐藤浩市、村田雄浩ほか出演
☆日本アカデミーをとったので見てみた。とてもよい映画。時代劇のお手本のような映画。役者もきちんと演技してる。でも、映画館で見たい映画じゃない。正月のスペシャル時代劇で十分。もしくは、日生劇場あたりでロングランする舞台向きな気がした。新鮮さも斬新さもなかったし、主演の2人以外は、たいしてうまいとも思えなかったし、やっぱり日本アカデミー賞には不信感を持たざるを得ない。2004.3.20

みんなの家
三谷幸喜監督、田中邦衛、唐沢利明、八木亜希子ほか出演
☆若い夫婦が新築する家のデザインを若いアーチストに依頼。だが、娘の新築を請け負った昔気質の父親とそのデザイナーの意見があわず、ことごとく衝突する。おもしろいんだけど、映画館では見たくないんだよねえ。さらにいえば、これは、32ミリフィルムではなく、ビデオ映像で見たい。つまり、お茶の間でみたい作品。三谷は尊敬してるんだけど、映画はやめて欲しい、というのが正直な感想。2002.4.20 参考CINEMA:「竜馬の妻とその夫とその愛人」「有頂天ホテル

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【ム mu】

ムーラン・ルージュ ★★
バズ・ラーマン監督、ニコール・キッドマン、ユアン・マクレガー出演☆20年代だいのフランス、ムーランルージュが舞台の楽しいけどちょっと悲しいミュージカル。80年代ポップスをアレンジしたミュージカル・ナンバーがサイコーに楽しかった。バズ・ラーマンの真骨頂。映画はやっぱり、総合アートだ。2001.11.23 

MUSA 武士
キム・ソンス監督、チョン・ウソン、チュ・ジンモ、アン・ソンギ、チャン・ツィイー出演
☆広大な砂漠で高麗と明、そして蒙古軍が熾烈な争いを繰り広げていた時代を舞台にした活劇。歴史的背景と人間関係を理解するまでちょっと時間がかかったが、後半はあつい男たちの同士愛にグイグイひきこまれた。
 男前チョン・ウソンはもちろんかっこいいんだが、私は、横暴で血の気の多い若き将軍(チュ・ジンモ)が、周りから反発され窮地に立ちながら成長していく姿にひかれた。
 脇のキャラやストーリー展開がちょっと「隠し砦の三悪人」に似てるとは思ったけど、しっかり色づけされてたので気にならず。槍の名手役のアン・ソンギは、さすが!の存在感でした。2005.10.23

息子のまなざし
ジャン=ピエール・ダルデンヌ、リュック・ダルデンヌ(兄弟)監督、オリヴィエ・グルメ、モルガン・マリンヌ出演
☆ベルギー映画。前評判がよかったせいかユーロスペースは大入り満席。期待したんだけど、かなり変わった映画だった。
職業訓練所で木工を教える教師は、ある生徒の名前を見て動揺し、その生徒の身辺をうろつき始める。
激しく動揺し、落ち着きなく動き回る様子をハンディカメラで首筋からしつこく映し出すその手法は斬新だと思った。が、正直、ちょっと飽きてしまった。
生徒を山奥の製材所に連れて行き、そこで「お前が殺したのは俺の息子だ」と告白したときの教師の気持ちを考えると、胸が苦しくなった。
たぶん、その時の気持ち次第で、復讐も考えていたのだろう。人間の心理描写は見事だった。
この監督、かなり粘着質な性格なんだろうなあ。やっぱり、腕のいい表現者には、さっぱりした人っていないのかもしれない。2004.1.11関連シネマ:「ロゼッタ」ある子供

息子の部屋
ナンニ・モレッティ監督・主演
☆裕福な家庭を襲った突然の不幸。若い息子の死に直面した父、母が苦悩し、なんとか立ち直っていくまでを静かに描いた秀作。ドラマチックな心の破綻はないのだが、息子の恋人だった女の子と悲しみを分かち合いたいと願う母の気持ちや、息子が死んだ日に自分を呼び付けた患者にあたってしまう父の心情がジワジワと伝わってきた。2002.9.22

ムッシュ・カステラの恋 THE TASTE OF OTHERS
アニエス・ジャウィ監督・脚本、アンヌ・アルヴァロ、ジャン=ピエール・バクリ出演
☆芸術とは縁のない生活を送っていた成金のカステラ社長が、英会話教師で舞台女優の女性に恋をし、それまで知らなかった芸術の世界に目覚めていく。
 カステラ社長と女優のプラトニックな恋愛模様よりも、二人のボディーガードとバーの女の会話や駆け引きが面白かった。
 動物と花柄が好きなカステラ社長の妻のキャラが笑えた。フランスっておしゃれなイメージが強いけど、庶民は日本と変わらず、ダサイ格好して、芸術なんて興味なく、テレビのメロドラマに夢中になっているんでしょう。フランス映画っぽくないところが好感が持てた。2004.6.5

ムトゥ 踊るマハラジャ
K・S・ラヴィクマール監督、ラジニカーント、ミーナ、サラットバーブ出演☆大ブレイクしたインド映画。「ボンベイ」が肌に合わなかったので期待してなかったけど、コメデイなので楽しめた。ミュージカルそのものに無理があるので、徹底的におバカにしたほうがいいね。
あと、スピード感がすごくて、ついのせられた。タミル人って南の方の人なのかな?やっぱり南インドに興味あります。1999.10.29 参考:インド旅日記

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【メ me】

女神が家にやってきた BRINGING DOWN THE HOUSE
アダム・シャンクマン監督、スティーヴ・マーティン、クイーン・ラティファ、ユージン・レヴィ出演
☆スティーブ・マーチンのコメディ、久々に見たけど変わらないねえ。永遠のワンパターン。でも、これがアメリカでは定番のコメディなんだろうね。クライマックスは、マーチンがラッパーに扮してクラブで踊るシーン。たぶんアメリカの観客はここでポップコーン食べながらバカ笑いするんだろう。けど、私的には、クイーン・ラティファと義理の妹の激しい殴り合いが一番笑えた。クイーン・ラティファに惚れちゃった弁護士役の俳優(ユージン・レヴィ)、最近よく出てるけどいつもおいしい役どころ。いい味だしてる。2004.10.31参考:脇役(ユージン・レヴィ

メキシカン
監督、ジュリア・ロバーツ、ブラット・ピット出演☆メキシコに幻の銃を探しに行く男と、けんかして一人でラスベガスへいって事件に巻き込まれる恋人。ビッグスターの共演が話題だったけど、二人のからみは30分ぐらいで、詐欺だ!って感じ。どっかでみた映画だったので、たぶんインディーズ映画のリメイクじゃないかな。そればっかりが気になってしまった。2001.3.27 in SF

めぐりあう時間たち
スティーブン・ダルドリー監督、ニコール・キッドマン、ジュリアン・ムーア、メリル・ストリープ、エド・ハリス、クレア・デインズ、ジョン・C・ライリー、ミランダ・リチャードソン出演
☆バージニア・ウルフの「ダロウェイ夫人」を軸に3つの時代の女性たちの時間が交錯する人間ドラマ。
それぞれの話に共通のキーワードは花とパーティー。そして、テーマは死と同性愛。
時代によって、向き合う死や同性愛の姿は違うのだが、三者三様それぞれに苦しんでいる。
苦しんで苦しんで「自殺」をしてしまったバージニアと、死にきれず誰よりも長く生きてしまった主婦、どちらの生き方が正しいかは誰にも決められない。
発作的な自殺は肯定したくないが、苦しんだ末に自ら死を選ぶ行為は、一つの生き方を全うしたと納得させる潔さがあった。
 余談であるが、エイズに苦しむかつての恋人を介護する女性を演じていたメリル・ストリープは、実生活でも恋人ジョン・カザールの最期をこうやって看取ったのだろうか、と想像してしまった。
(「ゴッドファーザーU」でアル・パチーノに殺された愚かな兄を演じた怪優ジョン・カザール。脳腫ようのため死去している。「ディアハンター」ではメリル・ストリープと共演した。)
それだけメリルの演技が真に迫っていたということだろう。
主演のニコールももちろんよかったけど、さすが貫禄があった。2003.6.6 参考CINEMA:「リトル・ダンサー

メメント
クリストファー・ノーラン監督 、ガイ・ピアース出演
☆近い過去をどんどん忘れてしまう記憶障害になった男が、妄想と回りの悪意によって精神に混乱をきたし、身を滅ぼしていく様を現在から過去へ逆送していく形で描いたクライムストーリー。構成が凝っていて理解するのが難しい筋書きなので、詳細は想像するしかないんだけど、記憶障害の怖さだけは伝わってきた。アルツハイマーもこんな感じなのかなあ。自分が今どこにいて何をしてきたかがわからなくなる恐ろしさは、想像したくない。自分の病気がある悲劇を産んだということを忘れるため、作り話をどんどんエスカレートさせてしまった男の気持ちは痛々しかった。ガイは七変化俳優だね。(ゲイ役も上手い! オススメ)あんまり特徴ないからどんな役でもできる。今後に期待したい。2002.6.9参考CINEMA:「インソムニア」

メリーに首ったけ
ファレリー兄弟監督、キャメロン・ディアス、ベン・スティラー、マット・ディロン出演
☆これぞアメリカンコメディ。かわいいキャメロンをみんな大好きになる。だけど、彼女はちゃんと男を見る目を持っていて、智恵遅れの弟がほんとに好きになった子を選ぶ、というお決まりのハッピーエンド。中味はほんとおばか映画なんだけど、役者をそろえるとそれなりのラブコメになるんだよね。あとは、ジンマシンが出るストーカー男とか、隣りのババアとか、ちょっとした脇役がおもしろい。何も考えず笑えました。1999.10.16 参考CINEMA:「愛しのローズマリー」

メン・イン・ブラック2
バリー・ゾネンフェルド監督、ウィル・スミス、トミー・リー・ジョーンズ出演
☆エイリアンキャラは前作と変わらずお見事。アクション&キャラクターは楽しめた。それだけで十分でしょ2002.8.16

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【モ mo】

モーターサイクルモーターサイクル・ダイアリーズ THE MOTORCYCLE DIARIES ★★★
ウォルター・サレス監督、ロバート・レッドフォード製作総指揮、エルネスト・チェ・ゲバラ原作、ガエル・ガルシア・ベルナル,ロドリゴ・デ・ラ・セルナ出演
☆南米の革命家チェ・ゲバラの南米大陸縦断日記をもとに映画化したロード・ムービー。
 革命家というと、荒々しいイメージがあるが、実際のチェ・ゲバラは、裕福で、愛情豊かな家族に恵まれ、医学を志し、上流階級の娘と恋をし、喘息に苦しんでいた、という生い立ちが意外だった。だからこそ、出世欲とかに煩わされることなく、革命に対して純粋になれたのかもしれない。大自然を走りぬけながら、貧しい夫婦や農民たち、ハンセン病患者の苦しみに触れ、理想的社会を築くことに目覚めていったのだろう。
ガエル君が初々しいゲバラ役を好演していた。ロードムービーはやっぱり、大きなスクリーンで見るにかぎる。2004.10.22 参考CINEMA:「ビハインド・ザ・サン」「セントラル・ステーション」「TERRA ESTRANGEIRA」

目撃
クリント・イーストウッド監督・出演、ジーン・ハックマン、エド・ハリス出演☆名うての宝石泥棒が、侵入した屋敷で大統領のレイプ&殺人事件を目撃してしまう濡れ衣を着せられて追われる身となった男は、正義のために大統領と対峙する。渋いサスペンス。イーストウッド、格好良すぎ。2001.6.9 参考CINEMA:「スペース・カウボーイ」「ミリオンダラーベイビー」「ミスティック・リバー」「ブラッド・ワーク」「硫黄島からの手紙」「父親たちの星条旗」「ピアノ・ブルース

モロ・ノ・ブラジル ♪
ミカ・カウリスマキ監督
☆カウリスマキ(兄)がブラジル音楽に魅せられ、ブラジルの地方に伝わるさまざまな音楽を取材して回る音楽映画。歌っているのか、ただうなっているだけなのか、よくわからないものも多かったが、みんな決まって楽しそうな表情をしているのが印象的だった。
 音楽とは本来、譜面も何もないところから生まれたものなのだ。と、あらためて感じた。
 ジャズやソウル、ラップなどの即興演奏のルーツをみた気がした。
 リズムが染み付いているブラジル人に嫉妬を覚えるほど、魅せられた。悔しいけどかないません♪2004.12.29 サントラはこちら 参考CINEMA:「ゴーゴーLA」

モンスター MONSTER
パティ・ジェンキンス監督、シャーリーズ・セロン,クリスティナ・リッチ,ブルース・ダーン出演
☆実在の女性連続殺人犯の半生を追った衝撃作。美人女優の化けぶりばかりが話題になったが、作品もなかなかの出来。一人殺したらあとは何人殺しても同じ。アイリーンの落ちていくさまが痛々しかった。女の犯罪の影には恋人あり、ってよくいわれるけど、すべては愛するセルビーのためだったのだろう。自殺しようと思っていた晩に出会った相手に、すべてをゆだねたくなる気持ち、わからなくはない。
 余談だが、美人がブスに化けるのと、ブスが美人に化けるのは、どちらが簡単なのだろうなどと、どーでもいいこと考えてしまった。2005.9.22

モンスーン・ウエディング Monsoon Wedding 
ミラ・ナイール監督、出演
☆インドの裕福な家庭で開かれる結婚式に集まる人々の人間模様。インドの金持ちは並みじゃない、って聞いていたけど、広い庭、1週間前から準備される結婚式、オーストラリアやアメリカに住む親戚達など、日本人がイメージするインドとはとんでもなくかけ離れた現代インドを詳細に描いていて楽しめた。現代でも、やはり親の決めた人と結婚しなければならないというお国事情があるウラで、しっかりテレビ局のプロデューサーと不倫している花嫁。一方、なかなか嫁にいかない従姉妹には人には言えない過去がある。そして、いい加減男の庭師はメイドの女性に恋をし…。人々がみんなそれぞれ個性的。お洒落な装いと歌と踊りも堪能できた。長さを感じさせない映画だった。2002.10.13 インド旅行記

萌の朱雀
仙道直美監督、国村準ほか出演☆カンヌでカメラドールを受賞した作品。奈良の過疎の村に生きる家族の悲しい物語。 台詞が少なく、日本の田舎の風景をカメラのようにゆっくりと描くところは、ホウシャオシェン監督作品っぽくて好感がもてた。けど、人間関係がよくわからないのと、父の死がどうしても理解できなかったため、最後まで???が頭の中に残ってしまった。1999.8.1

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