最新のラテン映画&DVD(ブラジル、メキシコ、アルゼンチンetc…)をワンポイント診断。
大絶賛から辛口コメントまで、BOSSA独自の視点で切り込みます。
MEXICO BRASIL ARGENTINA CUBA COLOMBIA  PERU URUGUAI CHILE、BOLIVIA e outro  中南米映画アーカイブ(2010~21)

タイトル
監督・出演
☆解説&感想 鑑賞日時

【ブラジル】

私はヴァレンティナ VALENTINA
監督:カッシオ・ペレイラ・ドス・サントス/出演:ティエッサ・ウィンバック|グタ・ストレッサー/ブラジルのミナス州の小さな街に引っ越してきた17歳のヴァレンティナ。トランスジェンダーであることを伏せて、女子として学校へ通い始めるが、校長からは、父親の署名がないと通称は使えない、と言われてしまう。母子家庭のヴァレンティナは友だちの手を借り、父親を探そうとする。ある夜、仮装パーティで、悪魔の仮装をした男に下半身を触られたヴァレンティナは犯人捜しを始める。同時に、ヴァレンティナは男だと揶揄する映像が拡散され…。
 性的マイノリティの差別を扱った映画は数多く見てはいるが、これは高校生の話で、実際にトランスジェンダーの子が演じていることもあり、リアルかつストレートに偏見への苦しみが伝わってきた。ヴァレンティナと親友の関係性にはほっこりさせられたが、一方で差別をするマッチョたちのやり方が暴力的で辛いものがあった。母親は聖人ではないのだが、ヴァレンティナとしっかり向き合っていたのがよかった。説教じみたことは言わないけど、ヴァレンティナの苦しみを受け止めていた。監督自身がゲイということなので、誰かモデルになった人もいるのかも。
 とても良い映画なので、もっとたくさんの人に見てもらいたいのだけど…。映画の日なのに客が一人って、それはないでしょ、でした。2022.4

これは君の闘争だ ESPERO TUA (RE)VOLTA
監督:エリザ・カパイ/2013年6月、ブラジル・サンパウロの路上で公共交通料金賃上げに対する大規模な抗議デモが起きた。初めはバス料金20セントに対する要求だったものが、次第に物価上昇や重税、人種差別など、様々な問題に対する抗議へと広がっていった。そして2015年10月、サンパウロの高校生たちが公立学校の予算削減案に抗して自らの学校を占拠し始めた。
 デモが起こった背景を良く知らなかったので、勉強になった。学生たちのパワーに頼もしさを感じた。未来が見えない香港のデモと違い、ブラジルのデモは少しは光が見えるのが救い。デモも祭りにしてしまう国民性もあるのでしょう。同じことの繰り返しで正直、飽きてしまった。もう少し違う切り口も欲しかった。2022.3

いんちきーズ os salafrarios
監督:ペドロ・アントニオ 出演:マルクス・マジェーラ | サマンタ・シュムーツ | カイート・マイニエル/絵の贋作で詐欺を働くクロビスのもとに義理の妹ロアーニがやってくる。詐欺師にキッチンカーをだまし取られたロアーニは、兄の詐欺に手を貸すことに。
ブラジルらしいおバカ丸出し、マシンガントーク炸裂のコメディ。全編爆笑コントが続くので、見ていて疲れるが、何も考えたくないときに見るには最高のコメディです。2022.1 Netflix

プリジョネイロ 7 PRISIONEIROS
監督:アレクサンドル・モラット 出演:クリスチャン・マリェイロス | ロドリゴ・サントロ | ブルーノ・ホーシャ/サンパウロ州の農村部カタンドゥバで家族と暮らしていたマテウスは、生活のためにサンパウロ市に出稼ぎに行くが、そこでは自由を奪われた囚人のような暮らしが待っていた。廃品工場の経営者ルカに対しマテウスは反発するが…。
 ブラジルの労働者の過酷な現実をシビアに描いた作品。非人道的な扱いに反発しながらもマテウスが徐々に彼らのやり方に染まっていってしまう現実が痛々しい。美形俳優ロドリゴ・サントロが汚れ役に徹していた。顔だけじゃないロドリゴにブラボー。
辛い展開

人生のコンマ O Vendedor de Sonhos
ジャイミ・モンジャルジン監督、 Dan Stulbach, Cesar Troncoso出演/心理学者ジュリオが高層ビルから飛び降りようとしているところに、なぞの男が近づき、声をかける。彼の言葉で自殺を踏みとどまるが…。 人間の内面に訴えかけるスピリチュアルもの。説教くさいので苦手なタイプの映画だった。2022.2 Netflix


【メキシコ】
コップ・ムービー Una pelicula de policias
アロンソ・ルイスパラシオス監督、ラウル・ブリオネス、モニカ・デル・カルメン出演/女性警官テレサと相棒のモントーヤは警察官になった経緯と日常を独白する。やがて二人は恋をしてラブ・パトロールと冷やかされるようになる。ここまではドキュメンタリー風のフィクション。その後、映画は撮影裏話というドキュメンタリーに変わり、さらに、実際のテレサとモントーヤが登場。そして、警察組織の腐った現実へと話が進んでいく。今まであまり見たことがないような構成で次は何がくるの?っていうワクワク感もある。フィクション部分では恋話もあってコミカルなのだが、後半はぐっと笑えない現実に進んでいく。映像も凝っていてて飽きさせないし、音楽もスタイリッシュ。ルイスパラシオス監督(『グエロス』『Museo』)は将来有望。メキシコの映画界は人材豊富だ。ベルリン国際映画祭2021芸術貢献賞受賞。2022.1 Netflix

人生はコメディじゃない EL COMEDIANTE
監督:ロドリゴ・グアルディオラ、監督・主演:ガブリエル・ナンシオ、出演カサンドラ・シアンゲロッティ | アドリアーナ・パス/売れない劇作家ガブリエルは引きこもりがちな日々を送っている。それでもある女性から宇宙人と交信できる、といった話を聞かされたり、子どもが欲しいという女友だちから精子を提供してほしいと言われるなど、少しずつ生活に変化も見え始め、新しい生き方を考えはじめるのだが…。
 こだわりが強くプライドの高いガブリエルが、ユニークな女性たちに翻弄されていく展開は興味深いのだが、くどい台詞が多くてちょっと退屈。もう少しブラックコメディなテイストだったら楽しめたのに。残念。グアダラハラ映画祭では撮影賞受賞。2022.1 Netflix

ダンス・オブ・41 El baile de los 41
監督:ダビ・パブロス(『囚われた少女たち』)、出演:アルフォンソ・ヘレラ エミリアーノ・スリータ マベル・カデナ フェルナンド・ベセリル ロドリーゴ・ビラーゴ/1900年初頭のメキシコ。大統領の娘と結婚した議員イグナシオには若い男性の恋人がいた。イグナシオは密かに入会していた貴族的なゲイの会合に恋人を誘う。一方、妻は夫の冷たさに心を痛めるていた。ゲイの会合が密告され、41人がさらし者にされた、という衝撃の実話を映画化。どちらかというとゲイとは知らずに結婚してしまった妻に感情移入してしまった。イイグナシオを演じたアルフォンソ・ヘレラのルックスには惚れ惚れ。2022.1 Netflix


【アルゼンチン】

明日に向かって笑え! La Odisea de los Giles
監督・脚本:セバスティアン・ボレンステイン、出演:リカルド・ダリン、ルイス・ブランドーニ、チノ・ダリン、ベロニカ・ジナス/2001年アルゼンチン。元サッカーのスター選手フェルミンは、放置されていた施設で農業組合を作るため出資を募る。住民たちの協力により資金が集まるが、現金を銀行に預けた翌日、金融危機で預金が凍結され、さらに悪徳弁護士に彼らの資金をだまし取られてしまう。
 アルゼンチンの金融危機を背景にした市民たちの逆襲を描いている。前半はシリアスな悲劇が続くので、これってコメディ?と思ったが、後半はグッとスピード感が出てきてワクワクさせられる展開。キャラクターの強い出資者たちだけだと正直、華がないのだが、そこにフェルミンのイケメンの息子も絡ませることでエンタメ色もプラスされ、楽しく見ることができた。カタキ役のアタフタ感、間抜け感もケッサクです。2021.6


【キューバ】
【コロンビア】
MEMORIA メモリア
監督:アピチャッポン・ウィーラセタクン 出演:ティルダ・スウィントン | エルキン・ディアス | ジャンヌ・バリバール/頭の中で鳴り響く謎の爆発音に悩まさる女性が、その原因を探ろうする。理解するのは無理だとは思っていたのだが…。よくわからない…。森の中の長回しのシーンにはひきつけられるものあり。後半、魚の形をした謎の物体が出てきて、これは「2001年宇宙の旅」なのかあ?とも思ったのだけど。過去と現在と未来の出会い、みたいなものなのでしょうか。最後までそれって、必要?と思ったのだが、妹との関係性。音と映像はアートでした。2022.3

【ペルー】
アンダーグラウンド・オーケストラ
エディ・ホニグマン監督/パリの地下鉄構内、あるいは街角で、さまざまな音楽家が思い思いの楽器を演奏し、糧を得ている。ベネズエラやサラエボ、ルーマニアから移民としてやってきた彼らの奏でる演奏と、過酷な現実を切り取った音楽ドキュメンタリー。国や事情は違えど故郷を離れた人々の寂しさは同じ。異国の地で懸命に生きる彼らに感情移入できた。とても良質の映画でした。2021.11 ペルー映画祭にて

忘却
エディ・ホニグマン監督/ペルーの首都リマに生きる老バーテンダー、路上パフォーマンスで日銭を稼ぐ若者や子どもたちの日常を追ったドキュメンタリー。サンパウロと似ているなあ、と思い出しながら見てました。2021.11 ペルー映画祭にて

ユートピアクラブ 消えた真実
ヒノ・タッサラ監督、レンゾー・シューレル/ロッサーナ・フェルナンデス・マルドナード/カルロス・ソラーノ出演/2002年7月、若者に人気のリマのクラブ「ユートピアクラブ」で火災事故が起き29人の若者が命を落とした。遺族たちは杜撰な経営を行っていたクラブのオーナーを訴えるが、政治も絡みまっとうな裁判が行われないでいた。ジャーナリストのフリアンは遺族や現場にいた人物にコンタクトをとり、真実に迫っていく。
 実話の映画化。ホワイトカラーの恵まれた家族が事件によって悲劇に見舞われる、という、国際映画祭などではあまり取り上げられない内容だったので新鮮だった。映画の構成は拙さを感じもどかしかった。前半のドキュメンタリー風なテイストと、最後のドラマチックな展開のバランスが悪くて、唐突な感じがした。ハリウッドでリメイクすれば、もっと面白くなりそうな内容ではあった。2021.12 ペルー映画祭にて


【ウルグアイ】

【チリ, ボリビア、パラグアイ、ベネズエラ、エクアドル、グアテマラ、パナマほか】

カナルタ 螺旋状の夢 KANARTA: ALIVE IN DREAMS
監督:太田光海/日本人監督が、かつて首狩り族として恐れられたシュアール族の村で村長夫婦の家に住み込み、アマゾンのジャングルで大自然とともに生きる彼らの日常を見つめるとともに、そうした営みの中で培われ受け継がれてきたユニークかつ奥深い世界観に迫っていくドキュメンタリー。
 先住民族の村長がサービス精神が旺盛で、キャラクターが魅力的なので、飽きずに見ることができた。アマゾンに生息する薬草の話など、興味深い。妻が創るユカの煮込みスープには、唾を入れることで塩味と酵素でうまみがでるという。唾を入れるというのが現代人にとってはちょっと引くのだが、考えてみればそれは生き物の知恵の一つ。一方、彼らは原始的な生活だけでなく、町に出て水の浄水設備を要求したり、息子に高度な学問を受けさせたりしており、現代の生活と伝統的生活、両方を上手く折り合いをつけて生きているのがリアルだった。先住民族だってテレビでサッカーの試合は見て興奮するし、お洒落な洋服は着たいし、ジャングルを歩くために頑丈な長靴を履く。二択ではなく両立している生活に好感が持てた。主演俳優賞が貰えそうな個性の強いキャラクターとの出会いにアッパレです。2021.10

パナマ)
チャンス! メイドの逆襲 CHANCE
監督:アブナー・ベナイム 出演:ローサ・ロレンゾ、アイダ・モラレス、フランシスコ・ガットルノ/大統領選に立候補した実業家の夫と富裕層出身の妻のもとで働く二人のメイドトーニャとパキータ。10年もの間働いてきたが給料は2カ月も未払いだ、コロンビアで暮らす息子の授業料が払えないと訴えるパキータだが、夫婦は無視。トーニャとパキータは一家を軟禁。
 派手に見えても中身は借金だらけという富裕一家のもとで働くメイドの下剋上をコミカルに描いている。パナマが舞台だが、格差社会のブラジルでもよく描かれる世界と共通点が多い。面白く見れました。2022.3
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