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国際映画祭レポート

〜釜山国際映画祭06〜 pusan
2006.10.12-10.17

「BOSSA CINE 倶楽部」の年中行事となりつつある秋の祭典「釜山国際映画祭」。
3回目の参加となる今年は、エアー&ホテルの予約、ゲスト情報のチェックなど、3ヶ月前からバッチリ準備してきたのですが、旅にハプニングはつきもので…。
(*本文中の写真はクリックすると拡大になります。ワイドで見たい方はLet's Click!)


10月12日*追っかけと化す
10月13日*香港スターに萌え〜
10月14日*カルチャーギャップ?!
10月15日*パーティーに潜入
10月16日*東欧映画はやっぱり楽し
10月17日 帰るだけ…
チケットのとり方、スターに会う方法
受賞結果、その他のイベントなど

 

10月12日

10:00AM 自宅をマイカーで出発。絶好のドライブ日和である。2年前は台風直撃、先週の今頃は大嵐が到来中。この時期の旅行は運不運の差が激しい。今年は幸先よさそうだ。

12:00AM 成田に到着。大韓航空のカウンターはすでに長蛇の列である。みんな映画祭に行くのだろう。
カメラ片手の追っかけの姿をあちこちで見かけるが、そんなことより、なかなか進まない列にイライラ。1時間後にようやくチェックイン。
ゆっくり食事をする時間もないので、マックで空腹を満たし、慌ててゲートに向かう。
途中、韓流スターの追っかけが、大勢ガラスにへばりついていたので、「誰が来てるの?」と、気になりつつも、時間がないので早歩き。
DUTY FREE SHOPが並んでいる通路を歩いていると、後ろから黄色い声があがる。 さすがに驚いて振り向くと………。  
目の前には、あの、憧れのイ・ビョンホンが歩いている!!!
“ヒェー、△※○×□…”  
言葉にならない悲鳴を発したあと、私はなぜか気持ちに反して後ずさり。
人ってあまりにもうれしいと、固まったり、腰くだけたり、後ずさりする、と話には聞いていたけど、自分がこんなにヘナヘナになってしまうなんて…。
抱きつけそうなほどの至近距離にいたのにー。あーもったいない。
手が震えてしまい、カメラを取り出すこともできない。
生ビョンホンをしっかりと目に焼き付けたいという思いもあって、しばらく並走してビョンホンの横顔を追いかける。  
ビョンホンはさすがにオーラがあり、ときおりキラリと白い歯を覗かせ、キラースマイル
このあたり、もう、頭クラクラきてます。こんな偶然、夢、それとも幻?!
ゲートに到着すると、すでにカメラを抱えたファンでいっぱい。 韓国のファンたちは、付き人に止められても平気でバシバシ写真を撮っている。
ビョンホンを追いかけるように飛行機に乗り込むが、私の席はエコノミーの最後尾…。
それでも、同じ飛行機に乗ってる、というだけでソワソワ。 回りの乗客は知らないみたいで、興奮気味の私と友人だけ、浮かれている。
飛行機が飛んだあとも、つい思い出してニヤ〜。 完全にキショイ女と化してました。

4:30PM 釜山まではわずか2時間半のフライトだが、軽食が付くしアルコール類は無料。客室乗務員も親切だし、大韓航空、欧米系よりオススメかも。
ビールをグビッとひと飲みして、興奮がやっと冷めたころに釜山到着。ビョンホンの後ろ姿が消えていくのを遠くから見つめる。まもなく始まるオープニング・セレモニーへ向かうのでしょう。さすがスターは分刻みのスケジュールだ。
追いかけたい気持ちを抑え、両替や電話の手続きをしているうちに時間が過ぎる。リムジンバスに乗ると、ここでも15分ほど待たされる(6000W=約700円)。さらに、通勤渋滞と事故渋滞にはまってしまい、2時間近くかかってしまう。
途中、オープニング・セレモニーの会場であるヨット競技場の前を通ると、鈴なりの人だかりができている。さっそく盛り上がってますねえ。

7:30PM ようやくロードビーチホテルに到着。小さなホテルだが、部屋は綺麗だし、なにより立地がいい。
ゆっくりする間もなく、プレスセンターの入っているSfunZ(スポンジ)にプレスIDをもらいに行き、釜山最初の晩餐、焼肉店「ソムンナンアムソカルビ」へ。 見るからに高級そうな門構えなので、観光客だらけかと思いきや、地元の人のほうが多い。これは味に期待ができそうだ。
生カルビ1人前3万W(4000円弱)は高いと思ったが、味はいいし、キムチ、スープ、サラダなどがひと通りついてくるので、トータルで考えたらそれほど高くないのかも。個室の座敷になっていて落ち着ける。店員もぶっきらぼうではあるが、親切でかなり気に入った。

桃井 10:00PM 店からタクシーに乗ってパラダイスホテルへ。わずか、2、3分で着いてしまう(1800W=約200円)。すでにホテルの前には、地元の追っかけ女子高生たちがスター待ちしている。ロビーに入ってみると、今度は、日本からやってきた韓流追っかけオバサマたちの姿が。私も一緒になってしばらくスター待ちしてみる。
桃井かおりがブルーの着物で登場すると、オバサマたちは、声をそろえて「桃井さーん」と叫ぶ。さすがにかおりお姉さまも驚いて振り向き「あなたたち、韓国の俳優さん見るためにワザワザきたの?」と、逆取材されている。オバサマたちは、すかさず「桃井さんに会いに来たのよー」。リップ・サービスも手慣れている。さすが追っかけのプロだ(写真は桃井かおりの艶やかな後ろ姿)。
その後、ユ・ジテ、アンディ・ラウ、キム・テウらも足早に会場入り。あっという間に通り過ぎていくので、シャッター・チャンスを逃がす。
しばらくウロウロしてみるが、パーティーも盛り上がっていない様子だし、ビョンホンも来そうにないので、ホテルへ戻る。
初日は、取材に来たことをすっかり忘れ、韓流追っかけオバチャンと化していたのでありました。

後日談:パラダイスホテル1階のパーティー会場は、スターも少ないし、なんだか盛り上がりに欠けるなあ、と思っていたら、今年は、1階はプレスや映画関係者が、2階では「俳優の夜」というエルメス主催のスペシャル・パーティーが開かれていたらしい。アンディ、ユ・ジテもいつのまにか消えていたし、みんな顔出しただけで2階に移動していたようだ。さっそく初日から、情報キャッチをミスってしまう。
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10月13日

クッパ

7:00AM 起床。外は快晴。思ったよりも暑いので半袖で出かける。発券カウンターが開く8時にグランドホテルまで歩いていき、今日見たい映画のチケット3枚を頼む。ホン・サンス監督の新作「浜辺の女」はゲストが来る劇場は取れなかったので、同じ時間に始まる隣の劇場で見ることにする。 
9:00AM ホテルの近くにある「元祖ハルメクッパッ」でクッパを食す。2店舗あったので新しいほうに入ってみる。仕事の前に立ち寄る地元の人も多いようだ。味はさっぱりとおいしい。ヤクルトまでついていて2500Wは安い!(写真)。

ユジテ

10:00AM SfunZ(スポンジ)の上にあるシネコン「メガボックス」で韓国映画「秋へ Traces of Love」を鑑賞(映画評はこちら)。とても上品なラブ・ストーリーで日本人受けしそう。すでに日本での配給は決まっていた。
舞台挨拶には、主演の3人とキム・デスン監督が来てくれた。昨晩と違う黒いスーツ姿のユ・ジテは、背が高く細身で、映画よりも見栄えがする(写真)。
キム・ジスは白いヒラヒラのついたブラウス。雰囲気があり貫禄十分。
さわやかなオム・ジウォンは、吉岡美穂にそっくりだ。キム・ジスのときおり見せる色っぽいまなざしに、ユ・ジテもタジタジのご様子。
(c)The 11th Pusan International Film Festival.

1:30PM 続いて奇才ホン・サンス監督の「浜辺の女 Woman on the Beach」を鑑賞(映画評はこちら)。終了後、スタッフの指示に従い、ゲストの来る会場に案内してもらう。舞台挨拶には、残念ながら主演の二人(キム・サンウ、コ・ヒュンジュン)は来なかったが、お人よしの友達を演じたキム・テウと、行きずりの恋の相手を演じた女優ソン・ソンミ、ホン・サンス監督が登場。親しみやすいルックスのキム・テウは若い子に人気があるようで、スポンジ1階には人だかり。エレベーターから降りてくると、ギャルたちが殺到していた。
4:00PM スポンジ1階に置いてあったフリーペーパー「Focus」を見ると、「夏物語」の主演二人、イ・ビョンホンとスエの写真が。その下にはパーティーが予定されている「中天」のチョン・ウソンの写真も出ている。
ハングルは読めないが「夏物語」プロモ・パーティーの紹介記事、と十分推測できる。日本でさんざんリサーチしても、情報キャッチできなかったが、ビョンホンが来てるし、公開直前で何もやらないはずはない。さっそく5階にあるプレスセンターに行き「記事を英語に訳して」と依頼する。「夏物語」(チョ・グンシク監督)のプロモ・パーティーは15日、パラダイスホテルで開かれる、ということが判明。
ダニエル 5:00PM 海雲台から2つ先のチャンサン(Jangsan・萇山)駅にあるシネコン「Primus」へ移動し、香港の人気俳優ダニエル・ウー監督・主演の「四大天王 Heavenly kings」 を鑑賞(映画評はこちら)。
ゲストとして登場したダニエルは、白いシャツにジーンズ、というラフな出で立ちだったが、身振り手振りをつけて、質問に真摯に答えている。話の詳細までは理解できなかったが、かなり引き出しの多いクリエイティブな人と見てとれる。
今までの香港スターとは一味違い、作られた個性ではなく、自分をさらけ出した感じが新鮮だし、社会を風刺する鋭い目も持っている。今後は俳優としてだけでなく、監督としても要チェックである。
7:30PM 海雲台駅近くの居酒屋でパジョン、タコの炒め物、チゲを食べる。どれも味が濃くて飽きてしまう。安いけど味もそれなり。
8:30PM 続いてパラダイスホテルのカジノへ。十数年前、マカオで経験して以来なので少々緊張する。どうやって遊ぶのかまったくわからないので、ルーレットを回しているお姉さんに聞いてみる。「とりあえず2000円分」というと、ちょっと呆れた顔されたけど、遊び方は親切に教えてくれる。チップを買ってLet's トライ!
初めは2分の1とか、3分の1当たる、せこい賭け方をしていたが、やっぱりチップが増えないと面白くない。だんだん欲が出てきて、冒険してみると、たまにだけど当たるのが面白くなる。こうやって賭け事ってはまっていくのでしょう。それでも、しょせんせこい凡人なので、1時間もしないうちに、チップはゼロに。
何かメモを取りながら賭けている若い日本人女性は、チップがどんどん増えていっている。もしかしてプロ? 天才ギャンブラーのイナさん(ドラマ「オールイン」のイ・ビョンホンのことです)も来てるかなー、なーんてキョロキョロしてみるが、さすがに今晩は会えずじまい。
帰り際、15日の「夏物語」のパーティーの時間をPIFFスタッフに聞いてみるが、よくわからないという。明日、また仕切りなおしだ。

チケットの取り方:一般のチケットはスポンジ1階のチケット売り場で購入できる(5000W=約600円)。すべて指定席。人気の作品、ゲストが来る作品は売り切れも多いが、スタンディングは取れるのでトライしてみよう(ただし当日券のみ)。会場が暗くなる直前に空いてる席を探して座るのはもちろん可。また、ゲストがどうしても見たい人は、同時間にやっている同じ作品を見た後で、ゲストが来ている劇場に移動できる場合がある。日本と違っていい意味でアバウトなので、スタッフにお願いしてみよう。
スターに会うには:ゲストが来る作品のチケットを買うのが確実だが、主役が来ない場合もある。
海雲台や南浦洞の野外ステージで、ゲストのトークショーも多く行われるので、こまめにチェックすれば、お目当てのスターに会えるかも。ただし、いい場所をとるには、はやめに行ってひたすら待つのみ。
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10月14日

pusan06-piff

8:00AM 小奇麗な食堂であわび粥を食す。オバチャンが一人で手作りしているので時間がかかる。少しガーリックがききすぎていたが、まあまあのお味。(5000W)。
9:00AM カルロビバリ映画祭にも出品されていたアルゼンチン映画「Destiny」を鑑賞(映画評はこちら)。
アンディ11:00AM アンディ・ラウの記者会見が開かれるPIFFパビリオンに移動。今回、アンディは映画製作者としての功績を評価され賞をもらったのだ。
今年はビーチにPIFFパビリオンという特設会場が建てられ、記者会見やオープントークなどが行われていた。会見場はすでにプレスでいっぱい。外には警官の姿も見える。テレビカメラがずらりと並んだ前の席がわずかに空いていたので、身体をよじらせながら陣地取り。
そしていよいよ香港のスター、アンディ・ラウ登場(写真)。「欲望の翼」で実直な警官を演じたアンディに出会ってから、十年以上経つが、今でも輝きは失っていない。最近では、屈折した悪役を快演し、演技派としても開花している(「インファナル・アフェア」「LOVERS」)。
香港、上海からも記者が来ていて、会場では中国語も飛び交っている。残念ながら英語の通訳が入らなかったので、言ってることはまったく分からず(通訳つきイヤホンもあったようだ)。
アンディがニコリと微笑むと、カメラのフラッシュの嵐!ちょっと頬杖をついただけでも、フラッシュ、フラッシュ! ド素人カメラマンの私はまったく追いつけず。プロは一瞬の動作も見逃さない。さすがです。
12:00AM 再びパラダイスホテルのロビーへ行き、しつこく「夏物語」のプロモ・パーティーの時間と場所を聞くと、「15日夜9時から2階」と教えてくれた。ヨッシャ!

長蛇の列2:00PM 地下鉄で南浦洞へ移動。このゴチャゴチャした雰囲気、下町らしくて好きだ。PIFF広場には、恒例の、映画の紙袋をもらうための長蛇の列(写真)。 
駅そばの「南浦参鶏湯」で参鶏湯を食す。年に1回食べるこの味、クセになってます。韓国旅行をしたことのある人、誰に聞いても、ほぼ100%、参鶏湯がおいしかったと言っている。日本人の味覚にあうのだろう。さっぱりしてるけど、栄養ありそうだし、塩加減が調節できるのもいい。
食後は散歩もかねて、国際市場をブラブラ。掘り出し物は見つからなかったが、ゴチャゴチャ感が面白い。
ひと周りしてから、元来た通りに出ると思って歩いていたのだが、どうも様子がおかしい。行けども行けども知らない場所…。
道行く人に南浦洞の駅はどこか尋ねると「歩いて20分ぐらいかかるわよ」と、逆方向を指さす。ずい分遠くに来てしまっていたのねえ〜。暑いなか、余計な散歩をしたおかげでヘトヘト、喉はカラカラ。
やっと南浦洞駅に戻り、喫茶店「素花房」で休憩。ここでは、お気に入りの伝統茶、五味子茶をいただく。この、甘くて苦くてすっぱい味、なかなか美味である。ちなみに客は日本人だけだった。
3:00PM 西面にある「オアシス」という店で足裏マッサージ(45分34000W)。ロッテデパートの免税店で土産を買ったあと、ガイドブックに載っていた居酒屋(SKC プラザの裏のほう)を探す。西面の裏通りは初めて訪れたが、若者でにぎわっていて、なんとなく渋谷に似ている。
6:00PM やっと見つけた居酒屋に入ると、店員がコーラと砂糖、簡易コンロを持ってきて、頼みもしないのに砂糖を溶かしてキャラメルを作り始める。ここって居酒屋だよね? さらにビールとつまみを頼んだはずが、怪しげな食べ物が次々に並んでいく。何これ?ぼったくり居酒屋? ちょっと怖くなって「頼んでない」、と日本語で強く言うが、全部お通しだという。
海苔は自分ではさみで切れ、干物は自分であぶって食べろ、というからやってみるが、どれもこれもおいしくない。ここは科学の実験ができる居酒屋なの?とっても不思議な店だ。でも、意外に客は多く、とくに若い団体客でいっぱいだ。学生時代によく行っていた「北の家族」の企画モノみたいな店なのだが、カルチャーギャップを感じる。味は最悪だったけど、オモシロ居酒屋もたまにはいいかも?!

10:00PM 海雲台に戻り、韓国映画「Ad-Lib Night」を鑑賞(映画評はこちら)。会場に女優がいたらしく、客がカメラを向けている。土曜の夜のせいか、会場は若者で満席だ。
12:00PM 真夜中だというのに、ロビーには大勢の若者がいる。この後のオールナイト作品を見るのだろう。ひかれるものがあったが、オールナイトなんて、10年以上行ってない。気張って若者のフリすると後でしっぺ返しがきそうなので、おとなしくホテルに戻る。

*ちょっと一言:昨年までは、イベントの追加情報があちこちに貼り出され、作品評や記者会見の様子が書かれた英語のフリーペーパーも発行されていたのだが、今年はハングルのものしか出していなかった。サービス面では、昨年までのほうがよかった気がした。
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10月15日

8:00AM 今日の便で帰る友人を見送りがてら、グランドホテルの温泉へ(6500W)。広くて綺麗で海も見えて、気持ちいい。ホテルの狭いユニットバスに飽き飽きしていたので、こり固まった身体をゆっくりとストレッチ。岩盤浴が3種類もあったのでいろいろ試してみるが違いはわからず。
グランドホテルのロビーは、今日から始まる「スター・サミット・アジア」の準備で大忙し。釜山はあちこちでイベントがあるので、嫌でも祭りの気分を味わえる。
12:00PM 中国映画「The Road」を鑑賞(映画評はこちら)。立ち見チケットだったが大作じゃないし、座れるだろうと高をくくって空いている席にちゃっかり座る。ところが、指定券を持った人がギリギリでやってきて2度も席を立つはめに。韓国の人はみんな3分前ぐらいにどっと入ってくるので要注意だ。客席の明かりが消えてから、空いてる席をさがし、やっと着席。
3:00PM ソル・ギョングの新作「熱血男児 Cruel Winter Blues」を鑑賞(映画評はこちら)。舞台挨拶には、主演二人が来なくてがっかりだったが、母親役の女優さんはいらしていた。映画の中では田舎のオバチャンそのものだったが、実物は上品なマダム。さすが女優、しっかり化けてます。

三国志 6:00PM 香港エンターテイメント映画「三国志-龍の復活- Three Kingdoms:Resurrection of the Dragon」のプロモーション・パーティーが開かれるグランドホテルへ。6時開始と聞いていたが、いっこうに始まる気配がない。
30分後、やっと会場に入るが、待てど暮らせどアンディは出てこない。1時間近く待たされたあと、やっとプロデューサーが登場。そして、ダニエル・リー監督、アンディ・ラウ、マギーQ、サモハン・キンポーと、出演者が続々、ステージにあがる。
生サモハン・キンポーのテカテカに脂ぎった顔、恰幅のいい身体、ギラギラかがやく指輪に度肝を抜かれる。確実に、横幅はマギーQの2倍はある(写真)。
集まったメディアが比較的少なかったので、スターが退場した後は、ゆっくりオイシイご馳走を、と思ったが、みんな遠慮という概念がないのか、横入りするわ、一人で寿司を何個も取っていくわ、すさまじい食い物争奪戦である。「郷に入っては…」で、私もずうずうしく、パクついて空腹を満たす。
 と、ここでアクシデント発生。食べるのに夢中になるあまり、カメラを誤って落としてしまう。我ながら大ドジ…。もし壊れていたら、この後の大一番で写真がとれないことになる。レンズのカバーが閉まらなくなっていたが、とりあえず撮影はできそうだ。

8:30PM 続いて「KMカルチャーの夜」が開かれるパラダイスホテル2階へ移動。30分前なら余裕かな、と思ったらとんでもない人の数にガク然…。すでに入口は長蛇の列である。アンディには申し訳ないけど、「三国志」とは比べものにならない盛りあがり。イ・ビョンホンの人気は、日本だけではなく本家韓国でも別格のようだ。
 はじめ、ゲストの列に並んでしまい、慌ててメディアの列に割り込むと、ハングルで「後ろに並びなさいよ」と怒られてしまう。ずうずうしさがここでは通用せず。まあ、何時間も前から陣取りしていた人からしたらむかつくし、当然でしょう。
 素直に後ろに並ぶが、列はいっこうにすすまない。見ていると、プレスもどんどんゲストの入口から割り込んでいるではないか。
 もう、どうなってるのかさっぱりわからない。スタッフもあまりの人の多さにパニックになっている様子だ。再び割り込みにいくと、今度はすんなり入れてもらえる。(後で聞いたが「KMカルチャーの夜」は、事前に電話予約が必要だったらしい。制御不能状態では、予約チェックどころじゃなかったが^^;)
 やっとのことで中に入ると、立食ではなく結婚式のような丸テーブルがずらーり。すでに、前のほうの席は人で埋まっているので、しかたなくうしろの席に座る。料理も用意されていたが、続々と人が入ってきていて、あっという間に立ち見客であふれる。
 今まで見てきた記者発表パーティーとは、比較にならない豪華さで、華やかな雰囲気に飲み込まれそうになる。

9:30PM まず、KMカルチャーが製作した3本の映画の紹介が始まる。監督やキャストも来ていたが、盛り上がりに欠ける。 完全な前座扱いでゲストが気の毒になる。
このパーティーは、国内メディア向けらしく、英語の通訳はいっさいナシ。だからインタビュー、さっぱりわからず。
 それでも、日本からきた追っかけオバサマたちは、お洒落して、しっかりと前方ゲスト席に陣取っていた。スバラシイ!
夏物語1 夏物語2  休憩のあとは、本日のメインイベント「夏物語」である。はやめに前方カメラ席に割り込み、ビョンホン待ちをするが、なかなか出てこない。映画の予告編が何度も流れ、じらすじらす。
 やっと名前がコールされ、チョ・グンシク監督、スエ、そして会場にいるすべての人が待っていたイ・ビョンホンが登場!
緊張気味のスエをやさしくリードするビョンホンの姿に胸ときめかせながらも、ここはあくまで冷静にシャッターを押す(写真)。何を話してるのかはさっぱりわからなかったが、生の声を聞けただけで、幸せな気分に(これを書きながらも思い出してニヤけてます)。
しつこく情報チェックした甲斐があったわー。大満足のひとときでした。

 その後、パラダイスホテルの庭で日本主催のパーティーが開かれていたので、ちらっと覗いてみる。尊敬する映画評論家であり文科省官僚の寺脇研氏が賞を受け、「日本と韓国の関係が、かつてのように悪化しないことを、心から願っています」と、熱く語っていたのが印象的だった。

*後日談:朝鮮日報に「日本から押しかけた韓流スター追っかけファンのマナーが悪すぎる」と書かれていた。 現場では、それほどひどいとは感じなかったが、ゲストパスを金で買っている人もいたらしい。 それよりも、追っかけがどうやってレア情報を入手するのかに興味津々。彼女たちのずうずうしさを批判する前に、情報収集力を学ぶべきかも。次回は追っかけの皆さんにぜひインタビューしてみたい。
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10月16日

10:00AM 今年の釜山、ラストデイは、日本での公開が期待できない作品を中心に見ることに。1本目はルーマニアのコメディ映画である。
チャンサン(Jangsan・萇山)駅にある「2001アウトレット」上のシネコン「OCV」へ移動。開店は10時半からだったので、隣にあったスーパーで食料を物色。このあたりは高級住宅街なのか、食材も豊富である。
11:00AM ルーマニア映画「12:08 East of Bucharest」を鑑賞。月曜の午前中、しかも東欧映画というのに、客が多くてびっくり(映画評はこちら)。

サミット 1:00PM タクシーでグランドホテルへ移動。ふた駅離れているが、わずか5分で到着(25000W)。歩くのに疲れたらタクシーは安くて速くて便利である。
グランドホテルでは、注目のアジアン・スターが集まる「第1回スター・サミット・アジア」の受賞式が開かれていた。
日本からは蒼井優、市原隼人、香椎由宇が参加。ほかに韓国の演技派ファン・ジョンミン(「甘い人生」他)、チャン・ジニョン(「菊花の香り」)、中国のグオ・シャオドン(「Summer Palace」)、ジョウ・シュン(「ウィンター・ソング」他)らが受賞。ベトナム女優のドー・ハイ・イェン(「愛の落日」他)は、上品な黒のドレスで登場(今回の映画祭ゲストのベストドレッサー!写真なくてスミマセン)。
アジアの若い俳優&スタッフにはどんどん海外に進出してもらい、国を超えたすばらしい作品をたくさん作ってほしいなあ。市原君の初々しい挨拶をみながら、そんなことをしみじみ思ったりする。
黒板 3:00PM 映画の合間に、スーパーやDUTY FREEで慌てて土産を買う。リニューアルしたばかりのパラダイスDUTY FREEは、20〜15%オフになっていたが、元が高すぎて手が出ない。欧米ブランドの化粧品は日本より高いので買わないことにする。
買い物のあとは、釜山の街をのんびり散歩。ビーチ沿いの道端にある黒板には、なにやら落書きを楽しむ人々の姿が(写真)。何を書いているのかは不明。

4:00PM イラン映画「Mainline」鑑賞。(映画評はこちら)。小腹が空いてきたので、スポンジ5階のフードコートで冷麺を食す。さっぱりしてるけど、辛くておいしい。釜山最後の晩餐は、豪華ではなかったけど、まずまずの味だった。
7:30PM 今年の釜山最後の映画、セルビアの「The Optimist」を見るため、再び「OCV」へ。私のもっとも愛する映画「アンダーグラウンド」の主演俳優ラザル・リストフスキーが出ているブラック・コメディといことで期待が膨らむ(映画評はこちら)。
10:00PM 釜山最後の夜。海雲台駅を降りて外に出ると、少し肌寒い。今年の釜山は例年以上に天気がよく夏のように暑かったが、夜になるとさすがに秋を感じる。あっという間に過ぎてしまった1週間を振り返りながら、ちょっと感傷的になる。
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10月17日

7:00AM ついに最終日。あとは飛行機に乗って帰るだけ。フロントの無愛想なお姉さんに「チェックアウト」と言ったら、冷蔵庫も電話もチェックせず、領収書も出さずに「OK」で終了。ほんとに大丈夫? 最初から最後までアバウトなフロントだ。お世辞にもサービスが良いとは言えないけど、立地のわりに格安だし、部屋も綺麗だったので、よしとしよう。
7:30発のリムジンバスに乗るため、歩いてグランドホテルの乗り場へ。5分前に着いたバスは、出発時間を待たずに発車してしまった。はやめに着いていてよかった〜。乗り遅れた方はお気の毒。(15分おきに出てるけど)。パラダイスホテルやシークラウドホテルを回って空港へ向かう。予想どおりかなり渋滞していて、1時間以上かかってしまう。
10:40AM チェックインはあっという間に終了。電話を返却した後はすることないので(プサンナビで予約していくと通話料のみで3000W=約400円。お得!)、出発までの時間、ぼんやりと過ごす。釜山の空港はソウルと違って何にもないので暇である。
来るときの成田のようなサプライズがないか、とキョロキョロしてみるが、テレビでよく見る作家がいたぐらいで、スターには会えず。
今年はだいぶ勝手がわかり、比較的時間の無駄なく釜山を楽しめた。それでもやっぱり、あれもこれも見たかった〜見逃した〜、と、欲深くなってしまうのでありました。

【釜山国際映画祭06 受賞結果】
優秀作品(NewCurent部門):
Betelut」 (Heng Yang監督・中国)
*非行に走る中国の若者をリアルに描いた作品。
Love Conquers All」 (Chui Mui Tan監督・マレーシア)
*ペナン島から都会に出てきたばかりの少女と若いヤクザの恋物語。
観客賞(NewCurent部門):
The White Silk Dress」(Huynh Luu監督・ベトナム)
*1950年代、戦争の陰が忍び寄るホイアンの町に住む貧しい人々の姿を描いた作品。
NETPAC賞:
The Last Dining Table」(ROH Gyeong Tae監督・韓国)
*2つの家族の人間模様をリアルに描いた群像ドラマ。

【惜しくも見逃してしまった映画】
Kabul Express」 (Kabir Khan監督・インド)
*アフガニスタンに潜入した2人のジャーナリストの28時間をシニカルに描いたブラック・コメディ。
Taxidermia」(ジョルジ・バールフィ監督・ハンガリー)
*祖父、父、息子。3世代の男の奇想天外な人生狂想曲。今年のカンヌで物議をかもした注目作。
MingMing」(Susie Au監督・香港)
*三人の女と一人の男のミステリアスな関係をスタイリッシュに描いた作品。ジョウ・シュン、ダニエル・ウー主演。

【プロモーション・パーティ】
「中天」(チョ・ドンオ監督、チョン・ウソン、キム・テヒ主演)
*死者が昇天するまでの49日の空間「中天」を舞台にしたエンターテイメント武侠映画

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