気まぐれCINEMAレビュー BackNumber
1999年〜
【ナ行】
過去の「気まぐれCINEMAレビュー」をまとめました。満足度は★で、がっかり度は×で評価しました。
五十音順にタイトルが並んでいます。
データベースとしてご活用下さい。
【過去の年間BEST3】 BackNumber CINE LATINO (2007年〜 中南米映画 日本未公開版 2007年〜 【ア】【イ】【ウ】【エ】【オ】 【カ】【キ】【ク】【ケ】【コ】 【サ】【シ】【ス】【セ】【ソ】 【タ】【チ】【ツ】【テ】【ト】 【ナ】【ニ】【ヌ】【ネ】【ノ】 【ハ】【ヒ】【フ】【ヘ】【ホ】 【マ】【ミ】【ム】【メ】【モ】 【ヤ】【ユ】【ヨ】 【ラ】【リ】【ル】【レ】【ロ】 【ワ】【タイトル不明】 1999〜2005年 【ア】【イ】【ウ】【エ】【オ】 【カ】【キ】【ク】【ケ】【コ】 【サ】【シ】【ス】【セ】【ソ】 【タ】【チ】【ツ】【テ】【ト】 【ナ】【ニ】【ヌ】【ネ】【ノ】 (1999〜2006) 【ハ】【ヒ】【フ】【ヘ】【ホ】 【マ】【ミ】【ム】【メ】【モ】 【ヤ】【ユ】【ヨ】 【ラ】【リ】【ル】【レ】【ロ】 【ワ】【タイトル不明】(1999〜2006) |
チョ・グンシク監督、イ・ビョンホン、スエ出演☆70年代、朝鮮戦争後の韓国では、学生運動や左翼弾圧等、国家権力対若者たちの対立が激化しつつあった。ノンポリの学生ソギョンは、友人に誘われ田舎の村民活動にでかける。図書館で働く女性ジョンインに強く惹かれるが、ジョンインの父は共産主義者として弾圧され、村を追われていた。
若い男女がぎこちなく愛を育む姿と、のどかな村の風景。前半が平和の象徴なら、ソウルでの学生運動と弾圧は戦争の傷あとそのもの。予定調和なストーリーではあるが、静と動がうまく対比されていて飽きずに見られた。ビョンホンはどちらかというと情けない男の役なのだが、何やらせても素敵。相手役のスエも、おとなしいお嬢ちゃん女優だと思っていたが、芯の強い女性を好演していた。全体的にとても感じのよい映画。2007.6
The Number 23
ジョエル・シューマカー監督、ジム・キャリー、バージニア・マドセン出演☆23という数字に取りつかれた男の悲劇を描いたサスペンス。何を見ても23に結びつけてしまう男が、何者かに追われる幻覚に襲われ、精神錯乱に陥っていく。
かなりハードな内容で、見ていて気持ちが暗くなってしまった。ジム・キャリーがこんなシリアスな役をやるなんて意外である。でも、なんかちょっと合わない気がした。苦悩する顔が同情を誘わないというか、ほんとに狂ってるようにしか見えないのですよ。やっぱり、こういう役は、ハリソン・フォードのように、哀愁顔の役者がやらないと。ドラマ的にも、なんだか錯乱していてよくわからなかった。テーマは面白いのに残念の出来。2007.7(JALにて)
NINE QUEENS 華麗なる詐欺師たち Nueve reinas
ファビアン・ビエリンスキー監督、ガストン・パウルス、リカルド・ダリン、レティシア・ブレディス出演☆コンビニでつり銭ごまかし詐欺を働いていたジュアンは、ベテラン詐欺師マルコスに声をかけられる。マルコスは金持ちの切手収集家に、ニセの切手を売りつけようと画策するが…。
腕は未熟だが善人顔で得をするジュアンと、強面のやり手詐欺師。二人の凸凹コンビが大きな獲物をワナにかけようとするクライム・ムービー。
きらいな話ではないのだが、ちょっとスピード感がないのがなあ。ジュアンとマルコスのコンビにも、もう一つ笑いが欲しかった。ラストの大どんでん返しはケッサクです! 2007.2
南東から来た男 HOMBRE MIRANDO AL SUDESTE (1986年・アルゼンチン)
エリセオ・スビエラ監督、ウーゴ・ソト、ロレンツォ・クィンテロス出演☆精神病院の医者は、宇宙から来たと言い張る青年患者と付き合ううちに、彼の不思議な魅力に取り付かれていく。
青年の言葉一つ一つに深い意味があるような支離滅裂なような…。映画とはいえ、ずっと彼の哲学的ウンチクをきかされていると、なんだか洗脳されそうになるから不思議。新興宗教の怪しげな教祖ってこんな感じなのかもしれない。夜の野外ライブで、青年が生き生きと第九の指揮をとるシーンは圧巻。日本では冬の風物詩の第九が、南半球では夏の物詩なのだろうか。真夏の第九もなかなか楽しそうだった。2007.4
ジャレッド・ヘス監督、ジャック・ブラック、エクトル・ヒメネス、アナ・デ・ラ・レゲラ出演☆メキシコの修道院で暮らすナチョは、野生人のようなヤセと組んで、覆面レスラーとしてルチャ・リブレに出演。ぼろ負けするが、客には受け、思わぬ大金を手にする。
なんといっても、小太り出っ腹体型のジャック・ブラックと、ガリガリのヤセ男が、リングの上を走り回る姿がとにかく笑える。お得意の歌も披露してくれてます。ただ、ストーリー的には…。ちょっと退屈してしまった。2007.5
ナイロビの蜂 THE CONSTANT GARDENER
フェルナンド・メイレレス監督、ジョン・ル・カレ原作、レイフ・ファインズ、レイチェル・ワイズ、ユベール・クンデ、ダニー・ヒューストン、ビル・ナイ出演☆イギリス人外交官のジャスティンは、正義感の強いテッサと恋に落ち、結婚。ナイロビへと赴任する。テッサは結婚後も精力的に慈善活動を続け、地元の医師とともに、スラム街を飛び歩いていた。そんなある日、テッサの他殺体が発見される。ジャスティンは妻の死の真相を追ううち、製薬会社が新薬開発のために人体治験を行っている事実を突き止める。
アフリカという赤茶けた大地と褐色の肌を持つ人々を、欧米企業が食い物にする構図は、いったいいつからはじまったことなのだろう。アフリカを舞台にした社会派映画には、必ずといっていいほど登場する、見苦しい強者と、無力で罪のない弱者。
そして、弱者はいつも人間とは思えない無残な方法で抹殺される。
アパルトヘイトを扱った映画「遠い夜明け」や「白く乾いた季節」を見たときに感じた心の痛みは、この映画からも感じとることができた。
でも、あのときと違うのは、「またか」「未だに」というやりきれなさ。何も変わっちゃいないじゃない…。
もちろん、この映画はフィクションだし、製薬会社とイギリス政府があそこまでアコギかどうかはわからない。でも、イラク戦争だって石油の利権が絡んでるわけだし、製薬会社の人体実験もまんざらウソでもない気がする。
世の中、建前では人類みな平等なんていってるけど、人種差別は相変わらずだし…。
社会批判し始めると、きりがなくなりそうなのでこの辺で。
映画の内容についてだが、妻が殺されるところから始まり、過去と現在が絶妙に絡み合っていく構成はお見事。まったく飽きずに見れた。フェルナンド・メイレレス監督、技あり!アフリカの広い大地の映像もすっばらしくて、圧倒された。
ただ、ちょっと気になったのはジャスティンとテッサのキャラクター。テッサは結婚前から、明らかにジャスティンを利用していたし、そのことに負い目も感じていたはずなんだけど、その辺の心理描写が弱くて、あまり感情移入できなかった。
レイチェル・ワイズの演技は確かにすばらしかったんだけど、最後まで、「夫が気の毒」「夫一人がバカを見てる」「外交官なのに人がよすぎ」という気持ちが拭えず。つまり、二人のキャラにリアリティが感じられなかったのだ。
ドラマチックすぎるのは、おそらくル・カレの原作がそうなってるからなんだろうけど、社会問題に絡めたドラマは、あまりに劇的にしすぎると、まわりの出来事までわざとらしく見えてしまう(韓国映画でもよく見られるパターンなのだが)。
エンタテイメント性と問題提起を両方絡めるのって難しいんだろうなあ。
もちろん、見て損はしないし、サスペンスとしては見ごたえのあるハイ・クオリティな作品ではある。ただ、やっぱりメイレレス監督には「シティ・オブ・ゴッド」のようなドキュメンタリーにより近い作品をとってほしかった。彼ならもっと、黒人の医師や人体実験された人々の視点から鋭く描けた気がするし。原作が彼のオリジナリティの邪魔をしてしまったかなあ。欲を言えば、なんですけど。やっぱり期待の監督には、注文が多くなってしまうものなのです。2006.6 参考CINEMA:「シティ・オブ・ゴッド」
ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女 THE CHRONICLES OF NARNIA: THE LION, THE WITCH AND
THE WARDROBE
アンドリュー・アダムソン監督、C・S・ルイス原作、ウィリアム・モーズリー、アナ・ポップルウェル、スキャンダー・ケインズ、ジョージー・ヘンリー、ティルダ・スウィントン出演☆第二次大戦下、田舎に疎開した4人の子どもたちは、古い屋敷の一室にあったタンスから、雪に覆われた不思議な国「ナルニア」に迷い込む。ビーバーや狼など、しゃべる動物達の動きが超リアル。さすがディズニー。&魔女役のティルダ・スウィントンがなかなかよかったです。
子供のときに原作を読んで「気にいった」という記憶だけはあるのだが、内容を忘れていた。けど、映画みて、自分が昔好きだったファンタジーの世界がそのまま映像になっていたので、童心に返って楽しめた。たまにはこういうファンタジーに素直にひたるのもいいものですね。2006.5
ナインスゲート ××
ロマン・ポランスキー監督、ジョニー・デップ、レナ・オリン出演☆ポランスキーとデップが組むというから、さぞかし怪しげな作品になるのかと期待してたら、すごくノーマルな映画でした。始まりはよかったんだけどね。おー、っと思ったのに、後半の展開はつまらなくて、退屈してしまった。最後もなんだか中途半端だったし。やっぱり、ミステリアスな感じがなかったのが、残念。でも、ジョニー・デップは相変わらずすてき。何着ても、どんな役やってもいいんだよね。ポランスキーはチャイナタウンのような映画をもっと作ってほしい。あと、気になったのは、スポンサーだと思われる会社名のアップ。ギャグかと思ったよ。リコー、ローバーがとくに目立った。わざとらしいの。ハリウッドに魂を売ったの?ポランスキー。2000.6.3 参考CINEMA:「戦場のピアニスト」
21グラム 21GRAMS
★★★ 2004のMY BEST1 CINEMA
アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督、ショーン・ペン、ベニチオ・デル・トロ、ナオミ・ワッツ シャルロット・ゲンズブール出演☆辛かった。なんて暗い映画だろう。でも、こんなやりきれない映画に星3つをつけてしまう自分は何なのだろう。。。
死を覚悟したときに命を拾ってしまった男と、突然最愛の家族を失った女、そして車で父娘をひき殺してしまった男。
ついてない3人の人生を、カットバックを多様しながら絡めていく。
はじめは、わけわからなくてついていけなかったが、どんどん引き込まれてしまった。
それだけ、この映画には魂がこもっているんだろう。
3人のなかでも、とくにデル・トロ扮するひき逃げ男に感情移入してしまった。「もう生きてる価値なんてない」と、自暴自棄になる姿は見ていて辛すぎた。
神から与えられた試練を受け入れるまでの苦しみは計り知れないけど、人の人生って彼のような「最悪」はあまりないかもしれないけど「最高」もないんだよね。
だから「それでも私は生きていく」っていう生への覚悟が心にいたく響きました。
この感動、うまく表現できなくて、もどかしいんだけど。。。
アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督は、これからも注目です。2004.6.26 参考CINEMA:「アモーレス・ペロス」
ニュー・ワールド THE NEW WORLD
テレンス・マリック監督、コリン・ファレル、クオリアンカ・キルヒャー、クリストファー・プラマー、クリスチャン・ベイル出演☆☆青々とした自然美、木漏れ日、風や水の音…。バックには癒しの音楽が流れ、そこに、ポエティックな独白が静かに重なる。10年に1度しかお目にかかれないテレンス・マリック・ワールド。気に入るかどうかは個人差があるにしろ、彼の映画を語るには、劇場で見ないと始まらない。
☆1607年、アメリカ新大陸にイギリス船が流れ着く。入植先を探していた船長は、先住民との交渉役を若き冒険家ジョン・スミスに指示。スミスは、森の中で平和に暮らす王の愛娘ポカホンタスと恋に落ちる。だが、スミスとの恋を貫こうとしたポカホンタスは王から勘当され、入植者たちと同じ生活を送ることに。幸せな生活もつかの間、まもなく、スミスとの別れが訪れる。
今回は、宣伝で「タイタニック」と比較されちゃっていたので、まさか、テレンス・マリックまでハリウッドに魂売ったの?と、心配していた。
だけど、的外れな宣伝文句とはまったく別物の、独特の気高い世界が健在だったことにほっとし、監督のこだわりをうれしく思えた。
哲学的な前作「シン・レッド・ライン」を見たときは、睡魔との闘いだったし、テレンス・マリックが好きか?と聞かれれば「うーん、難しすぎて…」と、言わざるを得ない。
奥の深さは感じるし、映像・音楽がすばらしいのは認めるけど、理解できるか、と言われたら自信がない(英語がネイティブでないということもあるだろうけど)。
無邪気に踊っているポカホンタス、スミスとの恋を謳歌するポカホンタス、
はじめて靴を履いて戸惑うポカホンタス、そして、母になったポカホンタス。
彼女の波乱の人生は、いくらでもドラマチックに描けるだろうけど、テレンス・マリックはそんな野暮なことはしない。あくまで詩的に、言葉少なに、そして丁寧に描いている。
この映画に関しては、ストーリーがどうのこうの、役者の演技がどうの、という感想は無意味な気がする。この世界に入れるか、感じられるか。
何かを感じられた人は、テレンス・マリックの世界の住人です。
そんな私は、片足漬かってみたのですが、案の上、睡魔が…。
私ってつくづく、俗っぽい人間みたいです。
最後にもう一言。ヘルツォーク監督の「フィツカラルド」と大いに共通点あり。「フィツカラルド」を大画面で見直してみたい、とあらためて思った。2006.4
参考CINEMA:「地獄の逃避行」
2046 ★★
ウォン・カーウァイ監督、クリストファー・ドイル撮影、トニー・レオン、コン・リー、フェイ・ウォン、チャン・ツィイー、木村拓哉、カリーナ・ラウ出演☆刹那的に生きる小説家と男を愛した女たちの物語。トニーがめずらしく女たらしの男を演じていた。十分セクシーではあるんだけど、やっぱりあの役はレスリー・チャンが適役だと思った。トニーの後ろにレスリーが見えてしまい胸にこみ上げるものがあった。
「欲望の翼」を彷彿とさせる雨の中の街灯のアップ、南国調の音楽…。
何度も見た映画だけに一つ一つのシーンを鮮明に覚えている。
「2046」の小説家は「欲望の翼」でレスリーが演じた生き急ぐ青年の分身だ。監督も、ほんとはレスリーにやってほしかったんだろうなあ。
トニー・レオンは大好きだけど、自堕落な男よりも、女に翻弄される誠実な役のほうが似合っている気がした。
チャン・ツィイーは愛されたい女をかわいく演じていたし、女賭博師役のコン・リーもやつれた雰囲気が素敵だった。正直、キムタク一人浮いていた気がしたが、そこらへんは差し引いても、やっぱりカーウァイ作品、私は好きです。2004.11.4
参考CINEMA:「欲望の翼」「花様年華」
25時 25TH HOUR
スパイク・リー監督、デイヴィッド・ベニオフ原作・脚本、エドワード・ノートン、フィリップ・シーモア・ホフマン、バリー・ペッパー、ロザリオ・ドーソン、アンナ・パキン出演☆麻薬の売人だったモンティが刑務所に収監されるまであと25時間。モンティは絶望感と闘いながら最後のときを過ごす。
自分の踏み外した人生を振り返りながら、友人や恋人、父親と心を通わすシーンが痛々しかった。小説も読んだけど、映画のほうが感情移入できた。E・ノートンの演技力とS・リーの演出力の勝利。2004.12.8 参考CINEMA:「サマー・オブ・サム」
ニュースの天才 SHATTERED GLASS
ビリー・レイ監督、ヘイデン・クリステンセン,ピーター・サースガード,クロエ・セヴィニー出演☆1998年、権威ある政治雑誌の若手記者スティーブン・グラスが“ハッカー天国”という捏造記事を書いて糾弾された事件を事実に基づいて描いた作品。
“正しい記事”を書くのがジャーナリストの使命ではあるのだが、現場では“スクープ記事”を要求されるという現実。捏造は絶対に許されない行為ではあるのだが、書きたくなる気持ちはわからなくもない。裏を取る作業ってほんと大変だし、自分の想像で書けたら楽だな、って思うこともあるのだろう。そんな記者のジレンマや心の葛藤が描かれているのかと思ったら、あまり心理描写のない作品だった。いろんな切り口で面白くできるテーマなんだけどなあ。残念!
その後。捏造記者は、自分のことを小説に書いたとか。記者の元上司はイラクで死亡というテロップはリアルに衝撃でした。2005.10.19
N.Y.式ハッピー・セラピー ANGER MANAGEMENT
ピーター・シーガル監督、アダム・サンドラー、ジャック・ニコルソン、マリサ・トメイ、ジョン・タートゥーロ、ジョン・C・ライリー,ルイス・ガスマン出演☆人目を気にしてばかりいる気弱な男がひょんなことから、破天荒なセラピストから怒り抑制プログラムを受けるハメになる。
ダメ男を改造するお決まりコメディなんだけど、出演者が超豪華!豪華すぎてもったいない。ジョン・タトゥーロのぶち切れキャラとルイス・ガスマンのオカマキャラの出番があれだけじゃ、物足りないです。マリサ・トメイにも、もっとコミカルな演技を披露してもらいたかった。残念〜!2005.1.10 参考:脇役(ルイス・ガスマン)
ニューオーリンズ・トライアル RUNAWAY JURY
ゲイリー・フレダー監督、ジョン・グリシャム原作、ジョン・キューザック、ジーン・ハックマン、ダスティン・ホフマン、レイチェル・ワイズ出演☆ジョン・グリシャムの『陪審評決』を基にした法廷ドラマ。原作は訴訟内容がタバコ訴訟だったのを銃訴訟に置き換えている。おなじみのグリシャム節とでもいおうか、陪審員を選ぶまでの原告対被告の駆け引きは見ごたえがあった。ただ、ジョン・キューザックとその相棒の正体は最初から予想ができてしまい、ちょっとサプライズに欠けた。2004.10.30
24アワー・パーティ・ピープル 24 HOUR PARTY PEOPLE
マイケル・ウィンターボトム監督トニー・ウィルソン原作、スティーヴ・クーガン、シャーリー・ヘンダーソン出演☆1970年代。マンチェスターのロック・ムーヴメントの仕掛け人であるトニー・ウィルソンの半生をドキュメンタリータッチで映画いた作品。ドラマチックでないところは好感が持てたが、私の好みとしてはもう少し笑いの要素が欲しかった。
真面目でストレートな作風で定評のある監督の作品だから、まあ、仕方ないか。
あのプロデューサーは日本でいえば渋谷陽一かな。ねちっこい性格は映画の主役になれると思うのだか。2004.1.12 参考CINEMA:「イン・ディス・ワールド」
「コード46」
ニコラ
クロード・ミレール監督、クレモン・ヴァン・デン・ベルグ、フランソワ・ロイ出演☆病的な干渉で息子をしばる父親。そんな父親の教育のせいか。息子は怖い妄想にとりつかれながらも、はじめてのスキー学校をエンジョイしている。けれど、そのうちに妄想よりも悲惨な現実が……。少年がとってもキュートで「マイライフ・アズ・ア・ドッグ」のような映画を想像したんだけど、「マイライフ」が表なら、こちらは裏。少年がかわいいだけに、ラストはつらかった。2002.2.13
2000・限りある日々
ジョン・タトゥーロ出演☆考古学者が不治の病におかされる。死を前に同様する彼だか、それをコミカルに描いている。ジョン・タトゥーロが熱演。相変わらず、格好悪いけどね。
2000.10.29
200本のたばこ
リサ・ブラモン・ガルシア監督、コートニー・ラブ、ベン・アフレック、ケイシー・アフレック、クリスティナ・リッチ、マーサ・プリンプトン出演☆80年代。大晦日のNY。特別な1日のそれぞれの若者たちの様子を一見、オムニバス風に描いた作品。軽い若者たちの行動と時代が、若かったころの自分と照らし合わせて見られた。まったく関わり合いのなかった若者が、1つのパーティに集まり、そこでさらに交わって…。お決まりだけど、けっこうおもしろかった、かな。2000.6.25
2番目に幸せなこと
ジョン・シュレシンジャー監督(真夜中のカウボーイの監督。これが遺作になったようだ)、マドンナ、ルパート・エベレット出演☆ヨガのインストラクターが、親友のゲイと一夜限り、関係を持ち、身ごもる。二人は子供とともに幸せそうな家族をつくるが実は、ベッドは別。子供も、お前のパパはおかま、とばかにされるようになってきた。そんなとき、妻が恋に落ち、子供を連れてNYへ行くと言い出し。。。女性の側からよりも、ゲイである父親の視点でとっていたのに好感がもてた。ラストは尻切れとんぼ。男女の友情は結局、続かないものなのかも。でも、子供にとって育ててくれたのはゲイのパパ。子供をめぐって裁判するおろかな親たちはみていて嫌な気がした。けっこう話はシリアス。けど、タッチが軽くて、そのアンバラスが気になってしまった。2000.12.26
ニューヨークの恋人
ジェームズ・マンゴールド監督、メグ・ライアン、ヒュー・ジャックマン出演☆1870年代からタイムスリップして現代のニューヨークへやってきた伯爵が、そこで出会ったキャリアガールと恋に落ちる。
ラブコメ女王、メグ・ライアン健在!まだまだキャメロン・ディアスには女王の座は渡さないわよ!
といってるのかどうかは定かではないが、メグライアンにぴったりのハートウォーミングなラブコメだった。あり得ないハッピーエンドもメグがかわいいから許しちゃおう、という気になる。
ただ、さすがに年は隠せないのか、目の周りのしわがかなり目立ってた。
目指すはグラマラスじゃないゴールディ・ホーンか?それもいいかも。2003.8.9
にっぽん昆虫記 (1963年 123分 日本)
大正7年、東北の寒村で生まれたとめは、地主の息子と無理やり結婚させられた後、娘を出産するが、まもなく離縁される。終戦後、娘を置いて単身上京したとめは、米軍基地や売春宿で働きながら、男達を踏み台にしてのし上がっていく。
戦前から戦後へとめまぐるしく変わっていく混乱の「にっぽん」を、自分の足で一歩一歩踏みしめながら生き抜いた女性のたくましさを力強く描いている。土と汗にまみれた体臭が、画面からしみ出てくるようなじっとりとした映像は秀逸。とめを演じた左幸子はこの作品でベルリン映画祭の主演女優賞を受賞した。
気持ちのこもった力のある映像で観客を魅了し続けた今村監督。謹んで哀悼の意を捧げます。
ネバーランド Finding Neverland
マーク・フォスター監督、ジョニー・デップ、ケイト・ウィンスレット、ジュリー・クリスティ、ダスティン・ホフマン出演☆スランプに陥っていた劇作家ジェームズ・バリが、父親を亡くした子供たちと触れ合い、名作「ピーターパン」を生み出す。
とってもいいお話。子供のような心を持った劇作家役のジョニー・デップはとっても魅力的だったんだけど、文部省推薦映画のように品行方正な内容だった。子供と一緒に見に行くといいかも。
ケイト・ウィンスレットは「タイタニック」のときよりは痩せてたけど、それでも病人役はちょっとなあ。ムクムク毛の愛犬に助演動物賞!あと、シワシワの顔(たぶんメイク)で熱演した厳格な母親役のジュリー・クリスティにも拍手!2005.1.23
NOVO/ノボ NOVO
ジャン・ピエール・リモザン監督、エドゥアルド・ノリエガ、アンナ・ムグラリス出演☆5分しか記憶の持たない男グラアムは、新人の派遣社員イレーヌに誘われるままベッドを共にする。しかし、過去を書き留めたノートがないと、彼女のことすら思い出せないグラアム。さらに、彼の周りには怪しい男の陰が…。
記憶をなくした男と恋に落ちる女が、とにかく美しいので、二人のラブシーンを見ているだけでうっとり。絵になるわあ。
ストーリー的にはよくある話なのだが、ファッションや色、小物の使い方がお洒落で、台詞も小粋。男も女もサラッとしてて、後くされがなく、PVを見てるような軽いタッチのラブ・ストーリーだった。ノリエガの裸のシーンがやたらと多いのはファン・サービスかいな。2007.6
ノーマンズ・ランド ★★
ダニス・タノヴィッチ監督、ブランコ・ジュリッチ、レネ・ビトラヤツ、カトリン・カートリッジ、サイモン・カロウ出演☆ボスニアとユーゴスラビアの戦場。にらみ合いが続く真ん中の塹壕にボスニアの兵士とユーゴの兵士が取り残される。体の下に動くと爆発するジャンプ型地雷を埋められ身動きのとれなくなった仲間のために、地雷撤去の専門家を呼ぼうとあれこれ策をねるボスニア兵士。にらみ合いを続ける中で、ふたりの共通の知り合いを見つけ、人間同士の交流が生まれる。たぶん最後は戦争のおろかさアホらしさを見せ付けるために、無惨なラストが待っているんだろうなあ、と思っていたが、ストーリーのたくみさに、つい笑えるエンディングを望んでしまった。戦場に残された兵士たちに、手出しができずにただ見ているだけの国連軍の苦悩、メディア合戦に躍起になるハイエナのようなジャーナリストたちが絡んで、話がより膨らみ、見ていて飽きなかった。これは、舞台向きな話でもあるので、ぜひ舞台でも見てみたい。2002.9.22
ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア KNOCKIN' ON HEAVEN'S DOOR ★
トーマス・ヤーン監督、ティル・シュヴァイガー、ヤン・ヨーゼフ・リーファース、ティエリー・ファン・ヴェルフェーケ、ルトガー・ハウアー出演
☆死を宣告された二人の若者が、高級ベンツを奪って、病院から抜け出し、死ぬ前にしたいことをするために犯罪を重ねていく男の友情&ロードムービー。ドイツ映画は、身近ではないんだけど、すんなり入っていけた。やっぱり、私は、しゃれたフランスモノより、無骨なドイツが好みなのかも。脳腫ようの男がセクシーで、それにひっついて人質のふりをしている頼りなげな男もいい味だしてる。さらに、車&大金を盗まれたギャングや、警察がお間抜けなのも、肩の力がぬけていい感じ。ラスト、やっと、海にたどり着き、脳腫ようの男が、あっさり死んでしまうところも、変にドラマチックにしなくよかった。で、エンドロールのディランの名曲「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」がぐっと心にしみてくるわけ。これは、めっけもんといえる映画だった。2002.5.5
ノスフェラトゥ NOSFERATU: PHANTOM DER NACHT
ヴェルナー・ヘルツォーク監督、イザベル・アジャーニ、クラウス・キンスキー、ブルーノ・ガンツ出演☆ドラキュラ映画の傑作、と言われていたので見てみた。そこらへんの化け物映画とは違って、悲しみを秘めたドラキュラの姿が痛々しかった。
白塗りのキンスキーより、アジャーニの人形顔のほうが恐ろしく感じたのは私だけ? ブルーノ・ガンツの髪がふさふさしていて、はじめ、誰だかわからなかった。参考CINEMA:「神に選ばれし無敵の男」「フィツカラルド」
ノイズ ××
ランド・ラヴィッチ監督、ジョニー・デップ、シャーリーズ・セロン出演 ☆ 宇宙飛行士の夫が帰還後、様子が変なことに気づいた妻の恐怖を描いた作品。けど、そのおそろしさ、不気味さがまるで伝わってこなかった。ジョニー・デップも女優もひどく演技がへたくそに見えたし、逆にB級のばかばかしさもなくて最後まで見るのが辛かった。ジョニーも結構、駄作でてるんだ。2000.8.27
ノッティングヒルの恋人
ロジャー・ミッシェル監督、 ヒュー・グラント、ジュリア・ロバーツ出演☆ ハリウッド女優とロンドンの本屋が恋に落ちる話。ありえない話なんだけど、それをうまく料理してないので、ちっとも味がない。「ローマの休日」をパロッてるのはわかるんだけど、それならもっとコメディにしちゃえばいいのに、中途半端。本屋側の友人たちがかわいいのが救いかな。1999.8.24
のど自慢 ★
井筒和幸監督、室井滋、尾藤イサオ、大友康平ほか出演☆ 桐生で行われるのど自慢に出ようとはりきる人々のそれぞれの思いを描く。
売れない歌手は一度でいいから大勢の前に歌いたいといい、女子高生は出ていった姉を思い、
焼き鳥屋を始めたお父さんは歌が大好きで、そしておじいちゃんは心を閉ざした孫のために。
みんなけっこうコテコテな事情持ち。だけど、井筒監督流にそれを笑いで包む。しょーもないなあ、と思わせて、ラストの本番では、ついウルウルしてしまう。こういう映画こそ、海外に出してほしい。日本の良き姿なんだから。1999.7.29
参考CINEMA:「パッチギ!」「ゲロッパ」