最新の映画&DVDをワンポイント診断。
大絶賛から辛口コメントまで、BOSSA独自の視点で切り込みます。
2021年   アーカイブ(2021~1999)

タイトル
監督・出演
☆解説&感想 鑑賞日時

2023年度 (高評価作品)

サタデー・フィクション SATURDAY FICTION ★★★
監督:ロウ・イエ 出演:コン・リー | マーク・チャオ | ワン・チュアンジュン、中島歩、オダギリジョー/1941年、上海の英仏租界。日本軍の占領を免れていたこの地では、各国の諜報員が暗躍している。新作舞台『サタデー・フィクション』で主役を演じる女優ユー・ジンは、久しぶりに上海に戻って、舞台稽古に通っている。実は彼女にはフランスの諜報員に育てられた女スパイという裏の顔があった。一方、暗号変更のため上海へやってきた日本海軍少佐・古谷は…。
 前半は、アンニュイなモノクロ映像とコン・リーの立ち居振る舞い、ジャズ音楽が見事に絡み合って、アート映画として魅せられた。後半はガラっと変わって、フランス、中国国民党、共産党のスパイ、そして日本軍が絡んで、ハラハラドキドキの展開に。前半と後半、どちらも手抜きせず、しっかりとディテールに拘っているので、一度に2度楽しめる、お見事な作品に仕上がっていた。今までのロウ・イエ監督作品とはテイストが違うが、私はこちらも方が断然好みです。この感動は、映画館のスクリーンでないと味わえない。見に行って大正解。
日本軍に協力するクズ野郎を演じたワン・チュアンジュンの演技が光っていた。「薬の神じゃない」にも出演しているし、要注目。2023.11

枯れ葉 FALLEN LEAVES  ★★
監督:アキ・カウリスマキ 出演:アルマ・ポウスティ | ユッシ・ヴァタネン | ヤンネ・フーティアイネン、シェルワン・ハジ/ヘルシンキのスーパーマーケットで働いていたアンサは、ある日仕事をクビになり、1人、部屋のラジオでウクライナの戦況を聞きながら過ごしていた。一方、労働者のホラッパはアルコールが手放せない日々を送っていた。2人がカラオケバーで出会い、互いの名前も連絡先も知らないまま惹かれあるのだが。
 この独特の世界観、待ってました!という感じ。不遇な二人が出会い、喧嘩別れしながらも、お互いのことを気にかけていて、最後はハッピーという展開は、大人のラブストーリーの王道。なんだけど、カウリスマキなので、面白ネタが散りばめられて終始ほっこり。歌へたくそなのに、俺はカラオケ王だと言い続け、周りもなぜか認めている同僚の男が2人のキューピット役、というのがケッサク。何度でも見たくなる作品。2024.1

瞳をとじて Cerrar los ojos  ★★★
監督:ビクトル・エリセ、出演:マノロ・ソロ、ホセ・コロナド、アナ・トレント/映画の撮影中に主演俳優フリオが失踪した。22年後、元映画監督でフリオの親友でもあったミゲルは、失踪事件の謎を追うTV番組から証言者として出演依頼を受ける。取材協力する中で、ミゲルは自らの半生を追想していく。
 フリオの失踪を思い出したことをきっかけに、ミゲル自身が過去に出会った人や、出来事を振り返っていくのだが、その心の揺れが様々な人との会話を通じて丁寧に描かれている。台詞の一つ一つにうなづきたくなるほど、感情移入できた。男とか女とか、境遇とか、名前とか、そんなものの違いは人の一生にとって大した問題ではないのかも。
 フリオが最終的に記憶を取り戻すかどうかは神のみぞ知る、というエンディングであってほしい、と願っていたので、このラストシーンには拍手喝采。スクリーンを通して、2人の男の心が通じ合ったという確信が持てたので、それだけで大満足です。
 この映画はエリセ監督の集大成ということで、過去作品へのオマージュや、撮れなかった未完の作品への思いが詰まっているとのことだが、とくにエリセ作品好きでなくても楽しめると感じた。もっと、台詞が少なく、静かな作風を予想していた。意外と台詞が多く展開もドラマチックだったのでまったく飽きずに見ることができた。監督の映画愛が凝縮された逸品です。2024.1

アメリカン・シンフォニー American Symphony ★★
監督:マシュー・ハイネマン、出演:ジョン・バティステ、スレイカ・ジャワド/R&B、ジャズ、クラシックまでジャンルを超えて活躍するジョン・バティステ。乗りに乗っているミュージシャンの成功のドキュメンタリーかと思って見始めたのだが、まったく違うテイスト。学生時代に知り合った最愛の妻の闘病の日々と、仕事と私生活の間で苦悩するジョンとの夫婦の絆を優しい視点で追った人間愛に満ちたドキュメンタリーだった。抗がん剤治療前に、妻の髪をバリカンで刈ってあげたり、病室で妻の横に添い寝する姿など、派手ではないけど静かに寄り添うジョンの姿は、華やかなステージで歌い踊っている表の顔とはまったく違う。芸能人というのは裏と表を行き来しながら生きることを強いられているのだろう。表の顔しか知らなかったファンとしては、申し訳ない気持ちにもなったのだが、ジョンの一途な人柄が伝わってきて、益々彼を応援したくなった。いつかライブに行ってみたい。2024.1 Netflix

リトル・リチャード:アイ・アム・エヴリシング LITTLE RICHARD: I AM EVERYTHING ★★
監督:リサ・コルテス 出演:リトル・リチャード | ミック・ジャガー | ポール・マッカートニー/ロックンロールの先駆者として多くのミュージシャンたちに多大な影響を与えた黒人アーティスト、リトル・リチャードのドキュメンタリー。クイアであることを昔から公表していたことや、敬虔なクリスチャンだったこと、神への愛と自分の性癖の葛藤など、音楽面だけでなく、人間として様々な側面が描かれていて見応えがあった。音楽面では、あるある話なのだが、やっぱり彼も不当な契約をされていて、あれだけの世界的ヒットを飛ばした楽曲を生み出したのに、印税まったくはいっていなかったということ。晩年、派手な装いでテレビに出ていたのも、生活のためというのもあるのだろう。音楽業界だけではないのだが、個人の才能を食い物にして、一部の組織や人間が私腹を肥やしていくシステムには腹がたつわ。もう一度みてみたいお気に入り音楽ドキュメンタリー。2024.3


PERFECT DAYS 
監督:ヴィム・ヴェンダース 出演:役所広司 | 柄本時生 | 中野有紗、
麻生祐未、石川さゆり、田中泯、三浦友和/下町のアパートで一人暮らしをしている読書好きの中年男性、平山。毎朝決まった時間に起床し、軽自動車でお気に入りのカセットテープを聞きながら仕事場である渋谷の公衆トイレへと向かう。
 規則正しい平山の日常を、美しい木漏れ日や公園の風景を交えて追っていく癒し系映画。地味だけど退屈ではないのは、平山が車で聞く音楽のセンスの良さと、役所広司の圧倒的な存在感があったから。
 浅草散歩に行きたくてうずうずしてる。三浦友和と役所広司の浅草の川べりの2ショットは初めての競演?のせいか、一番印象に残った。あとはやっぱりルー・リードの音楽。「朝日のあたる家」は本家より内田裕也版の印象が強いので、内田裕也も思い出しながら見てしまった。言葉ではうまく表現できない心地よさがヴェンダース映画の醍醐味の一つ。トイレとオジサンでここまで仕上げるのはさすがです。2023.12

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン KILLERS OF THE FLOWER MOON
監督:マーティン・スコセッシ 出演:レオナルド・ディカプリオ | ロバート・デ・ニーロ | リリー・グラッドストーン、ジェシー・プレモンス/地元の有力者ヘイルを頼ってオクラホマへと移り住んだアーネストは、強制移住させられた土地で石油が出たことで莫大な財産を手にしたオセージ族の女性モリーと結婚。間もなくモリーの姉妹が次々と謎の死を遂げる…。20年代のオクラホマがいかに差別的な地域だったかが、じわじわと伝わってきた。先住民族にとって不利な法律に関しては、映画だけだとわからないので、原作を読んでおいて正解。先住民に取り入っているふりをしながら、財産目当てに殺人を依頼する大悪党役のデニーロが貫禄の存在感だった。音楽監督ロビー・ロバートソンの遺作となった作品だったので、とくに音楽に注力して見ていた。荒涼とした風景と不穏な社会を見事に音で表現していた。ロビー自身が先住民の血を引いているということもあり、感慨深いものあり。2023.11

怪物 ★★
監督:是枝裕和 出演:安藤サクラ | 永山瑛太 | 黒川想矢/シングルマザーの早織は、小学生の息子・湊の異変を察知し、担任教師・保利に疑念を抱く。学校へ抗議に行くが、教師たちの対応に怒りを募らせる。
 一方の保利は、湊への暴力を否定し、湊がクラスメートの依里をイジメていると訴える。真実はいったい何なのか?という「やぶの中」式に物語は進んでいく。
 母も担任も悪い人ではないのだが、表面的にしか物事を捉えられないことで、知らないうちに子どもたちを追い込んでしまう。これは誰でもやりがちなこと。学校の描き方や大人の事情などはステレオタイプだな、と見終わった直後は感じたのだが、実はそれこそが狙いなんだと後から思った。
 また子ども二人のピュアなシーンがあまりにも美しいので「この映画は、大人の嫌な世界と、子どものピュアな世界を対比させているのね」と見ているときは感動していたのだが、しばらく経って思い返すと「いやいや、子どももかなりの怪物揃いだわ」と、思い出し…。子どもだろうが大人だろうか、何気ないウソや言葉が相手を傷つけてしまうことがある。でも、それを怖がっていたら社会では生きていけないし…。いろんな思いがふつふつと湧いてきて、自分の頭や心が混乱してきた。すごい脚本です。坂元裕二、さすがです。2023.6

ダンサー そして私たちは踊った AND THEN WE DANCED
監督:レヴァン・アキン 出演:レヴァン・ゲルバヒアニ | バチ・ヴァリシュヴィリ | アナ・ジャヴァヒシュヴィリ/ジョージアの伝統舞踊のダンサー、メラブは厳しい練習とレストランのバイトで日々忙しく送っている。新人ダンサーのイラクリと親しくなるが、二人は友情を越えた感情を抱き始める。ジョージアが同性愛に対して閉鎖的な国ということを知らなかったので、衝撃だった。バレエと違い、伝統舞踊の男のダンサーは、男らしさ重視だそう。主演を演じたのはダンスが専門で、役者デビューとのこと。存在感あり。2023.7 Amazon

皮膚を売った男 THE MAN WHO SOLD HIS SKIN 
監督:カウテール・ベン・ハニア 出演:ヤヤ・マヘイニ | ディア・リアン | ケーン・デ・ボーウ/モニカ・ベルッチ/サムは、恋人と乗った電車の中で「自由」を叫んだ罪で逮捕される。警察から逃げ出したサムは恋人の元へ駆け付けるが、彼女は外交官との見合い中だった。失意のまま、レバノンに逃れるが、前衛的芸術家のギャラリーで、風変りな仕事を依頼される。それは、サムの背中にタトゥーを施しアート作品にするというもの。アートになれば、ビザがなくても海外に行けると思い、引き受けるが…。
 前衛的アートの世界を面白おかしく描きながら、シリア難民という過酷な現実も描いた画期的な作品だった。コミカルだけどシリアス。重いテーマだけど、愛がある。エンタメ性もあり。大好きなジャンルです。面白い!大どんでん返しはかなり現実離れしているが、ここで理想を語らなきゃやってられないシリアスな現実が裏にはある。そこをあぶり出すこともテーマの一つなんだろう。人の身体をキャンバスにした現代美術家ヴィム・デルボアのアートから着想を得たとのこと。彼もカメオ出演しています。モニカ・ベルッチが芸術家のエージェント役なんだけど、キャスト表見るまで気づかず。新人監督の作品で、脇役なのによく出てくれたなあ。モニカはさすが大物です。2023.8 U-NEXT


2022年度 (高評価作品)

パラレル・マザーズ MADRES PARALELAS  ★★
監督:ペドロ・アルモドバル 出演:ペネロペ・クルス | ミレナ・スミット | イスラエル・エレハルデ/写真家のジャニスは考古学者のアルトゥロに、スペイン内戦で亡くなった親族の遺骨発掘について相談。やがて彼の子を妊娠したジャニスは、シングルマザーとなることを決意する。病院で17歳の妊婦アナと出会い二人は同じ日に出産。その後ジャニスは娘の肌の色をアルトゥロから指摘され、密かにDNA検査をする。
 部屋のアート感や色使い、出演者はアルモドバルならではなのだが、ストーリー展開が意外にシリアスで、最後はパトリシオ・グスマンの作品のようになり、へえ~でした。アルモドバル監督も、内戦のことを描くようになったのですね。赤ちゃんの取り違え、二人のシングルマザーの関係、母と娘の確執など、女性の生き方に焦点を当てながら、社会問題にも切り込んだ意欲作。2022.11

非常宣言 EMERGENCY DECLARATION  ★★
監督:ハン・ジェリム 出演:ソン・ガンホ | イ・ビョンホン | チョン・ドヨン/ジェヒョクは娘とともにハワイへ向かうが、KI501便には殺人ウイルスをわきの下に隠して持ち込んだ男が同乗していた。ベテラン刑事のク・イノは、飛行機へのバイオテロを予告するネット動画の捜査を開始。容疑者の男の部屋を調べるとそこには遺体が…。妻がKI501便に搭乗していたことを知ったイノは、飛行機の乗客を救うために奔走する。
 ビョンホンとガンホが競演しているパニックエンタメ、ということで、とくに下調べをせずに見にいったのだが、単なるパニック映画の枠には収まらない、コロナ禍にある今だからこそリアルに恐怖を感じられる展開で見応えがあった。前半はいわゆるパニックもの。シンプルだけどハラハラドキドキ。
 とっとと犯人は死ぬのだが、そこからがジリジリと社会派モードに。謎のウイルスなので、米国も日本も着陸拒否。そうこうしているうちに乗客は次々に感染し、機長も福機長も血を吐き…。ちょうど3年前の2月ごろ、横浜港に停泊してたクルーズ船で感染者が出た時には、私を含め多くの日本人が「気の毒だけど上陸してほしくない」と思ったはず。まさにそれと同じことが映画でも描かれていたので、とても心が痛くなった。クルーズ船で亡くなった人もいたのだが、みんな自分のことが大事なもんだから、さほど報道もされず、記憶の片隅に追いやられてしまっている。「他の人に感染したくない」と着陸を諦めるシーンは辛かったです。もちろん映画なので命は助かるとはわかっていても、同じ立場に置かれたら、と想像してしまった。世界がコロナ禍を体験したことで、映画の世界も確実に変わっている、と実感した。2023.1

ザ・ホエール THE WHALE
監督:ダーレン・アロノフスキー 出演:ブレンダン・フレイザー | セイディー・シンク 、ホン・チャウ/教え子だった恋人を亡くした悲しみから立ち直れずに過食症になり、一人では動けないほど肥満となったチャーリー。心臓に爆弾を抱えながらも病院を拒否し続ける彼を支えるのは、看護師のリズだった。彼は死ぬ前に、長い間疎遠だった17歳の娘エリーとの関係を修復したいと願っていた。
 元イケメンスター、ブレンダン・フレイザーの特殊メイクが話題だったが、外見よりも、チャーリーと、彼を取り巻く人々の心理描写が繊細に描かれていて見応えがあった。1幕ものの舞台の映画化のようだが、台詞がわかりやすいので飽きずに見れた。ニューライフというおそらく福音派と思われる教会の信者だった恋人の心の闇を、妹のリズが語るシーンが印象的。なぜチャーリーが「白鯨」に関するあるエッセイに拘るのか。最後になぞがとけるのだが、そこも意外性があって面白かった。社会に背を向けて生きているチャーリーをほうって置けない人々が、実はチャーリーの存在によって自分が生かされていくことに気づいていく過程も秀逸。とてもよくできた脚本でアッパレです。2023.4

名付けようのない踊り 
監督:犬童一心 出演:田中泯 | 石原淋 | 中村達也/界各地で繰り広げるパフォーマンスをカメラに収めるとともに、山梨の村で農業を営む日常の暮らしぶりや「頭山」の山村浩二監督が子ども時代を描いたアニメーションを織り交ぜ、田中泯の半生と“場踊り”の神髄に迫っていく。
 田中泯のダンスと肉体に魅せられた。若いころの裸体パフォーマンスなど、知らないことも多くて興味深かった。音声ガイドを聞きながら見てみたが、視覚に訴える即興ダンスを音で伝える難しさを突きつけられた。ここまで難しい作品はめったにないとは思うが、音声ガイドに挑戦しようとしているので、身が引き締まる思い。山梨から見える富士山や、ブラジルのサンバ、水戸芸術館など、馴染みのある場所や音楽が出てきたので、より心が高まった。いい時間を過ごせた。生でダンスを見てみたいなあ。2023.2

画家と泥棒 THE PAINTER AND THE THIEF
監督:ベンヤミン・リー/2015年にオスロのギャラリー・ノーベルで起こった絵画の盗難事件を知った。画家バルボラのふたつの絵画が盗まれ、二人の窃盗犯が捕まって75日の実刑となった事件だ。裁判にはそのうち一人の泥棒カール・ベルティルが出廷していた。決定的に強く興味を惹かれたのは、絵を盗まれた画家が泥棒の一人に「あなたをモデルに絵を描かせて欲しい」と言ったと知ったからだった…。という監督のコメントを読む前に映画を見た。これぞ奇蹟のドキュメンタリー。フィクションよりもドラマチックでした。ドラッグ中毒の泥棒の男と繊細な画家の女性が、その後あつい友情で結ばれていくなんて…。情熱的でピュアな二人が奇蹟的に出会って生まれた関係性に。ただただアッパレ。まれにみる感動秘話。大好きです。2023.1 Amazon

アトランティス ATLANTIS 
監督:ヴァレンチン・ヴァシャノヴィチ 出演:アンドリー・リマルーク | リュドミラ・ビレカ | ワシール・アントニャック/2014年、ウクライナへのロシア侵攻によって始まった戦争が終結してから1年後となる2025年。ウクライナ東部では、人が住めなくなり、兵士の遺体発掘や地雷除去が行われている。元兵士の男は遺体回収ボランティアに従事する女性と出会い…。
 定点カメラでの撮影や、光や炎の使い方など、ものすごくこだわりを感じる映画で見入ってしまった。熱が画面からじわじわと伝わってくる感じは初めて。遺体回収のシーンが多いので気が滅入るのだが、それが現実に行われていることを無視はできない。戦争が始まる前に作られた作品だが、残念ながら的中してしまった。おそらくクリミア併合の時からロシアの侵攻は予想できたのでしょう。台詞が少ないドキュメンタリー風なので映画館でみないと飽きてしまうかも。見に行って正解でした。2022.7

リコリス・ピザ LICORICE PIZZA 
監督:ポール・トーマス・アンダーソン 出演:アラナ・ハイム | クーパー・ホフマン | ショーン・ペン、トム・ウェイツ、ブラッドリー・クーパー/1973年、ハリウッド近郊のサンフェルナンド・バレー。高校生兼子役のゲイリーは10歳年上のアラナと出会い一目ぼれ。猛アタックを開始するが男性とは見てくれない。一方、アラナはパッとしない仕事や私生活で腐っていた。舞台に出演するゲイリーの付き人としてNYに行くことになり…。
 ちょっと小太りな高校生が、猪突猛進で恋や仕事に向かう姿は微笑ましい。一方で、アラナの悶々としてる気持ちはすごくよくわかるなあ。二人の青春ドラマは極々シンプルなのだが、彼らに関わる大人たちがそろいもそろって癖強すぎで笑えた。ウイリアム・ホールデンとか、バーブラの元カレとか、実在する人々の許可とってんの?と心配になるほど振り切れた演技でケッサクでした。しかも役者陣が超豪華。さすがはPTA。&音楽はもちろん予想通りの好みの曲ばかり。ドアーズの「Peace Frog」が最高に気に入った!ショーン・ペンのバイクの後ろにアラナが乗って猛スピードで走り出した途端、アラナが落とされるシーンは、「アメグラ」のラストシーンを彷彿とさせるし、選挙のボランティアに行ったら外に怪しい男がいる設定は「タクシー・ドライバー」だし、古き作品へのリスペクトも感じられて大満足。2022.7

リンダ・ロンシュタット サウンド・オブ・マイ・ヴォイス LINDA RONSTADT: THE SOUND OF MY VOICE 
監督:ロブ・エプスタイン他、出演:リンダ・ロンシュタット/圧倒的な声量でロック歌手として名をはせたリンダの生い立ちから、音楽遍歴を追ったドキュメンタリー。さほど期待せずに見にいったのだが、予想以上に楽しめた。ドン・ヘンリーやドリー・パートンなど、懐かしの大物へのインタビューも多く、またメキシコとの関係も興味深かった。今は、パーキンソン病で歌えない状況、ということだが、今の姿もさらして歌おうと試みるシーンにはウルっときた。イーグルスからミック・ジャガー、大物政治家まで、男性遍歴もものすごかったようだが、そこらへんはさらっと流し、あくまで音楽遍歴にスポットを当てていた。カントリー、ロック、ポップス、オペラ、ジャズ、メキシコ音楽、とジャンルを超えてチャレンジしてきたリンダに敬意を表します。2022.9

ブラインドスポッティング BLINDSPOTTING
監督:カルロス・ロペス・エストラーダ、脚本・出演:ダヴィード・ディグス、ラファエル・カザル、出演:ジャニナ・ガヴァンカー/黒人のコリンと白人のマイルズは、オークランドで一緒に育った大親友。コリンはある事件を起こして服役し、1年間の保護観察期間の終了まで残り3日だった。しかしマイルズは、コリンの前で銃を買ったり、パーティーで暴れたり…と、冷や冷やな日々を送る。そんな中、コリンは帰宅途中に、黒人男性が白人警官に背後から撃たれる瞬間を目撃してしまう。監督はメキシコ人。脚本は主役の二人が書いたということ。悪ガキがそのまま大人になってしまったようなマイルズとコリンの関係性が面白い。荒っぽい白人とおとなしい黒人では、世間でどちらが犯罪者に見られるか、という偏見もテーマになっている。ずーっと我慢してきたコリンが、最後にブチ切れるシーンは秀逸。好きです、この手のバディーもの。Amazon 2022.6

静かなる侵蝕 ENCOUNTER
監督:マイケル・ピアース 出演:リズ・アーメッド | オクタヴィア・スペンサー | ロリー・コクレイン/ある真夜中、軍隊を除隊した父親が、幼い二人の息子の前に現れた。父は旅行にいく、と二人を連れだす。父は、謎の地球外生物に人間が侵蝕され、二人の母も身体が乗っ取られていると話す。二人の息子は父の言う通りに、旅を続けるのだが…。
 リズ・アーメッド、いい役者だわあ。徐々に心の闇が明らかになるのだけど、息子を思う気持ちだけは本物で…。間違った方向に行かないよう、祈りながら見てしまった。息子役の二人も名演技。オススメ。Amazon 2022.5

ハングリー・ハーツ HUNGRY HEARTS 
監督:サヴェリオ・コスタンツォ、出演:アダム・ドライヴァー | アルバ・ロルヴァケル/ニューヨークで運命的に出会ったジュードとミナは結婚し可愛い男の子を授かる。ミナは妊娠中から悪夢を見るようになり、未熟児を生んだ後も、食に対して過度なこだわりを見せるようになる。子どもの成長が遅いことを心配したジュードはミナに内緒で医者に会いに行く。
 前半はラブコメテイストなのだが、後半はぐっと心理ドラマになっていき、見ていてハラハラしてしまった。こういったこだわりが強過ぎる母親って実はけっこういると思う。育児ノイローゼでは片づけられない病んだ状態なのに、本人が病気を認めないから、子どもが犠牲になってしまう。重いテーマで見た後もいろいろと考えてしまった。ヴェネチア国際映画祭の男優賞と女優賞W受賞も納得の力作です。Amazon 2022.5



2021年度 (高評価作品)

サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時) SUMMER OF SOUL ★★
監督:アミール・“クエストラヴ”・トンプソン 出演:スティーヴィー・ワンダー | ニーナ・シモン | スライ&ザ・ファミリー・ストーン/ウッドストックと同じ1969年の夏、ニューヨーク市のハーレムで行われた黒人音楽の大規模なイベント“ハーレム・カルチャラル・フェスティバル”。そこには、スティーヴィー・ワンダーやB・B・キング、マヘリア・ジャクソン、ニーナ・シモン、スライ・ストーンなどがパフォーマンスを披露し、6週間でのべ30万人以上がつめかけた。しかし、このイベントを撮影した映像素材は日の目を見ることなく50年間も封印されたままだった。
 ものすごい豪華メンバーで圧倒された。この映画は、アウトドアでビール飲みながら、時にはダンスしながら見たい。そんな大イベントが今に至るまでクローズアップされずにいたことが驚き。そこに米国の闇があるのでしょう。個人的には今年もっとも劇場で興奮させられた映画。ブラボー!!! 2021.8

ライフ・ウィズ・ミュージック MUSIC 
監督:シーア 出演:ケイト・ハドソン | レスリー・オドム・Jr | マディ・ジーグラー/自閉症のミュージックは祖母と二人暮らし。毎日同じルーチンを大事にし、それを近所の人々が支えていた。しかし祖母が急死し、姉ズーと暮らすことになる。
 ミュージカル部分とストーリーが絶妙に配分されていて、ぐっと引き込まれた。
ストーリーはかなりシビアではあるのだが、ミュージックの想像するダンスシーンがポップでかわいらしく、心がほっこりさせられた。ケイト・ハドソンはさすがに両親ともエンターテイナーだけあって、歌が素晴らしい!心優しい隣人を演じたレスリー・オドム・Jrも今後、引っ張りだこの予感のイケメン。期待を大きく上回る素敵な映画でした。2022.3

最後の決闘裁判 THE LAST DUEL 
監督:リドリー・スコット 出演:マット・デイモン | アダム・ドライヴァー | ジョディ・カマー、ベン・アフレック/14世紀のフランス。騎士ジャン・ド・カルージュの妻マルグリットが強姦被害を訴える。犯人とされたのは従騎士のジャック・ル・グリ。彼はかつての夫の友でありながら、マルグリットの父が所有していた土地を奪った男でもあった。 強姦事件を3者の立場から描いていく人間ドラマ。
 何の予備知識も持たずにみたのだが、実話ということがまず驚いた。日本ではいまだに強姦は訴えずらい社会なのだが、14世紀に強姦を訴えたことが画期的。リドリー・スコット作品ということで、荒々しい決闘シーンばかりがPRされているが、実は女性のドラマだったという展開が面白い。この脚本は、マット・デイモンとベンが書いたらしいのだが、マルグリット視点の部分は女性脚本家を機用したとのこと。さすがです。収穫大の作品だった。2021.11

DUNE/デューン 砂の惑星 DUNE: PART ONE  ★★
監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ 出演:ティモシー・シャラメ | レベッカ・ファーガソン | オスカー・アイザック、ジョシュ・ブローリン、チャン・チェン、ハビエル・バルデム/1万××年。宇宙帝国の皇帝によって“デューン”と呼ばれる砂の惑星アラキスの統治を命じられたアトレイデス家。アラキスは宇宙で最も価値がある物質の産地だったが、人々は絶えず巨大な砂虫におびえる日々を送っている。アトレイデスのレト公爵は家族を伴いアラキスへ移住。だがハルコンネン家の陰謀に巻き込まれ命を落としてしまう。息子ポールは特殊な能力を持つ母ジェシカとともに逃亡を余儀なくされる。
 砂におおわれた惑星の映像に終始圧倒されながらも、複雑な人間関係を少しずつ理解できるようになってぐいぐい映画に引き込まれた。役者陣も超豪華。オスカー・アイザックはやっぱり素敵だわあ。裏切り者の医師役でチャン・チェンまで出ている。
 正直あまり期待していなかったのだが、続編もはやく見たい!と思わせる展開で大満足でした。2021.11

異端の鳥 THE PAINTED BIRD 
監督:ヴァーツラフ・マルホウル 出演:ペトル・コトラール | ウド・キア | レフ・ディブリク、ハーベイ・カイテル、ジュリアン・サンズ、バリー・ペッパー/ユダヤ人の少年は、一人で田舎へ疎開し叔母と暮らし始めるが、間もなく叔母が急死。少年は生き延びるため、悪魔のような大人たちの餌食となっていく…。性悪説が基になった悲惨な現実では、ゲシュタポがましな大人に見えてしまうほど。でも、ユダヤ人として虐待にあっているのは、そもそもナチスのホロコーストがきっかけになっているわけだし。動物と少年、女性への虐待、暴力シーンが多くてつらかったが、強く記憶にインプットされる傑作。2021.5

アメイジング・グレイス Amazing Grace 
監督:シドニー・ポラック/出演:アレサ・フランクリン、コーネル・デュプリー(ギター)、チャック・レイニー(ベース)、バーナード・パーディー(ドラム)/1972年1月13日、14日、ロサンゼルスのニュー・テンプル・ミッショナリー・バプティスト教会で行われたアレサ・フランクリンのライブを撮影した音楽ドキュメンタリー。
 ここまでアレサ尽くしの作品は初めて。初めの曲「ホーリー・ホリー」から、その声の質にゾクゾクして鳥肌が立った。さらにキャロル・キングの「You've Got a Friend」のゴスペルアレンジは圧巻。知らぬ間に涙が出てきて、お次の「Amazing Grace」では嗚咽出そう。理屈じゃない感動で、音楽の底力を体感できた。
 アレサの歌って音程がまったく狂わないのが本当にすごい。天性のものもあるんだろうけど、音楽の英才教育を受けていたのでしょう。有名な牧師だったというお父様も出てきてます。クリスマスの季節にでも毎年劇場で見たい作品。たっぷり堪能できました!2021.6

アメリカン・ユートピア DAVID BYRNE'S AMERICAN UTOPIA 
監督:スパイク・リー 出演:デヴィッド・バーン/デヴィッド・バーンが2018年に発表したアルバム『アメリカン・ユートピア』を基にした伝説のブロードウェイ・ショーをスパイク・リー監督が収録したライブ・パフォーマンス映画。「ストップ・メイキングセンス」にはまった世代なので、懐かしの曲のオンパレードを聞いて、一気に青春時代にフラッシュバック!バーンの現役バリバリのダンスと、風刺のきいた歌詞のセンス、反差別メッセージなどなど、すべてが洗練されていて、さすがです。いつかNYで生で見たいなあ。スパイク・リーらしいドストレートなメッセージもしっかり効いていました。2021.7

パーム・スプリングス PALM SPRINGS 
監督:マックス・バーバコウ 出演:アンディ・サムバーグ | クリスティン・ミリオティ、ピーター・ギャラガー/砂漠のリゾート地、パーム・スプリングスで行われた妹の結婚式に参加したサラは、ナイルズと知り合うが、彼は謎の男に襲われてしまう。ナイルズを追って謎の光を放つ洞窟に入ったサラは、目覚めると結婚式の朝に戻っていた。以来、二人はタイムループにハマり、毎日が妹の結婚式、という人生を送るはめになる。
 ループ生活でやりたい放題、楽しむ二人の自暴自棄さがケッサク。ループものなので、いろいろ細かいところは矛盾があるのだが、そういうことが気にならないぐらい、テンポが良くて楽しめた。サラがループから抜け出すために、猛勉強を始めるシーンを見ながら、「今の私の生活はループ生活のようだな」と自分を重ね合わせてしまった。抜け出せないコロナ自粛生活。自分で何かやりがいを見つけるしかないんだよね、きっと。単純なコメディなのに教訓にもなった。2021.4

博士と狂人 THE PROFESSOR AND THE MADMAN 
監督:P・B・シェムラン、メル・ギブソン、ショーン・ペン、ナタリー・ドーマー、エディ・マーサン、ジェレミー・アーヴァイン、スティーヴ・クーガン出演19世紀中ごろ。スコットランド出身の言語学者マレー博士は、オックスフォード大学の辞書編纂プロジェクトの編者として採用される。一方、南北戦争で精神を病み、罪のない男を殺してしまったマイナーは精神病院に収監される。二人の人生がつながるまでの過程、そして繋がってからの感動のドラマに引き込まれた。キャストが豪華だが物語は地味なのも好感がもてた。実話というから驚き。メル様はやっぱりさすがです。2021.6

パブリック 図書館の奇跡 THE PUBLIC 
監督・出演:エミリオ・エステヴェス 出演:アレック・ボールドウィン、ジェナ・マローン/公共図書館の図書館員スチュアートは毎日さまざまな市民の対応に追われている。町に大寒波が襲ったある日、70人のホームレスが、路上で凍死する状況に抗議して図書館に立てこもる。弱者の小さな力が少しずつ膨れ上がり、大きな力となるまでが丁寧に描かれている。さすが親がデモ魔なだけある。デモをする市民の姿がリアルで共感できた。エミリオはいい年の取り方をしているよなあ。今後の作品にも期待大。2021.6

ノマドランド NOMADLAND 
監督:クロエ・ジャオ 出演:フランシス・マクドーマンド | デヴィッド・ストラザーン 、リンダ・メイ/場の閉鎖により家を失ったファーンは、亡き夫との思い出と向き合いながら、キャンピングカーで移動する季節労働者として生き始める。実際にノマド(遊牧民)生活をしている人々の独白は、悲しみというよりもっと崇高なもので、人間として本来あるべき姿と言おうか、野生のたくましさのようなものを感じることができた。
 映画を見た後で何を記そうか考えてみたのだが上手く表現できない。でも、見ているときは確実に映像の力に圧倒され、彼らの生き様をリスペクトした。これぞスクリーンで見るべきで、スマホなんかで見てほしくない作品。これがアカデミー賞を受賞したのは、映画館でしか味わえない崇高な世界を描いていたからなのかもしれない。
 光の使い方が素晴らしくて、テレンス・マリック作品の影響をかなり受けているのは感じ取れた。一言ではいい表せない素晴らしい作品。2021.4

レ・ミゼラブル 
ラジ・リ監督、出演:ダミアン・ボナール | アレクシ・マナンティ | ジブリル・ゾンガ出演
/パリ郊外のモンフェルメイユは「レ・ミゼラブル」の舞台となった町。移民や低所得者が多く住むこの地域に配属された警官のステファンは、2人の先輩警官とともに地域のパトロールを開始する。サーカス団からライオンの子どもが盗まれる事件が発生し、ライオンの捜索に乗り出すステファンたちだったが…。
 最初は、人間関係がよく掴めなくてついていけなかったのだが、徐々に人々の繋がりが見え始め、大きなうねりとなっていくまでの展開は圧巻。クライマックスは『Cidade dos deus』のような迫力があった。人間の偏見の根深さを突きつけられて、愕然とした。映画館で見るべきだった。2021.5


2024年度

茜色に焼かれる
監督:石井裕也 出演:尾野真千子 | 和田庵 | 片山友希、オダギリジョー、永瀬正敏/7年前に交通事故で夫を亡くした良子は夫への賠償金受け取りを拒否し中学生の息子を育てていた。施設に入っている義父の入居費や夫の隠し子の養育費まで負担しており、生活は困窮している。コロナで経営していたカフェが破綻。花屋と風俗の仕事を掛け持ちする日々だ。
 不運が重なりすぎて現実味がなかったのだが、誰にも助けを求めず肩ひじ張って生きている良子を応援する気持ちになれた。ただ、友人の若い女の子の不幸話は余計な気がした。薄幸女の品評会になってしまった感あり。尾野真千子はいい俳優だな。好きです。2024.5 U-NEXTにて

アフターサン AFTERSUN
監督:シャーロット・ウェルズ 出演:ポール・メスカル | フランキー・コリオ | セリア・ロールソン=ホール/トルコのリゾート地で父と2人きりで夏休みを過ごすているソフィ。兄のように若くてやさしい父とソフィは仲睦まじく休暇を過ごしているが、父がときおり見せる寂しげな背中に不穏なものをソフィは感じ取っていた。
 父の心の闇が事実なのかはあえて曖昧にして、あくまでソフィ―目線で何気ない日常を切り取っていくセルフポートレートのような作品。ソフィ―役の少女の表情と、父役の俳優の微妙な表情が秀逸。地味な作品ではあるが、映像も工夫されていてよく練られていた。監督の自伝ではないようだが、監督は子どもの頃に父を亡くしているらしいので、父という存在に何かしらの思い入れがあるのを感じた。親子でも夫婦でも一緒に長く暮らしていても、人の心の奥までは読み取れない。だから、身近な人を亡くした後で、もっと何かできたのでは、とか考えない方がいい。人は一人では生きられない、という言葉もあるが、人は最後は一人で死んでいくものなの。他人の選択を尊重しないとな、などと考えてしまった。2024.4

アフター・ヤン AFTER YANG
監督:コゴナダ 出演:コリン・ファレル | ジョディ・ターナー=スミス/近未来。ジェイクはアジア系の養女ミカの兄のような存在として、家族と強い絆で結ばれた家庭用AIロボットのヤンを大事にしていたが、ヤンが故障で動かなくなってしまう。ヤンのメモリーバンクを覗くと、そこには家族の知らなかった若い女性の姿が記録されていた。
 人間とAIの共存を美しい形で想像して描いた愛の物語。映像が綺麗だったのでスクリーンで見た方が世界観を楽しめたのかも。配信だとちょっと退屈に感じてしまった。2024.4 U-NEXT

EO イーオー
監督:イエジー・スコリモフスキ 出演:サンドラ・ドルジマルスカ/サーカス団で心優しいカサンドラの相棒として深い愛情で大切に扱われてきたロバのEO。しかし動物愛護を理由にサーカス団から引き離され、カサンドラとも離れ離れに。ポーランドからイタリアへと続くEOの旅が始まる。
 ほとんど会話もなくEOの目線で映画が進んでいくので、初めは戸惑ったが、見ているうちにロバ目線もユニークで面白いな、と思えるようになった。映像が綺麗なので、スクリーンで見た方がより楽しめたかも。ただ、台詞がほとんどないので睡魔との勝負になるけど。2024.5

オッペンハイマー OPPENHEIMER
監督:クリストファー・ノーラン 出演:キリアン・マーフィ | エミリー・ブラント | 、ロバート・ダウニー・Jr、マット・デイモン、ケイシー・アフレック/物理学者ロバート・オッペンハイマーはニューメキシコ州のロスアラモス研究所に全米の英知を結集し原爆開発に邁進。世界初の核実験を成功させる。
 前半は、オッペンハイマーの私生活と原子力研究者とのやりとりを描いていくのと並行して、原爆投下後の赤狩りの様子がインサートされるので、誰がどんな立場にあり、どういう関係なのかが、まったく見えてこず、正直疲れてしまった。原爆実験の成功に向けて一同が熱狂していくシーンは、原爆を落とされた側なのでゾッとするほど恐ろしく感じたが、ここでアメリカ人は、研究者たちと同じように感動したのだろうか…。
 戦争が終わってからの赤狩りは、反共産に突き進んでいった米国ならではの嫌な展開。ロバート・ダウニーが演じた彼は極度の僻み根性丸出しの嫌な男なのだが、それよりも赤狩り調査をする白人インテリ層の上から目線に吐き気がした。
 天才と祭り上げられた科学者がソ連のスパイ呼ばわりされ、国に振り回されてしまう、という話は、よく聞くので、この映画がなぜ米国で大ヒットし、アカデミー賞を受賞したのか。今の米国民の意識が排他的になっている証拠なのか、それとも、その流れに警笛をならしたかったのか。いろいろ考えさせられることだらけで、日本人としては疲れる作品だった。2024.5

クライムズ・オブ・ザ・フューチャー CRIMES OF THE FUTURE
監督:デヴィッド・クローネンバーグ 出演:ヴィゴ・モーテンセン | レア・セドゥ | クリステン・スチュワート/人類が痛みや感染症を克服した近未来。“加速進化症候群”のアーティスト、ソール・テンサーは、体内で生み出された新しい臓器をパートナーのカプリースが外科的に摘出する手術をアート・パフォーマンスとして観客に披露していた。
 クローネンバーグらしい奇妙でエロチックな世界が全開。よくわからーん。でした。2024.4 U-NEXTにて

コシュ・バ・コシュ/恋はロープウェイに乗って KOSH BA KOSH
バフティヤル・フドイナザーロフ監督/ソ連が崩壊し、内戦状態にあるタジキスタンの首都で、博奕好きの男が、全財産をかけて負けてしまう。直後、男の家に娘がモスクワから訪ねてくる。2人は仲良くダンスをするが、そこへ借金の取り立てに胴元がやってくる。胴元は娘をいただく、と息まくが、一緒にいた青年は、娘に一目ぼれ。一緒に逃げようと持ち掛け、自分が働くロープウェイ乗り場へ連れていく。
 2人の恋物語はありきたりなのだが、ロープウェイと浮遊感は、クストリッツアの「アンダーグラウンド」に通じるものがあり、楽しめた。タジキ語しか話さない先住民の人々の暮らしにもふれているなど、タジキスタンへの愛も感じられた。ベネチアで銀獅子賞受賞も納得。2024.3 北千住にて

コンパートメントNo.6 COMPARTMENT NUMBER 6
監督:ユホ・クオスマネン 出演:セイディ・ハーラ | ユーリー・ボリソフ /フィンランド人留学生のラウラは、古代の岩面彫刻を見に行くためモスクワから一人で長距離列車に乗る。同じコンパートメントには泥酔したロシア人労働者リョーハがいて居心地が悪い。だが、ひょんなことからリョーハと親しくなり…。
 よくあるガール・ミーツ・ボーイものだが、ロシアの長距離列車という設定が新鮮。真冬のロシアが舞台なので、映像は終始寒々していたが、内容はほんわか。リョーハのキャラが最高。2024.5


ジャズ・フェス:ニューオーリンズ・ストーリー JAZZ FEST: A NEW ORLEANS STORY
監督:フランク・マーシャル 他/ニューオーリンズジャズフェスに行ってみたい!!と思わせてくれた。4月末から5月開催とのこと。2024.5 U-NEXTにて

情熱の王国 EL REY DE TODO EL MUNDO
監督:カルロス・サウラ 出演:アナ・デ・ラ・レゲラ | マヌエル・ガルシア=ルルフォ/メキシコでミュージカルを制作する監督は、メキシコ人の若い役者のリハーサルをする。
 劇中劇の形でダンスを見せていく手法でサウラらしい。あまりサウラ作品は詳しくないのだが、踊る人々の美しいフォルムに魅せられていたんだろうなあ。というのは伝わってきた。若い役者たちも生き生きしていてよかった。派手さはないけど、こういう作品で監督人生の幕を閉じるのは納得。2024.5

ドミノ HYPNOTIC
監督:ロバート・ロドリゲス 出演:ベン・アフレック | アリシー・ブラガ | J・D・パルド/最愛の娘ミニーを誘拐された刑事ダニーは、謎の男と遭遇し、不可解な現象に見舞われる。ダイアナという占い師と出会うが…。ノーラン作品みたいな複雑なSFで戸惑った。ロドリゲス監督だからラテン色が強いのかと思ったが、メキシコがチラッと出てくるだけ。面白い設定ではあるのだが、ついていくのに必死だった。ロドリゲス監督が長年温めていた企画とのこと。機会があったらもう一度見てみたいかも。アリシーは存在感のある貫禄のハリウッド女優になっていて、感慨深かった。2024.5

プロミシング・ヤング・ウーマン PROMISING YOUNG WOMAN
監督:エメラルド・フェネル 出演:キャリー・マリガン | ボー・バーナム | アリソン・ブリー/元医大生のキャシーは、ある事件をきっかけに医大を中退。夜ごとバーに繰り出し、泥酔したフリをしては近寄ってきた男たちに容赦なく鉄槌を下すという過激な行動を繰り返していた。そんなある日、カフェで大学時代の同級生で小児科医となったライアンと偶然の再会を果たすキャシーだったが…。
 女性への性暴力に対してストレートに「ノー」を突きつける映画で面白くみれた。最後の決断はきついものがあったが、命を削って男たちに制裁を加えるすごみに圧倒された。こういう映画って男尊女卑社会の日本ではほとんど話題にもならないのが現状。日本は30年前よりも保守化していると感じるのは私だけだろうか。キャリー・マリガン、いい役者です。2024.5 U-NEXTにて

ポトフ 美食家と料理人 LA PASSION DE DODIN BOUFFANT
監督:トラン・アン・ユン 出演:ジュリエット・ビノシュ | ブノワ・マジメル | エマニュエル・サランジェ/19世紀末のフランス。美食家のドダンと天才料理人のウージェニーは極上の料理をつくり出す黄金コンビ。ある晩餐会に招待されたドダンは、豪華なだけの料理に辟易。シンプルな料理“ポトフ”で皇太子をもてなす計画をたてる。
 料理が主役の愛の物語。フランスらしい作品をベトナムにルーツがある監督が撮ったのが新鮮だった。二人の名優の押さえた演技にもアッパレ。2024.5

撤退 DISENGAGEMENT
監督:アモス・ギタイ 出演:ジュリエット・ビノシュ | リロン・レヴォ、ジャンヌ・モロー/2005年ごろに、イスラエルがガザのユダヤ人入植者に対して、入植地からの撤退を命じたという出来事に絡めた、ある家族の物語。この事実を知らなかったので勉強になった。この映画ではパレスチナ側の主張は、一瞬しか出てこず、あくまでユダヤ人側の葛藤を描いている。今のガザの状況からすると、入植ユダヤ人に同情はできないのだが、土地に固執する信心深い民族のことを、私のような浮遊民が理解することはできないので、コメントが難しいなあ、と頭を抱えてしまった。政府の方針によって人々の人生が翻弄されてしまう絶望感を抱いた。出口なし…。2024.4 U-NEXTにて

デューン 砂の惑星PART2 DUNE: PART TWO
監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ 出演:ティモシー・シャラメ | ゼンデイヤ、レベッカ・ファーガソン、ハビエル・バルデム、ジョシュ・ブローリン、シャーロット・ランプリング、クリストファー・ウォーケン/特別なスパイスが手に入る砂の惑星デューンでは、アトレイデス家とハルコンネン家の壮絶な戦争が勃発。アトレイデス家の後継者ポールは生き延び、砂漠の民フレメンにかくまわれる。彼は、砂漠の民の戦士チャニと心を通わせていく。砂虫登場のクライマックスシーンは圧巻だったが、前半が長くて飽きてしまった。1回目の方が物語的には面白みあり。パート3はもうちょっと話が複雑になりそうなので期待。2024.4

82年生まれ、キム・ジヨン KIM JI-YOUNG: BORN 1982
監督:キム・ドヨン 出演:チョン・ユミ | コン・ユ | キム・ミギョン/82年生まれのジヨンは、仕事を辞め育児と家事に追われている。正月に夫の実家に行ったジヨンは、義母からこき使われ、心が疲弊してしまい、意味不明の言葉を発してしまう。心配した夫デヒョンは、精神科医に相談に行く。女も男もどんな境遇にある人も、生きてればいろいろあるもの。ジヨンの病も理解はできるが、私のような立場の人間からすれば、羨ましいなあ、というのも本音。理解はできても同情できるか、というとそれはまた別のお話。映画としては心理描写も丁寧でよい作品でした。2024.5 U-NEXTにて

THE FOOLS 愚か者たちの歌<完全版>
高橋慎一監督、出演THE FOOLS/1980年結成のTHE FOOLSは、ギタリストの川田良とボーカリストの伊藤耕を中心に活動。だが、伊藤の覚せい剤使用による服役により、バンドの活動が休止。以後、伊藤は何度か逮捕され、そのたびにバンド活動の休止を余儀なくされる。
 確執はありながらも、伊藤を待ち続ける川田の頑なさ、古いメンバーたちが語る愛憎、新しいメンバーたちのフールズへの愛着…。若いころ、フールズに魅せられた高橋監督ならではの距離の近さが、関わった人々の本音を引き出していた。監督は2012年から約10年にわたって彼らに密着。フィクションよりも波乱に満ち、痛々しいまでに不器用な生き様は、胸にぐっと響いてきた。
 刑務所で病気の治療がなされずに亡くなったのは伊藤さんだけではない。日本の刑務所、かなり問題ありだと感じた。思いもよらない社会問題提起で幕を閉じた奇跡のドキュメンタリーにアッパレ。上映後の監督と現メンバーとのトークでは、初期メンバーーのベーシストや、ドラマー、ジャガタラのOTOなどに、フールズなんて糞バンドだ!、と、最初は激怒された話もきけて面白かった。伊藤さんの逮捕は多くの身近な人を傷つけていたのだろうなあ。それでも、画面から人なつこい伊藤さんの人柄が伝わってきて嫌いにはなれず。ダメ男ならでは魅力、というやつでしょうか。2024.3

花椒(ホアジャオ)の味 FAGARA
監督:ヘイワード・マック 、アン・ホイ製作、出演:サミー・チェン | メーガン・ライ | リー・シャオフォン、アンディ・ラウ/旅行代理店で働くユーシューは急死した父リョンの葬儀の場で、台北から来た次女のルージー、重慶の三女ルーグオという異母姉妹と初めて顔を合わせる。それぞれに父に対する複雑な思いや家族とのわだかまりを抱える3人は次第に打ち解け合い、父の火鍋店を継ぐことを決意する。心がほんわかする良質のドラマでした。2024.4

ボンゴマン ジミー・クリフ BONGO MAN
監督:ステファン・ポール 出演:ジミー・クリフ/92年製作のドキュメンタリー。正直、退屈だった。ジミー・クリフは好きなのだが…。2024.4

無名 HIDDEN BLADE
監督:チェン・アー 出演:トニー・レオン | ワン・イーボー | ホアン・レイ/1941年、日本が実行支配する上海で、日本の軍人の元で諜報員として働くフーは、あるパン屋を立ち寄るのを日課にしている。フーは実は中国共産党に情報を提供する2重スパイだった。
 トニーがスパイ役、ということで楽しみにしていたのだが、ひりひり感はあったもののスピード感に欠けていて、ちょっと期待外れ。去年見た「サタデー・フィクション」とつい比較してしまった。大画面で見るとトニーもかなり老けたなあ。まあ味があってよいけれど。2024.4

モロッコ、彼女たちの朝 ADAM
監督:マリヤム・トゥザニ 出演:ルブナ・アザバル | ニスリン・エラディ/夫を亡くし小さなパン屋を一人で切り盛りしながら幼い娘を育てるアブラ。笑顔を忘れた彼女の前に一人の妊婦サミアが現れた。イスラーム社会ではタブーとされる未婚の妊婦は仕事も住まいも失い、街をさまよっていたのだ。
 モロッコ映画をほぼ始めてみたので新鮮だった。イスラム社会での女性の生きにくさに焦点を当てている。さほど新しさはなかったのだが、ハッピーエンドにしなかったのが私好み。2024.5 U-NEXTにて

リチャード・ジュエル RICHARD JEWELL
監督:クリント・イーストウッド 出演:ポール・ウォルター・ハウザー 、サム・ロックウェル | キャシー・ベイツ/1996年、オリンピックが開催中のアトランタ。高齢の母と2人暮らしのリチャード・ジュエル。警備員をしていた彼は、多くの人でにぎわうイベント会場で不審なリュックを発見し、中身の爆発物に気づいたことで大惨事を未然に防いだ。マスコミはこぞって彼を英雄として報道するも、捜査に当たるFBIは次第に第一発見者のリチャードに疑いの目を向け始める。地元メディアが実名で報道したのをきっかけにマスコミ報道は過熱し、リチャードは全国民から激しいバッシングを受けるようになっていく。
 実話の映画化。FBIの強引な捜査方法や、パパラッチの異常な熱狂ぶりに心が痛んだ。ガンマニアで、過剰な正義感の持ち主のリチャードの、実直すぎる性格に、見ている側はじれったく感じるのだが、それだけにクライマックスのシーンでは感動する。さすがイーストウッド御大。技あり!
実際のリチャードは44歳の若さで病死したとのこと。イイ人って短命なのかも、と、悲しい気持ちになりました。こういう不器用な市井の人にスポットをあててくれたことに感謝です。サム・ロックェル好きなので、癖のない脇役でも、しっかり存在感を出してくれてブラボーでした。2024.5 U-NEXTにて


2023年度

ウォンカとチョコレート工場のはじまり WONKA
監督:ポール・キング 出演:ティモシー・シャラメ | クララ・レイン | キーガン=マイケル・キー、ヒュー・グラント/亡き母と約束した世界一のチョコレート店を作るという夢を抱くチョコ職人の青年ウォンカ。しかし、様々な妨害にあい…。
 ティモシー・シャラメ推しなので映画館で見てみたのだが、おこちゃま向け。歌のシーンもあるのだが、ミュージカルというほどでもないし。ちっちゃいオレンジおじさんは面白かった。2023.12

エターナル・ドーター The Eternal Daughter
ジョアンナ・ホッグ監督、ティルダ・スウィントン主演、Mスコセッシ製作総指揮/映画監督のジュリ―が、年老いた母と愛犬を連れて、母が昔暮らした田舎町にあるホテルにやってくる。ジュリ―は、母との会話を録音して脚本を仕上げるつもりだったが…。おそらく母は亡霊なのだろう、というのは想像できてしまい、驚きもなく…。1人二役で、ほとんどティルダの一人芝居。舞台劇を見ているようだった。正直、退屈で何度も寝てしまい、良く分からず。自由に動き回る犬が可愛くて、犬ばかり目で追っていた。2024.1

神が描くは曲線で LOS RENGLONES TORCIDOS DE DIOS
監督:オリオル・パウロ 出演:バルバラ・レニー | エドゥアルド・フェルナンデス/富豪の私立探偵は精神病院で起こった死亡事件の真相を探るため、自分をパラノイア症と偽り精神病院に入院する。
 誰の言っているのが真実なのか、推理しながら見れるので、長さを感じず。バルバラはほぼ出ずっぱりなんだけど、演技上手いなあ。暗い役が多いけど、スペインで最も注目の女優。2024.2 Netflixにて

ジャズマンズ・ブルース A Jazzman's Blues
タイラー・ペリー監督、ジョシュア・ブーンアミラー・ヴァンソレア・ファイファーオースティン・スコットライアン・エッゴールド出演/1940年代のアメリカ南部で暮らす黒人の一家は洗濯屋で生計を立てていた。次男で気の優しいバユは、祖父に預けられていた肌の白いリアンと親しくなり、夜中に抜け出して会いに行く。間もなくリアンは母の住むボストンに引っ越すが、バユは手紙を出し続ける。
 導入が40年後からなので、悲劇が起こるのはわかっていたのだが、誰がどういう形で殺されるのか、が気になり一気見。ステレオタイプの黒人差別の物語ではあるのだが、ストーリー展開が巧みで面白く見れた。タイラー・ペリーはよく知らなかったのが、俳優としてだけでなく監督、プロデューサーとしても実績がすごいのですね。2024.2 Netflixにて

コンクリート・ユートピア CONCRETE UTOPIA
監督:オム・テファ 出演:イ・ビョンホン | パク・ソジュン | パク・ボヨン/突然の大災害で一瞬にして壊滅したソウル。その中に“ファングンアパート”だけは奇跡的に倒壊を免れ、生存者たちが周辺から押し寄せていた。危機感を抱いたマンションの住人たちは自衛の必要に迫られ、臨時代表に902号室のヨンタクを選出する。そして住人以外をマンション内から排除すると、新たなルールを作り、安全な居住環境を取り戻していく。
 能登の地震直後に見たので、地震や津波で壊滅状態というのもあり得ない話だし、極限状態になった人間の邪悪な部分を嫌というほど見せつけられた。ビョンホンは大スターになっても、悪人を演じてしまうあたりがカッコイイ。弱さからくる過剰な防衛意識が、悪魔のような人間を作りだす。
ディストピアの世界観は「マッドマックス」の韓国版という感じ。物語はステレオタイプだが、スケールが大きくて見応えがあった。2024.1

ザ・キラー THE KILLER
監督:デヴィッド・フィンチャー 出演:マイケル・ファスベンダー | アーリス・ハワード | チャールズ・パーネル/失敗しない孤独な殺し屋の一人語りから始まり、その殺し屋が失敗したことでドラマが展開するのだが、基本はほぼ殺し屋一人が出演。途中、殺される人間たちとの絡みは多少あるのだが、どれも似たような展開で飽きてしまった。フィンチャー監督でマイケル主演なので、スタイリッシュでかっこいいのですけどね。ちょい期待外れ。2024.1 Netflix

ナイアド ~その決意は海を越える~ NYAD
監督:エリザベス・チャイ・ヴァサルヘリィ/出演:アネット・ベニング、ジョディ・フォスター | リス・エヴァンス
60歳を過ぎて、若き日に抱いた夢と再び向き合い、キューバからフロリダまで、160キロに及ぶ危険な外洋を泳いで渡る過酷な冒険に挑んだ実在の女性アスリート、ダイアナ・ナイアドの4年に及ぶ波乱の旅路を、彼女の挑戦を支えた親友にしてコーチのボニー・ストールとの絆とともに描き出す。

バビロン BABYLON
デミアン・チャゼル監督、マーゴット・ロビー、ディエゴ・カルバ、ブラピ出演/サイレント映画の大スター、ジャック・コンラッドの規格外のパーティに潜り込んだのは、映画スターを夢見る新進女優のネリー。彼女はそこで映画製作を夢見るメキシコ移民の青年マニーと出会う。
 ハリウッドの内幕ものは見飽きた感あり。キャストが豪華で、それぞれ好演はしていたのだが退屈に感じた。チャゼル監督の作品は私はあまり好みじゃないのが、はっきりした感じ。2024.1 Netflix

ブロンド Blonde
監督:アンドリュー・ドミニク、アナ・デ・アルマス、エイドリアン・ブロデ、ボビー・カナベイル出演/マリリン・モンローの半生を本名のノーマ・ジーンの視点で描いた作品。精神を病んだ母との関係、父親を知らずに育ったことから生まれた極端なファザー・コンプレックスなどをベースに、数々の男性との関係を描いている。繊細なノーマの心理面が丁寧に描かれ、演じているアナも素晴らしかった。冗長な感もあり、裸体が多すぎるのも気にはなったが、モノクロとカラーを適度に組み合わせた映像も綺麗だし、個人的には好きなタイプの作品。米国で酷評されたのは、ケネディ大統領がクズ男として描かれていることもあるのかも。最もクズ野郎と思っていたチャプリンの息子が、最後では一番ノーマのことを理解していたという結末は意外だった。アナは演技派役者としてこれからも活躍しそうで期待大。Netflix 2024.1

ミッドナイトスワン
監督:内田英治 出演:草なぎ剛 | 服部樹咲 | 田中俊介/新宿のショークラブで働くトランスジェンダーのなぎさ。ある日、育児放棄にあった中学生の一果を預かることに。互いに理解し合えないまま始まった奇妙な共同生活。一果はクラシックバレエ教室に強く惹かれていく。
 草なぎの演技が話題になったので見てみたが、評判どおり素晴らしい演技だった。元々影があるタイプだから、トランスジェンダーという複雑な心情がじわじわと伝わってきた。ただ、ドラマ展開はかなり無理があるというのが正直な印象。そもそも東京のおじさんに女子中学生を預けるなんてあり得ない。親は息子が女装していることも知らないのに。いちかの親友の自殺もちょっと短絡的に描きすぎだし。そういう細かい部分は気にはなったが、主人公二人の心情は丁寧に描かれていたし、ふたりの気持ちが徐々に通じていく過程も理解できた。草なぎ君、ブラボー!な映画でした。2024.2 Netflixにて

ラスティン:ワシントンの「あの日」を作った男 RUSTIN
監督:ジョージ・C・ウルフ 出演:コールマン・ドミンゴ | クリス・ロック | グリン・ターマン/1963年のワシントン大行進といえば、キング牧師、なのだが、裏方として実現させた男がいたことを知らなかったので勉強になった。ラスティンはゲイであることを公言していた、ということで、当時の世の中的には、表舞台に出さないような動きもあったのかもしれない。時代を動かすのは不屈の精神力とそれに賛同する人々、そしてうねりをつくることが大事なのだと実感した。残念ながら今の日本には、自分も含めて他人任せ、諦め、見ないふりが蔓延している。2024.1 Netflixにて

レプタイル -蜥蜴- REPTILE
監督:グラント・シンガー 出演:ベニチオ・デル・トロ | ジャスティン・ティンバーレイク | エリック・ボゴシアン/不動産売買業の女性が殺された。第一発見者は夫だが、殺す動機は見えてこない。ベテラン刑事の男は事件を追ううちに、不動産売買と麻薬取引が絡んだ闇に気づく。
 デル・トロのシブい演技がカッコイイ。の一言に尽きる。不動産業は大きなお金が動くということもあり、サスペンスの悪者になりやすいので、おそらくこの夫は怪しい、とは最初から思っていたのだが、麻薬と腐った警察組織まで絡んできたので、少々わかりにくかった。2024.2 Netflixにて

エゴイスト
監督:松永大司 出演:鈴木亮平 | 宮沢氷魚 | 中村優子/雑誌の編集者、浩輔は、パーソナルトレーナーとして働く青年・龍太と出会う。龍太が売春をしたお金で母を支えていることを知り、浩輔は、自分の専属の相手となってくれれば、毎月手当をだす、と提案する。
 子どものころから苦労してきたブルーカラーの美しい青年という設定の龍太と、モデル顔の宮沢がどうしてもリンクせず、二人を美しく描きすぎてリアルじゃない、というのが正直な感想。ただ龍太が急死してからの浩輔の苦しむ姿は、見ていて引き込まれるものがあった。原作者は癌で亡くなっていると知り、なんともいえない悲しみに襲われた。2023.11

ストロベリーショートケイクス
監督:矢崎仁司 出演:池脇千鶴 | 中越典子 | 中村優子/デリヘル店の電話番・里子は、一途に昔の同級生を思いながら身体を売り続けるデリヘル嬢の秋代と親しくなる。一方、イラストレーターの塔子は、OLのちひろとルームシェアしている。
 4人4様の悩める女性たちの姿を追った群像ドラマ。原作は漫画で、原作者・魚喃キリコが本人役で出演している。演技派女優に囲まれながら、しっかり存在感を出していて素晴らしい。4人の誰にも似てない人生だけど、少しずつ共感できる部分がある。繊細な女心がよく描かれていた。2023.11 Abemaにて

先生、私の隣に座っていただけませんか?
監督:堀江貴大 出演:黒木華、柄本佑、金子大地、奈緒、風吹ジュン/漫画家の佐和子は人気漫画家だった俊夫のアシスタントを経て、ひとり立ちした。今は、夫・俊夫が佐和子のアシスタントを務めている。その俊夫は担当編集者の千佳と不倫関係にあることを、佐和子は気づきながらも知らぬふりをしている。
 不倫された妻が自動車教習所に通って若い教官と不倫返し??いやいやそれは妄想なのか?その話を漫画で読まされる夫の動揺が面白い。もとさやに戻るのだけはやめてよね、と思いながら見ていたら、どんでん返しがあって大満足。面白かった!2023.12 ABEMAにて

フラッグ・デイ 父を想う日 FLAG DAY
監督・出演:ショーン・ペン 出演:ディラン・ペン、ジョシュ・ブローリン/贋札事件の犯人ジョン・ヴォーゲルを父に持つジャーナリスト、ジェニファー・ヴォーゲルの回顧録の映画化。犯罪者という視点ではなく、あくまで父と娘の関係にスポットが当てられている。実の親子が演じているということもあり、プライベートフィルム感が強く出ていた。ディラン・ペンは母親似で美しく、存在感あり。今後の演技に期待大。2023.11

プリテンダーズ ふたりの映画ができるまで PRETENDERS
監督・出演:ジェームズ・フランコ 出演:ジャック・キルマー | ジェーン・レヴィ | シャメイク・ムーア/80年代。映画学科に通うテリーは映画館で偶然知り合ったキャサリンに一目ぼれするが、キャサリンは親友で写真家のフィルと付き合い始める。女子に振り回される男たちを描いた青春映画は苦手。2023.12 ABEMAにて

星の子
監督:大森立嗣 出演:芦田愛菜 | 永瀬正敏 | 原田知世/父と母の愛情を一身に浴びで育った中学3年生のちひろ。両親は病弱だった彼女を救いたい一心であやしげな信仰宗教にのめり込んでいた。
 河童みたいな格好で信仰する長瀬と原田の姿には笑ったが、洗脳とは人に何と言われても聞く耳をもたないこと。洗脳された人間は、ある意味幸福なんだろうなあ。ある意味、他人事ではないので、娘の気持ちは理解できた。大森監督の割には薄味。ちょっと期待外れ。2023.12 ABEMAにて

マイスモールランド
監督:川和田恵真 出演:嵐莉菜 | 奥平大兼 | 藤井隆/国で迫害に遭ったクルド人の父と共に来日し、埼玉で育った17歳のサーリャ。高校では友だちもでき、バイト先のコンビニでは東京の高校に通う聡太と親しくなる。だが、サーリャは、父がクルド人であり、難民申請が不認定となったことを周囲には話せずにいた。ある日、仮放免中でありながら内緒で働いていた父が捕まり、入関に収容されてしまう。
 日本の難民受け入れが、どれだけ狭き門なのかということはニュースで見聞きしていたが、こうやってフィクションとして家族の苦しみを目の当たりにすると、あまりの非情さに絶句。日本が、弱い立場の他国民にどれだけ冷たいかを世界中に見せつけて、外圧で変えるしか方法がない気がした。日本人も日本の法律も、人権に対する意識が低すぎる。メディアは中国の批判ばかりしてるが、日本だって似たり寄ったり。難民申請者の実体をもっと報道するべきだ。とてつもない無力感でため息しかでない。主演の高校生と、父親、妹弟は本当のファミリーということで、演技も自然で感情移入できた。多くの人に見てもらいたい秀作です。2023.12 ABEMAにて

マインド・ゲーム THE MIND GAME
監督:サジド・カーン・ナシリ(通称SK)、Eefje Blankevoort, & Els van Dri/15歳のサジドは命を奪われる可能性のあるアフガニスタンから逃れ、1人でヨーロッパへ向かう。様々な関門をゲームと名付け、2年にわたる長く険しい旅をスマホ動画と、オランダ人映像作家とのやりとりをメインに構成した異色のドキュメンタリー。旧ユーゴ圏では何度も国境で捕まり追い返されたり、警察から暴力を受けたりする。やっとベルギーまでたどり着いたが、今度は未成年かどうな年齢を疑われてしまう。さらに親友の悲劇…。サジドがモデルのような美少年ということもあり悲壮感はあまりないのだが、生まれる国を子どもは選べないということにやりきれなさを覚えた。南米のドキュメンタリーで難民ものは数多く見てきたが、この映画は難民の少年が自分で動画を撮っていることが新鮮だった。2023.11 難民映画祭にて

マエストロ:その音楽と愛と MAESTRO
監督・主演:ブラッドリー・クーパー 出演:キャリー・マリガン、マット・ボマー/指揮者として頭角を表しはじめたアメリカ生まれのバーンスタインは、女優でピアニストのフェリシア・モンテアレグレと出会い、恋に落ちて結婚する。しかし、彼は若い男と浮名を流し…。
 若いころをモノクロ映像、晩年をカラー映像にしていたのだが、正直、あまり意味を感じず。全部モノクロにして全編をアート調にしたほうが良かった気がした。ブラッドリーがバーンスタインにかなり寄せた風貌にした特殊メイクは素晴らしいとは思ったが、全体的に中途半端感あり。たくさん名曲を残しているので、もう少し音楽中心にして欲しかったです。2023.12

マッシブ・タレント THE UNBEARABLE WEIGHT OF MASSIVE TALENT
監督:トム・ゴーミカン 出演:ニコラス・ケイジ | ペドロ・パスカル | シャロン・ホーガン/アカデミー賞に輝いたこともあるハリウッド・スターのニック・ケイジは、愛する家族にも愛想をつかされ、孤独な日々を送っている。ある日、スペインの大富豪ハビから100万ドルの報酬で誕生日パーティに出席してほしいというオファーが舞い込む。
 前半は、自虐ネタが多くて笑えたが、CIAが出てきたあたりから、普通のアクションコメディになってしまい、飽きてしまった。2023.11

ロイ・ハーグローヴ 人生最期の音楽の旅 HARGROVE
監督:エリアン・アンリ 出演:ロイ・ハーグローヴ/ロイの10代のころからの友人だった監督が、彼のツアーを追いかけ、彼を知る人をインタビューしていくドキュメンタリーを作ろうと思って撮影し始めたら、ロイが急死。さらには彼のマネジャーが撮影を妨害し、音楽の権利を全て奪ったことで、ロイ自身がつくった曲を映画で使えないという展開に。
ロイが病気で亡くなったことは知っていたが、マネジャーの搾取の話は初めて知ったので目から鱗だった。「エルビス」やフレディ・マーキュリーの映画でも、若いアーチストを食い物にする裏方の悪徳ぶりが描かれていたが、2020年にもまだおなじようなことが行わていることに、業界の搾取体質の根深さを感じた。ロイはほんとイケメンだっただけに、病気をしてからの姿が痛々しくて見ていて辛いものがあった。逝ってしまうのが早すぎます。残念。2023.11

私は歌う ~アフガン女性たちの闘い~ And Still I Sing/ 監督:Fazila Amiri/アフガニスタンの大ヒット番組「アフガン・スター」で審査員を務めるポップスターで活動家のアリアナ・サイード。彼女は若手女性歌手ゼフラ・エルハムとサディカ・マダドガルを指導し、女性の権利と女性の社会貢献の価値について、国民的議論を後押しする。だが、突然タリバンが政権に復帰し、女性のための20年の進歩が逆転してしまう。
 新しい民主国家に向けて動き始めたばかりのアフガンが、またタリバン政権に持ったことで、女性たちが様々な権利を奪われていく過程は胸が痛んだ。アフガンという国は、もともと英国が支配していたこともあるからか、一部の女性たちの権利意識は高い感じを受けた。なぜアフガンは様々な国に侵略され、さらには過激思想のタリバンが支配するようになったのか、お国の事情を知らないので、不可解なことばかりなのだが、映画を見ることでまずは関心を持つことから始めたい。アフガンに関してはまだまだ無知な私なので。2023.11 難民映画祭にて


あのこは貴族
監督:岨手(そで)由貴子 出演:門脇麦 | 水原希子 | 高良健吾/華子は裕福な家に生まれ、親の紹介で弁護士の幸一郎と出会い結婚。一方、美紀は地方出身で、名門大学に入ったものの経済的理由で退学してしまう。美紀はキャバクラで働いていた時に幸一郎と出会い、恋人となるが、代議士一家の幸一郎とは家の違いも感じている。1人の男を間に挟み、まったく違う環境で生まれ育った二人の女性が出会う、という物語。シンプルなんだけど、役者陣の自然な演技が光ったよい作品だった。映画館で見たいとは思わないけど。2023.10

アンダードッグ
監督:武正晴 出演:森山未來 | 北村匠海 | 勝地涼/元伝説のボクサーが落ちぶれて、かませ犬となりながらも、小さなプライドを持ちながらボクサーを続ける物語。森山未來好きなので、見てみたが、何度も見たことのあるボクシング映画、というのが正直な感想。2023.10

アステロイド・シティ ASTEROID CITY
監督:ウェス・アンダーソン 出演:ジェイソン・シュワルツマン | スカーレット・ヨハンソン | トム・ハンクス/1955年、アメリカ南西部の砂漠の町、アステロイド・シティ。隕石でできた巨大なクレーターが唯一の観光名所のこの町で、ジュニア宇宙科学賞の祭典が開かれ、表彰式に5人の天才少年少女とその家族が訪れる。
 摩訶不思議な世界。宇宙人のフォルムと表情には癒された。水爆実験が行われている砂漠地帯で、能天気な親と、天才子どもたちが触れ合うお話。何を言いたいのかちんぷんかんぷんでした。「グランドブタペスト~」が大好きなんだが、ウェス監督には、もうついていけないかも。2023.9

英雄の証明 GHAHREMAN
監督:アスガー・ファルハディ 出演:アミール・ジャディディ | モーセン・タナバンデ | サハル・ゴルデュースト/ラヒムは借金返済できなかったために服役している。恋人が金貨の入ったバッグを偶然拾ったことを知り、一時的に許された外出の時に金貨を換金して借金を返済しようと考える。だが全額返済には足りないと分かり、ラヒムはバッグを持ち主に返そうと思い直す。その行為が善行だと広まりラヒムは一躍時の人になるが…。ひょんなことからメディアや周囲の人に祭り上げられて借金をした男が英雄扱いされ、債権者が悪者呼ばわりされる。そうなると何も悪いことをしていない債権者は不満に思うのは当然。どっちもどっちの感もあるのだが、ラヒムの優柔不断さが災いにつながっているので、やっぱりラヒムに非があると感じた。そうはいっても周りに流されやすい人っているしなあ。グタグタのラヒムを信じ続ける恋人の一途さが痛々しく感じてしまった。そして何よりも吃音の息子が気の毒で…。グダグダの父親や自分の都合しか考えない大人たちに翻弄され、彼らの裏の姿を見てしなった息子の行く末を心配してしまった。ファルハディ監督作品はいつも、ビターな話なので、見ていて辛くなるのだが、この作品もカンヌでグランプリをとっている。欧州では受けがいいようです。2023.11

バーナデット ママは行方不明 Where'd You Go, Bernadette
監督:リチャード・リンクレイター、出演:ケイト・ブランシェット、ビリー・クラダップ、エマ・ネルソン、クリステン・ウィグ/シアトルに暮らす主婦のバーナデット。夫のエルジーは一流IT企業に勤め、娘のビーとは親友のような関係で、幸せな毎日を送っているようにみえたが、実は彼女は建築家としての輝かしいキャリアを封印していた。心のどこかにストレスを抱えていた彼女は、ひょんなことから南極ツアー船に1人で乗り込むことになり…。ケイトの役者としての幅の広さにアッパレ。物語的にはよくある女性の再生ものなのだが、ケイトが演じると魅力的になる。さすがです。2023.9

バービー BARBIE
監督:グレタ・ガーウィグ 出演:マーゴット・ロビー | ライアン・ゴズリング | アメリカ・フェレーラ/女性が主役のバービーランドでハッピーな毎日を過ごす「定番バービー」。だが、ある日突然、彼女の身体に異変が起こり、ネガティブなことが頭に浮かぶようになる。変てこバービーとして廃版になったバービーのもとへ相談に行くと、彼女は、バービー人形の持ち主が原因だという。元のお気楽な生活に戻るため、定番バービーはケンとともに人間の世界へ向かう。
 まずいきなり『2001年宇宙の旅』のパロディから始まるのが画期的だ。「2001年宇宙の旅」では、猿が立ち上がって武器を持ち、進化が始まるが、この映画では、少女たちが立ち上げり、赤ちゃん人形を壊し始める。これは、フェミニズムの誕生を意味するのだろう。当然、観客は「これは女性よ立ち上がれ、声をあげよ」というフェミニズム映画なのだろう、と想像しながら見始める。
 ところがそうシンプルではない。女だけが活躍するバービーランドは、女性の理想社会なのか?という問いを投げかける。現実社会にいったバービーは、男性中心の社会を目の当たりにする。フェミニズム映画であれば、バービーが現実社会をひっかきまわして、男尊女卑社会をぶっ壊していくのだろう。だが、この映画では、ケンがマチズムに目覚めて、バービーランドを現実のような男性が優位の社会に変えてしまう。この展開が個人的には、もっともツボにはまった。
 結局、バービーが描く女性優位の社会は、男性やゲイなど、それ以外の性の人にとっては生きにくい社会だ。男女が入れ替わっただけの偏った社会になる。例えば、今の欧米中心の社会は、白人の男性がもっとも優位な立場にいるし、日本も男尊女卑社会だ。日本人女性の多くは、偏った社会は、仕方ないことと諦め、声をあげようとはしない。日本の保守的な女性は、未だに、冒頭のシーンのように、赤ちゃんの人形を抱いて世話をするお母さんになることが、もっとも安定した人生だと思っている。正直、母や妻にならなかった自分は、今の日本では生きにくい。
 この映画は、簡単には解決できない複雑な問題を提起している。2時間の映画でそれを表現するのは無理。ダイジェスト的な映画だと感じた。Netflixで、シリーズものとすれば、もっと、深く面白くなるかも。2023.9

ファミリア
監督:成島出 出演:役所広司 | 吉沢亮 | サガエ・ルカス、佐藤浩市、MIYAVI/妻を早くに亡くし、山里に一人で暮らす陶芸職人の誠治。一人息子の学は仕事でアルジェリアに赴任中。ある日、その学が現地で結婚した難民出身のナディアと一時帰国する。ある日、隣町の団地に住む在日ブラジル人青年のマルコスが半グレに追われ、誠治の家に逃げ込んでくる。
日系ブラジル人の若者たちの過酷な生活が悲惨すぎて、目を覆うものがあったが、ブラジルでもファベーラでは似たようなことが起こっているみたいだし、あながちフィクションとも言えないものがある。ストーリーはステレオタイプの感があったが、日系ブラジル人にスポットを当ててくれたのはありがたい。MIYAVIが極悪リーダー役だったのには驚き。汚れ役をよく引き受けたなあ。キャスト豪華で驚きでした。2023.9

福田村事件
監督:森達也 出演:井浦新 | 田中麗奈 | 永山瑛太/日本統治下の京城で教師をしていた澤田は、妻の静子とともに故郷の福田村に帰ってきた。四国の讃岐から関東へやってきた薬の行商人一行は、9日1日に関東大震災に遭遇。人々の間で、朝鮮人虐殺の流言飛語が飛び交う中、行商人らが、福田村の村民に囲まれる。
 恐怖心が充満する中での集団虐殺。人間とはなんと愚かなんだろう。命をとらずとも、今はSNSで人が人を集団リンチしている。人間は同じ過ちを繰り返す。救われない話なのだが、それが現実。下っ端軍人役の水道橋博士が好演していた。森監督、ドキュメンタリーだけでなく劇映画にも意欲を見せていて、これからも作品を追いかけていきたいです。2023.9

ベネデッタ BENEDETTA
監督:ポール・ヴァーホーヴェン 出演:ヴィルジニー・エフィラ | シャーロット・ランプリング | ダフネ・パタキア/17世紀のイタリア。幼い頃から聖母マリアと対話し6歳で修道院に入ったベネデッタ。成長した彼女は、精霊が憑依してキリストのお告げを聞いたと言い出す。さらに手と足に聖痕があらわれると、周囲はベネデッタを崇め、一気に修道院長の座に駆け上がる。実在の人物とのことだが、映画では若い女性との不適切な関係や、聖痕はフェイクと描かれている。裁判に架けられながらも刑は執行されず、長生きしたそうです。若い女性の裸ばかりが出てくるので、銭湯にいるような気分に。裸出し過ぎ感あり。もっと心理的な狡さに焦点を当ててほしかった。2023.11


AIR/エア
監督・出演:ベン・アフレック 出演:マット・デイモン、ジェイソン・ベイトマン/1984年、弱小スポーツブランドのナイキの営業担当ソニーは、CEOのフィルからバスケットボール部門の立て直しを命じられる。無名だった若いマイケル・ジョーダン選手のプレーを見て、彼の名前を付けたシューズを作ることを思いつく。「エア・ジョーダン」開発秘話。マイケルの母親の態度にアッパレ。一部の白人層だけが儲かる仕組みを少しずつこじ開けているのですね。日本でもそういう流れが欲しいのですが…。岩盤の既得権益は続くよ、どこまでもって感じで絶望感すらある。2023.7 Amazon

オルジャスの白い馬 Horse Thieves
竹葉リサ、エルラン・ヌルムハンベトフ監督、森山未來、サマル・イェスリャーモワ出演/カザフスタンの大草原を舞台に、突然父を亡くした少年が、母子の前に現われたある秘密を抱えた男と少しずつ心を通わせ成長していく。カザフの映像は綺麗だったがストーリーには??森山未來の良さがまったく出ていなくて残念。2023.8 U-next

キラー・インサイド・ミー THE KILLER INSIDE ME
監督:マイケル・ウィンターボトム 出演:ケイシー・アフレック | ケイト・ハドソン | ジェシカ・アルバ/1950年代の西テキサス保安官助手ルーは見かけは好青年だが、売春婦ジョイスとの付き合いを重ねるうちに、自分の内なる狂気に目覚めていく。
 静かなる狂人をケイシーが熱演していた。派手さはないが、うまい役者だなあ。さすがです。2023.7 Amazon

ケイコ 目を澄ませて
監督:三宅唱、出演:岸井ゆきの | 三浦誠己 | 松浦慎一郎/古いボクシングジムで黙々とトレーニングに打ち込む聴覚障がい者のケイコ。プロボクサーとなり着実に力を着けていたのだが、体調に不安を抱える会長は、ジムをたたむことを決意する。
 物語はいたってシンプルだが、ケイコを演じた岸井の表情が印象に残る作品だった。黙々とトレーニングするケイコと、荒川の河川敷や町の風景の切り取り方が絶妙。映画館で見た方がよかったかも。高評価に納得です。2023.7 Amazon

白い暴動 WHITE RIOT
監督:ルビカ・シャー 出演:レッド・ソーンダズ | ロジャー・ハドル/1970年代のイギリスで巻き起こった反差別の運動“ロック・アゲインスト・レイシズム(RAR)”の全貌に迫る音楽ドキュメンタリー。若者たちのロックフェスの映像はほとんどなくて、当時を知る人々の語りと写真で構成されていた。イギリスの差別主義者がトランプっぽくて、白人至上主義者は時代が変わっても言ってること変わらないな。デビッド・ボウイが差別擁護派だったというのは、理解できたが、クラプトンまで、というのは驚き。黒人音楽に傾倒していたと思ってたから。商売上手なんでしょうね。2023.8 U-next

騙し絵の牙
監督:吉田大八 出演:大泉洋 | 松岡茉優 | 宮沢氷魚/大手出版社“薫風社”で次期社長を巡る権力争いが勃発する。そんな中、カルチャー雑誌“トリニティ”を率いる変わり者編集長・速水輝は、薫風社から新人編集者・高野恵を引き抜く。出版業界の裏側を豪華キャストで描いたエンタメ作品。話がとっちらかってて、よくわからず。残念。2023.7 Amazon

返校 言葉が消えた日
監督:ジョン・スー 出演:ワン・ジン | ツォン・ジンファ | フー・モンボー/1962年、戒厳令下の台湾では自由を求めることは重罪とされ監視と密告が義務とされていた。高校3年生のファンは、生徒指導のチャン先生に恋心を抱くようになる。ある日、誰もいない教室で目覚めたファン。校内を一人彷徨う彼女は、後輩の男子生徒ウェイと出会う。
 戒厳令下の学校で、自由を求める教師、生徒が次々と密告され、拷問されていく。社会派ドラマとホラーが見事に融合した秀作。ゲームが原作ということ。前半はホラー色が強く、映像が凝っていて面白い。後半は、グッと社会派ドラマ性が強くなり、密告社会の悲劇を子どもの目を通して描いている。「パンス・ラビリンス」の世界観に通じるものあり。話題になっていた作品をやっと見たのだが、評判どおりよくできていた。2023.8 U-NEXT

ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書 THE POST
監督:スティーヴン・スピルバーグ 出演:メリル・ストリープ | トム・ハンクス | サラ・ポールソン/1971年。ニューヨーク・タイムズはベトナム戦争が劣勢だと記した最高機密文書、通称“ペンタゴン・ペーパーズ”についてのスクープ記事を発表する。ニクソン政権から差し止め命令を受けるが、出遅れたライバル紙のワシントン・ポストは、ある決断を下す。
 地方紙にすぎないWPが一躍、世に出た裏話。わかりやすくて面白く見れたが、スピルバーグらしいというか、あっさりしている感あり。2023.7 Amazon

リピーテッド BEFORE I GO TO SLEEP
監督:ローワン・ジョフィ 出演:ニコール・キッドマン | コリン・ファース | マーク・ストロング/目覚めたクリスティーンは、ベッドに見知らぬ男性がいることに驚く。彼はクリスティーンの夫ベンで、彼女には事故の後遺症による記憶障害があり、毎朝目覚めるたびに前日までの記憶をなくしてしまうという。ある日、ベンの留守中に、担当医だと名乗る男から電話がかかってくる。彼は治療の一環としてベンに内緒で毎日ビデオ日記を撮影するよう指示する。
 誰が味方なのかわからない不安感がじりじり伝わってきて見ごたえあり。ニコールの美しさが光っていた。2023.7 Amazon

流浪の月
監督:李相日 出演:広瀬すず | 松坂桃李 | 横浜流星/10歳の少女・更紗が行方不明になった。彼女は孤独な大学生・文の家で暮らしていたのだ。間もなく二人は見つかり、誘拐事件として処理されてしまう。15年後、恋人の亮と同棲生活を送っていた更紗はカフェを営む文を偶然見かける。
 DVや性的虐待という重いテーマを扱ってはいるが、映像が綺麗で、主役の二人も魅力的。李監督はやっぱり映像の切り取り方がうまいなあ。いい映画でした。文が実は病気だったというのは、ちょっとピンと来なかったのだが。それを知らされなくて、ぼんやりしたままで終わっても違和感がなかったかも。2023.8 U-Next

老後の資金がありません!
監督:前田哲 出演:天海祐希 | 松重豊 | 新川優愛 、草笛光子/主婦の篤子は、義父の葬儀に長女の結婚、さらには自分と夫の失業がかさなり、貯金通帳とにらめっこの日々を送っている。義母が暮らす施設の費用を節約するため、しぶしぶ姑・芳乃まで引き取るハメになる。
 リアルなカネ勘定話は笑えた。シェアハウスが最高の解決策っていうのが現実的ではないので、後半は夢見る夢子話になっていて残念。もっとシビアでしょ、現実は。2023.7 Amazon


アダマン号に乗って
ニコラ・フィリベール監督/セーヌ川に浮かぶデイケアセンターに通う人々の声を丁寧にすくい取ったドキュメンタリー。患者扱いすることなく、それぞれの個性を自由に表現し、話し合う姿を見て、人権を尊重することの素晴らしさを感じた。ベルリン国際映画祭金熊賞(最高賞)受賞。2023.4

アナザーラウンド DRUK
監督:トマス・ヴィンターベア 出演:マッツ・ミケルセン | トマス・ボー・ラーセン | マグヌス・ミラン/高校教師のマーティンは仕事も私生活も低調気味。そんな時、同僚から“血中アルコール濃度を0.05%に保つと仕事の効率が上がる”という理論を聞く。同僚4人でこの実験を始めたところ、それぞれが活力のある日々を送るようになる。だが、勤務時間中の飲酒量が次第にエスカレートし…。ユニークな設定だが、コメディとは言えないかな。アルコール依存の恐ろしさまで描いているので。マッツの最後のダンスシーンはかっこよかったです。2023.5 U-NEXT

アフタースクール
監督/内田けんじ、出演/大泉洋、佐々木蔵之介、堺雅人、田畑智子、常盤貴子/体育教師の男が、出産したばかりの妻を残して失踪した親友を、ある探偵と一緒に探すが…。大どんでんがえしが面白い。良くねられた脚本だと思った。キャストが豪華。田畑智子が大物ヤクザの愛人役?に違和感があったのだが、そこに裏があったのね、と納得。大泉洋の軽さがほどよいエンタメ作品。2023.5 U-NEXT

嘘の天才 ~史上最大の金融詐欺~ THE WIZARD OF LIES
監督:バリー・レヴィンソン 出演:ロバート・デ・ニーロ | ミシェル・ファイファー | アレッサンドロ・ニヴォラ/リーマンショック直後の2008年12月、証券投資会社の会長バーナード・マドフが詐欺で逮捕された。かれは数十年にわたって4800人もの顧客たちを騙して虚偽の取引を行い続け、約650億ドルを破綻させたのだ。彼の犯罪は世界中を駆け巡り、家族は混乱の渦へと飲み込まれていく。
 実話の映画化。ブラジルにいたせいか、このニュースを知らなかったので興味深かった。ファンドも分散投資が必要。一点買いは危ないと肝に銘じた。表情をほとんど変えないバーナード役をデニーロが見事に演じていた。地味な演技の中で凄みを見せるのはさすが。妻役のミシェルも相変わらず美しい。長男の自殺、次男の病死という事実はショックだった。父のおかげで優雅な暮らしはできたのだろうけど悲劇の何者でもない。2021年に本人は刑務所で亡くなったとのことです。2023.5 U-NEXT

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス
EVERYTHING EVERYWHERE ALL AT ONCE
監督:ダニエル・クワン、ダニエル・シャイナート、出演:ミシェル・ヨー | ステファニー・スー | キー・ホイ・クァン、ジェイミー・リー・カーティス/夫とコインランドリーを営む中国移民のエヴリン。国税局から納税申告の不備を指摘され、イライラしていると、突然夫が“別の宇宙の夫”が乗り移り…。
 いろんな世界にいる別の自分と、今の自分が行ったり来たりして、カンフーの能力やら何やらを身に着けていくうちに、悪魔のような我が娘の別人格と対決すことに。という話らしいが、スピードが速すぎて追いつけず。高齢者の入り口にいるので…。私の頭に残念賞。2023.5

EMMA エマ
監督:オータム・デ・ワイルド 出演:アニャ・テイラー=ジョイ | ジョニー・フリン | ミア・ゴス、ビル・ナイ/オースティンの古典の映画化。ティーンのときにオースティン文学が好きだったので懐かしさを覚えた。アニャの個性的な顔立ちとハスキーボイスがお気に入り。お嬢様なんだけど、友だち思いで主張できる自立したエマの役がぴったりはまっていた。2023.5 U-NEXT

A
森達也監督/オウム事件で多くの人間が逮捕された後、教団の広報としてメディアや警察への対応に追われる荒木氏の姿に迫ったドキュメンタリー。事件直後はオウムなんて解散すべき、出ていけ、と思っていたのだが、時間がたってこうやってあらためて信者たちを見てみると、彼らの純粋さに涙が出てしまった。イスラム教にしろカルトにしろ、宗教に身も心も捧げてしまう人たちというのは、この社会に生きにくさを覚え、宗教の教えが唯一の救いと捉えて入信していく。そんな純粋さを一部の教祖やら、過激思想を持った連中が巧みに利用していき、危うい方向へと突き進んでしまう。自分の信じていたものが、とんでもない悪であったと突きつけられても、生きる場所はここしかないと諦めてしまっている感じがして、どうにもやりきれなさを覚えた。もっとずる賢く生きていいんだよ、と言いたい気持ちにもなったけれど、本人が決めることだし、誰も口は出せないし…。
ここまで教団に信頼されて密着した森監督の熱意にアッパレ。2023.6 Amazon

A2
森達也監督/Aから2年後。名前をアレフと変えた教団の各地での地元住民との摩擦に密着したドキュメンタリー。監視小屋にいる人々や警官と、人間関係が出来上がって、笑いあっている姿が印象に残った。ただ、コミュニケーションを取れれば、争いがなくなるわけではない。ボスニアやウクライナなど、隣人同士が敵になった現実があるわけで、人と人は友人にも敵にも、すぐにでもなってしまう危うさがある。
 A,A2両方を見ていて感じたのは、大手マスコミへの怒り。そこを森監督が一番言いたかったことなのかも。表面だけしか見ずに適当な報道をし続け、弱いと思ったら徹底的に潰しにかかる。逆に強い物には忖度。オウム事件がら随分と時間がたっているが、大手マスコミのいい加減さは以前よりも増している気がする。絶望感。2023.6 Amazon

C.R.A.Z.Y.
監督:ジャン=マルク・ヴァレ 出演:ミシェル・コーテ 、マルク=アンドレ・グロンダン | ダニエル・プルール/1960年代のカナダ。5人兄弟の4男は、自らのアイデンティティと父の期待との間で葛藤する。急逝したヴァレ監督が2005年に手掛けた初期作品。監督の自伝的作品なのだろうか?音楽の選曲がセンスがあった。ここでもボウイの「スペース・オディティ」が効果的に使われていて、この曲の存在感、半端ない。つくづく名曲だと思った。2024.4

クレッシェンド 音楽の架け橋 CRESCENDO
監督:ドロール・ザハヴィ 出演:ペーター・ジモニシェック | ビビアナ・ベグロー | ダニエル・ドンスコイ/パレスチナとイスラエルの若者たちで構成された実在の和平オーケストラに着想を得た作品。ドイツ人指揮者が集めた若者たちが、歴史的な憎しみをぶつけ合いながら、少しずつ一緒に音を奏でていく。音楽映画というよりは、双方の気持ちをぶつけ合うシーンに重きが置かれていた。少し説教臭さも感じながら…。イスラム教とユダヤ教の歴史があまりにも根深過ぎて、虚しさを覚えた。2023.4

せかいのおきく
監督:阪本順治 出演:黒木華 | 寛一郎 | 池松壮亮/おきくは、貧乏長屋で父親と暮らしている。ある日、糞尿を仕入れて農家に売る下肥買いの青年・中次と出会い惹かれ合う。だが、おきくはある事件に巻き込まれ声を失ってしまう。主役は江戸時代の糞尿。これでもか、と糞尿まみれのシーンが出てくるのだけど、モノクロなので、さほど汚さは感じず。虐げられながらも自然と共に暮らしている若者二人と上品でかわいいおきくの3人の関係性が微笑ましい。ドラマチックな展開はほとんどなく、随所に笑える箇所もあり、ジム・ジャームッシュ映画をみている気分になった。今までの阪本監督作品とは毛色が違って興味深かった。2023.5

SEOBOK/ソボク
監督:イ・ヨンジュ 出演:コン・ユ | パク・ボゴム | チョ・ウジン
不治の病で余命宣告を受けた元情報局エージェントのギホン。彼の新たな任務は、国家の極秘プロジェクトで誕生した人類初のクローン人間ソボクの護衛。悲しい運命のクローン人間の物語。あまり心に響かず。2023.5 U-NEXT

TAR/ター
監督:トッド・フィールド 出演:ケイト・ブランシェット | ノエミ・メルラン | ニーナ・ホス/女性として初のベルリンフィル首席指揮者に就任したリディア・ター。コンサートマスターの女性と同棲し子どももいるなど、私生活も幸せそうに見える。だが、かつてターが指導した若手指揮者の自殺が明らかとなり、これを境に彼女の成功の人生が狂っていく。
 というストーリーではまったく語りつくせない複雑怪奇な物語。ケイトの美しさと、苦悩している姿を目を追うことだけに集中してたので、物語に関しては???の嵐。ターを取り巻く人々は、誰が味方で誰が敵なのか、最後までわからずじまいだし、現実の話なのかも怪しいことろ。心理ホラーとも言えそうな…。難しかった、の一言です。2023.5

ディック・ロングはなぜ死んだのか? THE DEATH OF DICK LONG
監督:ダニエル・シャイナート 出演:マイケル・アボット・Jr | ヴァージニア・ニューコム | アンドレ・ハイランド/アメリカ南部の田舎町。売れないバンド仲間のジーク、アール、ディックの3人。練習後に悪ふざけをした3人だったが、ディックが大けがをして、ジークとアールは、ディックを救急病院前に置き去りにする。ディックの身分証を隠してしまったことから、町は「なぞの男が殺された」話題で持ちきりに。
 シニカルなコメディ。愚かな男たちの行動には呆れた。面白かったですが、それだけって感じ。2023.5 U-NEXT

デヴィッド・ボウイ ムーンエイジ・デイドリーム MOONAGE DAYDREAM
監督:ブレット・モーゲン 出演:デヴィッド・ボウイ/財団が保有する膨大なアーカイヴ映像から厳選した未公開映像を含む貴重な映像の数々と、40曲におよぶデヴィッド・ボウイの名曲を通して、改めて伝説のロックスターの偉大な足跡を振り返るとともに、彼の思想と魅力に深く迫っていく。
ドキュメンタリーというよりは、ボウイという唯一無二のスターと、彼の曲、そして様々な映像の歴史がコラージュされたアート作品。美術館で見るような映画。個人的には十二分に楽しめた。2023.5

NOPE/ノープ
監督:ジョーダン・ピール 出演:ダニエル・カルーヤ | キキ・パーマー、スティーヴン・ユァン/ハリウッドに馬を貸しているヘイウッド家の牧場でなぞの雲が発生した。雲から降ってきたモノに刺され父が亡くなり、息子OJと娘エメラルドだけになる。元子役のパクが経営するテーマパークに馬を売り急場をしのごうとする。OJは父の死の不可解な出来事を動画に撮ろうとするが…。前半の仕込み話が長くて飽きてしまったが、後半、化け物が現れてからは面白く見れた。もうちょっとコンパクトにすればいいのに。ピール監督らしさが出たエンタメホラー作品だった。2023.7 Amazon

パーフェクト・ケア I CARE A LOT
監督:J・ブレイクソン 出演:ロザムンド・パイク | ピーター・ディンクレイジ | エイサ・ゴンサレス/マーラは恋人と結託して、高齢者をたくみに騙して法定後見人となり、顧客の財産を売り払って富を得ていた。マーラの餌食となったジェニファーは、老人ホームに閉じ込められてしまうが、彼女の裏にはマフィアがいたことから、マーラが命を狙われることに。不死身の悪女マーラがとにかく恐ろしくて、ホラー映画のようだった。胸くそ悪くなる展開だったが、ラストはしっかりと収めてくれた感あり。2023.5 U-Next

PIG/ピッグ
監督:マイケル・サルノスキ 出演:ニコラス・ケイジ | アレックス・ウルフ | アダム・アーキン/オレゴンの森の中でブタを相棒にトリュフハンターとして暮らす孤独な男ロブ。唯一、訪ねてくるのはトリュフのバイヤーである若者アミールだけだ。だが大切なブタが何者かに誘拐され、ロブはポートランドの街に出かけていく。
 タイトルから想像して、連れ去られたブタを探す話かと思ったのだが、ブタは最初の数分しか出てこない。ブタそっちのけで、ロブの正体が徐々に明らかになっていくのだが、唐突感あり。それでもニコラスの存在感が抜群なので許します。ちぐはぐ感も味があり、個人的には好きなテイスト。単なるブタ探しに終わらないのがいい。お涙頂戴の過去は、もういいよ、って感じでしたが。監督は新人とのこと。期待してます。2023.6

ミセス・ハリス、パリへ行く MRS. HARRIS GOES TO PARIS
監督:アンソニー・ファビアン 出演:レスリー・マンヴィル | イザベル・ユペール | ランベール・ウィルソン、原作:ポール・ギャリコ/1957年、ロンドン。夫を戦争で亡くした家政婦のミセス・ハリスは、ある日働き先の家で1着の美しいクリスチャン ディオールのドレスに一目ぼれ。
 中年女性のシンデレラストーリー。英国人は嫌なヤツが多いのに、パリの人はウェルカムっていうのが、リアリティゼロ。なんだけど、主演女優がかわいらしいので許します。当時のパリの労働者問題も背景になっているとのこと。民衆の力を大事にするフランスはやっぱりかっこいい。2023.6

モーリタニアン 黒塗りの記録 THE MAURITANIAN
監督:ケヴィン・マクドナルド 出演:ジョディ・フォスター | タハール・ラヒム | ザカリー・リーヴァイ、ベネディクト・カンバーバッチ/2005年、弁護士のナンシーは9.11の首謀者として捕まったモーリタニア人スラヒの弁護を引き受ける。スラヒは無実を訴えるが、長期にわたる拷問に苦しめられていた。グアンタナモの拷問を扱った映画はほかにも見ていたので、特別にショックは受けなったが、タハール・ラヒムはやっぱりいい役者だな、とあらためて思いました。2023.4

林檎とポラロイド MILA
監督:クリストス・ニク 出演:アリス・セルヴェタリス | ソフィア・ゲオルゴヴァシリ | アナ・カレジドゥ、ケイト・ブランシェット製作/突然記憶喪失になる謎の伝染病が蔓延する世界を舞台に、記憶を失った孤独な主人公が、治療のための回復プログラムによって新たな生活を確立していく姿。最初に伏線がはってあるので、しっかり見ておかないとよくわからなくなる。なので2度、3度見返した。物語は近未来風だか、絵柄は古い時代感もあり。ギリシャの新人監督の作品とのこと。将来性を感じた。2023.6



2022年度)

RRR
監督:S・S・ラージャマウリ 出演:N・T・ラーマ・ラオ・Jr、ラーム・チャラン 、アジャイ・デーヴガン/1920年、英国植民地時代のインド。ゴーンド族の不屈の男ビームは、英国軍に連れ去られた村の少女を奪還するためデリーへ向かう。一方、ある大義を胸に秘め、英国政府の下で警察官として働く無敵のラージュ。二人は運命に導かれるように出会い、親友となるが…。
 闘うシーンの怒涛の効果音には、もういいよーってなりましたが、単純に楽しめた。ここまで大英帝国を悪人にしてしまって宗主国は怒らないのかな、って心配になったが、あくまでエンタメですからね。長いなあ、とは思ったけど、飽きずに見れた。ボリウッド映画は、久々だったけど、上質のエンタメ作品。さすがの大作でした。2023.2

アラビアンナイト 三千年の願い THREE THOUSAND YEARS OF LONGING
監督:ジョージ・ミラー 出演:イドリス・エルバ | ティルダ・スウィントン/神話を研究する専門家アリシアは、講演のために訪れたトルコのイスタンブールで美しいガラス瓶を手に入れる。ホテルの部屋に戻った彼女が瓶を洗っていたところ、中から魔人“ジン”が現れる。魔人は自分が体験してきた3000年に及ぶ物語を語って聞かせる。ミラー監督ということでマッドマックス的な映像世界を期待してしまったせいか、拍子抜け。アラビアンナイトのことを知っていればもっと楽しめたのかなあ。普通の寓話ものだった。2023.3

イニシェリン島の精霊 THE BANSHEES OF INISHERIN
監督:マーティン・マクドナー 出演:コリン・ファレル 、ブレンダン・グリーソン | ケリー・コンドン/1923年、アイルランドの孤島“イニシェリン島”。純朴な男パードリックは、親友だと思っていたコルムから、突然、絶縁を宣言されてしまう。パードリックは彼との仲を修復しようと、しつこく付きまとうが、コルムは、自分の指を切り落として、パードリックの家に投げつける。
 大人の男二人が些細なことから仲違いし、お互いの行動が次第にエスカレートしていく展開は、精神衛生上、気持ちのいいものではないので、正直苦痛だった。だが、まっとうな妹がロンドンへ旅立ち、それでも目が覚めないパートリックと、彼の挑発にのるコルムを見ているうちに、まるでロシアとウクライナのようだな、などと感じてしまった。世界の泥沼化している紛争の多くは、隣人のような近しい間柄で起こっている。人間というのは何と愚かな生き物なのか。俯瞰すると、馬鹿らしいことなのだが、当人たちには引くに引けなくなり、生死をかけてしまう。絶望感でため息がでた。2023.1

逆転のトライアングル TRIANGLE OF SADNESS
監督:リューベン・オストルンド 出演:チャールビ・ディーン | ハリス・ディキンソン、ウディ・ハレルソン/売れっ子モデルのヤヤの彼氏は顔はいいけど、今一つぱっとしないモデルのカール。二人は豪華客船のクルーズ旅に招待されるが、そこには曲者揃いのセレブな客が。
 モデル業界の話や、クルーズ船のスタッフたちの裏話は皮肉が聞いていて笑いっぱなし。大嵐でのセレブたちのゲロまみれのシーンは、パンク映画を見ているよう。石井そうご監督作品を思い出した。けっこう好きかもって、思っていたのだが、島に流れ着いてからの話は、ありきたりな感じがして興覚め。桐野夏生の「東京島」のほうがインパクトがあった。手りゅう弾作って富豪になった夫婦が、自分の会社の手りゅう弾で爆破されるシーンで、終わってほしかったなあ。
 モデルのイケメン彼氏が、ちっちぇー男で笑った。「対等でありたい」っていう気持ちもわかるのだが、イケメンなのにもったいない。でも、これって多くの男の本音なのかも。
前半の展開は私好みだった。2023.3

きみへの距離、1万キロ EYE ON JULIET
監督:キム・グエン 出演:ジョー・コール | リナ・エル・アラビ | ファイサル・ジグラ/北アフリカの砂漠地帯にある石油パイプライン。そこで石油泥棒を監視しているのは小さなクモ型ロボット。それを1万キロ離れたアメリカ・デトロイトから遠隔操作しているオペレーターの青年ゴードンは、失恋したばかり。ある日、彼はロボットを介してアユーシャという若い女性と出会う。彼女には恋人がいたが、親は年上の男性と結婚させようとする。
 ロボットを介して、アメリカと北アフリカで出会う男女という設定が面白い。ちょっとストーカーっぽいけど、ピュアなゴードンのキャラにきゅんときた。楽しめました。2023.3 Gyaoにて

極悪の流儀 MOJAVE
監督:ウィリアム・モナハン 出演:オスカー・アイザック | ギャレット・ヘドランド | ルイーズ・ブルゴワン、 クリストファー・ニーマン、マーク・ウォールバーグ/有名な映画監督がある殺人事件を起こす。彼は逃げ帰るが、目撃した男が現れ、彼を執拗に追いまわす。オスカー・アイザックがサイコ役というのが珍しい。魅力はあったが、ストーリー展開がステレオタイプで、ちょっと飽きてしまった。2023.2 Gyaoにて

ザ・サークル THE CIRCLE
監督:ジェームズ・ポンソルト 出演:エマ・ワトソン | トム・ハンクス/カリスマ経営者ベイリーが作り上げた超巨大SNS企業“サークル”。あらゆる個人情報の共有を目指すベイリーは、新人のメイの生活を超小型カメラで記録し、透明化する実験を始める。メイのフォロワーはたちまち一千万人を超えるのだが…。行き過ぎたSNS社会を風刺した、あり得なくないと思わせる展開だったが、ほぼ予想どおり。2023.2 Gyaoにて

ナポリ、熟れた情事 NAPOLI VELATA
監督:フェルザン・オズペテク 出演:ジョヴァンナ・メッゾジョルノ | アレッサンドロ・ボルギ | アンナ・ボナイウート/検視官のアドリアーナは、魅力的な青年アンドレアに誘われ、一夜を共にする。まもなくアンドレアの遺体と対面した彼女は、街中で彼とそっくりな人物を目撃する。イタリアで評価されたらしいが、ピンとこず。彼女自身の心の闇が次第に明らかになるのも違和感があり。結局、彼はなんで殺されたの?謎解きをあえてしなかったのだろうが、解せなかった。2023.2 Gyaoにて

南極日誌 ANTARCTIC JOURNAL
監督:イム・ピルソン ?出演:ソン・ガンホ | ユ・ジテ | カン・ヘジョン/6人で構成された韓国の南極探検隊は、“南極到達不能点”を目指して歩みを進める。80年前に遭難したイギリス探検隊によって書かれた日誌を発見する。極限状態の人間の姿を延々に見せられるのは正直苦痛だったが、狂気の隊長を演じたガンホには圧倒された。GYAOにて 2023.2

BLUE GIANT
監督:立川譲 声の出演:山田裕貴 | 間宮祥太朗 | 岡山天音/仙台の高校生・大は毎日テナーサックスを吹き続け、卒業を機に上京し、高校の同級生・玉田のアパートに転がり込む。ライブハウスで出会った凄腕ピアニストの雪祈に惚れ込み、バンドを組もうと誘う。
 演奏シーン、十二分に楽しめた。物語は、ザッツ青春ドラマ!終始、若いっていいね、と思いながら見ていた。雪祈が、平に言われた「お前の演奏はつまらない」。私も、昔、ジャズの先生に言われたことがあるので、苦笑い。昔を少し思い出してしまいました。やっぱりジャズはトリオがいいわ!!2023.3

ボヴァリー夫人 MADAME BOVARY
監督:ソフィー・バルテス、出演:ミア・ワシコウスカ、リス・エヴァンス、エズラ・ミラー、ローガン・マーシャル=グリーン、ポール・ジアマッティ/少女エマはフランスの田舎町に済む医師チャールズ・ボヴァリーと結婚する。だが生真面目な夫と単調な日々を退屈に思うようになり、青年レオンに惹かれるようになる。恋は成就せず、孤独になったエマは高価な服や調度品を買い集め、やがて資産家のマルキと出逢う。
 金と色恋に引き付けられ、破滅の道へ突き進む純真な女性をミアが好演していた。古典ものなので、その名前だけは知っていたが、初めて見た。多くのよろめきドラマがこの物語がベースにあるのですね。1848年にルーアンで起きたドラマール事件が基になっているとのこと。勉強になりました。2023.2 Gyaoにて

女神よ、銃を撃て ALL THAT DIVIDES US
監督:ティエリー・クリファ 出演:カトリーヌ・ドヌーヴ | ダイアン・クルーガー/足に傷害のある女性は、ドラッグ依存に陥っている。ある日、売人と言い争っているときに彼を殴り、殺してしまう。母に相談した女は二人で遺体を海へ捨てる。売人が多額の借金を抱えていたことから、母娘は危険にさらされる。
 悪人だった若い男が、母娘と接することで互いに情が湧いてくるという設定。まさかの展開は、ちょっと無理があるなあ、とは思ったが、それぞれの個性が魅力的に描かれていた。2023.3 Gyaoにて

ラフィキ ふたりの夢
ワヌリ・カヒウ 監督、出演:サマンサ・ムガシア、シェイラ・ムニヴァ/ナイロビで暮らすケナには議員選挙に出馬した父親がいる。父の対抗馬の娘ジキと惹かれ合うが、同性愛が許されない町で、二人は白い目で見られてしまう。若い二人の表情とファッションがキュートだった。2023.2 Gyaoにて

ランナーランナー RUNNER RUNNER
監督:ブラッド・ファーマン 出演:ジャスティン・ティンバーレイク | ジェマ・アータートン | アンソニー・マッキー、ベン・アフレック/プリンストン大学の学生リッチーは、オンライン・ポーカーで大負け。しかしサイトの不正を見破り、オーナーのブロックのもとへと直談判に出向く。ブロックはリッチーの才能を高く評価し、カジノ経営へと誘う。2大イケメンスターの競演、楽しめた。2023.2

別れる決心 DECISION TO LEAVE
監督:パク・チャヌク 出演:タン・ウェイ | パク・ヘイル | イ・ジョンヒョン/刑事ヘジュンは、山で転落死した男の妻ソレと出会う。ソレへの疑いを持ちながらも、強烈に惹かれていくヘジュン。彼の気持ちに気づいたソレもまた特別な感情を抱き始める。悪女に翻弄される刑事の転落を描いているのか、と最初は思ったのだが、夢なのか現実なのか、霧の中にいるような展開で、終始、頭の中はモヤモヤ。二人は確実に惹かれ合っているのだが、言葉も体もストレートな表現をしないので、見ている方はジリジリ。ここでキスするだろ、普通は。なんて凡人は思ってしまうのだが、この映画はそういった見飽きた展開にならないのだ。台詞は昔のフランス映画風で、映像はウォン・カーワイ作品を彷彿とさせる美しさ。1度見ただけはこだわりが伝わらない部分も多々ある感じ。好きな作品か、と聞かれたら即答はできないのだが、いつまでも気になってしまう作品。パク・チャヌクの今までの作品とは毛色が違うので驚いた。攻めてるますね。2023.2

ワザリング・ハイツ ~嵐が丘~/嵐が丘 Wuthering Heights
監督:アンドレア・アーノルド、出演:カヤ・スコデラーリオ、ジェームズ・ハウソン、ソロモン・グレイヴ、ポール・ヒルトン/身寄りのない男の子は、ヒースクリフと名付けられ、その家の娘キャサリンと仲良くなる。だが、キャサリンは、豪邸に住む地主の息子に見染められ、失意のヒースクリフは出奔。数年後、良き青年に成長したヒースクリフが村に戻ってくる。
 学生時代に「嵐が丘」を読み、映画を見てファンになったことを思い出しながら見た。昔の映画とはテイストが違うのだが、映像がテレンス・マリック作品に似通っていて見応えがあった。主演の黒人俳優も魅力的。2023.2 Gyaoにて


アムステルダム
監督:デヴィッド・O・ラッセル 出演:クリスチャン・ベイル | マーゴット・ロビー | ジョン・デヴィッド・ワシントン、クリス・ロック、マイク・マイヤーズ、マイケル・シャノン、ラミ・マレック、アニャ・テイラー=ジョイ、ロバート・デニーロ/30年代、欧州の戦場で出会い、アムステルダムで友情を育んだバート、ハロルド、ヴァレリーは、10数年後のニューヨークで、元上官とその娘の殺害の濡れ衣を着せられる。資産家であるヴァレリーの兄と投資家仲間はファシズムに傾倒し、大衆に人気があったスメドレー・バトラー少将をムッソリーニのようなファシストに担ぎあげようと画策する。
 アメリカがもしかしたら三国軍事同盟に入っていたかもしれない、という恐ろしい実話を軽いエンタメに仕上げている。もうちょっと皮肉の聞いた「ブタペスト・ホテル」のようなコミカルさを期待したのだが、キャストが豪華すぎたせいなのか、エンタメ作品だった。いつも癖の強い役をやっているマイケル・シャノンとマイク・マイヤーズが、裏のない脇役で、意外や意外、ラミ・マレック、アニャ・テイラー=ジョイが曲者だったというオチが面白い。特にアニャの個性が光っていた。ジョン・デヴィッド・ワシントンは、デンゼル・ワシントンの息子とのこと。イケメンではあるが、父親とは別顔だなあ。2022.11

アウト・オブ・サイト OUT OF SIGHT
監督:スティーヴン・ソダーバーグ、出演:ジョージ・クルーニー | ジェニファー・ロペス | ヴィング・レイムス/銃を使わず銀行強盗を続けるジャックは、ひょんなことから出会った捜査官カレンに一目ぼれする。豪華キャスト陣が魅力のシンプルな犯罪コメディ。ウィットに富んでいて楽しめた。2022.10

オープン・ユア・アイズ ABRE LOS OJOS
監督:アレハンドロ・アメナーバル 出演:エドゥアルド・ノリエガ | ペネロペ・クルス、ナイワ・ニムリ/ハンサムで恋多き青年セサルは、彼と別れるのを拒否した元カノの運転する車に乗り、交通事故によって顔に大きな傷を負う。事故によって人生が大きく変わってしまった男の混乱する頭の中をそのまま映画いているので、何が真実なのかわからなくなるのだが、その錯そうする記憶がこの映画の醍醐味でもある。ノリエガ、若くて素敵でした。見逃していたので見れてよかったです 2022.10 Gyao

ザ・ウェイバック THE WAY BACK
監督:ギャヴィン・オコナー、出演:ベン・アフレック | アル・マドリガル | ジャニナ・ガヴァンカー/元バスケットボールの選手が、母校のチームのコーチになる。彼は家族を亡くしてから、酒に溺れる日々を送っていた。
 スポーツドラマによくある選手たちの成長よりも、コーチの再生に焦点が当たった作品だった。ベン・アフレック、やっぱり好きだわ。ダサさもまた引かれるものあり。2023.1 Amazon にて

AVA/エヴァ
監督:テイト・テイラー 出演:ジェシカ・チャステイン | コモン | ジョン・マルコヴィッチ、コリン・ファレル、ジーナ・デイヴィス/美しい容姿と並外れた戦闘スキルで完璧に任務をこなしてきた暗殺者エヴァ。しかし“なぜ標的たちは殺されなければならなかったのか”という疑問が頭を離れることはなかった。そんな中、重要なミッションに臨むエヴァだったが…。キャストが好きなので見てみたが、とくに可もなく不可もなくの殺し屋ものだった。2023.1 Amazonにて

21ブリッジ 21 BRIDGES
監督:ブライアン・カーク 出演:チャドウィック・ボーズマン | シエナ・ミラー | ステファン・ジェームズ/ある夜、2人組の強盗犯マイケルとレイがブルックリンの店に押し入ると、そこには話に聞いていた量をはるかに上回るコカインが隠されていた。警官隊に突入され、激しい銃撃戦に。ニューヨーク市警殺人課のデイビス刑事が現場に到着し、麻薬取締班の女性刑事とコンビを組む。 チャドウィックの遺作ということ。どこかで見たことあるような内容でした。2023.1 Amazonにて

ベルファスト BELFAST
監督:ケネス・ブラナー 出演:カトリーナ・バルフ | ジュディ・デンチ | ジェイミー・ドーナン/1969年、北アイルランドの首都ベルファスト。9歳の少年バディは、愛する家族と楽しい日々を送っていた。ある日、暴徒化したプロテスタントの若者が、カトリック系住民への攻撃を開始した対立は激しさを増し、バディと家族にも危険が迫り、父親はロンドンへの移住を計画するのだったが…。ベルファストで起こったことは、知ってはいたが、実際に子ども時代に経験した監督ならではのきめ細やかな心理描写が秀逸だった。2023.1 Amazon にて

記者たち 衝撃と畏怖の真実 SHOCK AND AWE
監督・出演:ロブ・ライナー、出演:ウディ・ハレルソン | ジェームズ・マースデン | 2002年、新聞社ナイト・リッダーのワシントン支局長ジョン・ウォルコットは、9.11同時多発テロの首謀者ビンラディンを追っているはずのブッシュ政権が、イラクへの攻撃を計画しているとの情報を得る。部下の記者たちが取材をし、「イラクによる大量破壊兵器の保持」といニュースはフェイクだと報道し続けるが、大手新聞社は軒並み政府発表を支持する。映画を見ながら「あの疑惑の大統領選でゴアが当選してたら多くの命が救われたのかもしれない」と思ってしまった。アメリカの大手メディアも日本と似たり寄ったりなのですね…。メディアは政治や企業や広告代理店に忖度した時点で負け。ナイト・リッダーにはこれからも頑張ってほしい、と心から思った。2022.10 Gyao

雲のむこう、約束の場所
監督:新海誠 声の出演:吉岡秀隆 | 萩原聖人 | 南里侑香/戦後、日本は津軽海峡を挟んで南北に分断された。米軍統治下の青森に暮らす2人の少年、ヒロキとタクヤ。彼らは2人とも同級生のサユリに憧れを抱いていた。そんな2人はある日、津軽海峡の向こう側、ユニオン占領下の北海道に建設された、謎の巨大な“塔”を見ながら、いつか自分たちの力であの塔まで飛ぼうと約束、小型飛行機を組み立て始めるのだった。
 もしも日本が朝鮮半島のように分断されていたら、という設定に興味があり見てみたが、パンチが弱くて飽きてしまった。でも、このぐらいソフトのほうが、今の若者には受けるのかもしれませんね。

汚れたミルク/あるセールスマンの告発 TIGERS
監督:ダニス・タノヴィッチ 出演:イムラン・ハシュミ | ギータンジャリ | ダニー・ヒューストン/1994年、パキスタン。国内製薬会社のセールスマン、アヤンは、大手グローバル企業に転職し粉ミルクを精力的に売り込む。だが自分が売った製品を不衛生な水で溶かして飲んだ乳児が下痢で死亡する事件が多発していることを知ってしまう。事実を訴えるが会社は無視。彼は会社を辞め人権団体と共に、事件を明るみにしようとする。
 事実が元になっており、ネスレの粉ミルクということだが、こういった事件が知らされていないことに衝撃を覚えた。結局、大企業は国とも近いから、圧力がかかって闇の中となってしまう。
 SNSを個人攻撃に使うのではなく、こういった潰されそうな事件を明るみにすることに活用されるべきだと感じた。大企業に一人で立ち向かった彼に敬意を表します。2022.12

天気の子
監督:新海誠 声の出演:醍醐虎汰朗 | 森七菜 | 本田翼/天候が不順で雨が降り続く夏の東京。離島の実家を家出した高校生の森嶋帆高は、なかなかバイト先を見つけられず、東京の厳しさに打ちのめされかけていた。そんなとき、小さな編集プロダクションを経営する須賀圭介に拾われ、住み込みで働くことに。 話題になったので見てみたが…。ピンとこず。2022.12

ドライブイン蒲生
監督:たむらまさき 出演:染谷将太 | 黒川芽以 | 永瀬正敏/街道沿いのさびれたドライブインを経営する蒲生三郎を父に持つ姉サキと弟トシ。2人はろくでなしの父のせいで世間から“バカの家の子”と蔑まれて育った。そんな父を毛嫌いし、反発からヤンキーになったサキ。やがて妊娠して家を出て行ってしまうが…。よくある日本のインディペンデント作品。とくに響かず。2022.12

ホワイト・ノイズ WHITE NOISE
監督:ノア・バームバック 出演:アダム・ドライヴァー | グレタ・ガーウィグ | ドン・チードル/化学物質の流出事故により、地域の人々が隔離される。死の恐怖に囚われた大学教授は、妻が謎の薬を服用している、と娘から聞かされる。
 放射能汚染経験者でもあるので、他人事とは思えず、見てみたが、ブラックコメディにしては、笑える箇所が少なくて、スピード感もなく、話がぶつぶつ切れてて、まったく話に入り込めず。ウェス・アンダーソン作品のような世界観を期待してたのだが、完全に肩透かし。アダム・ドライバーが好きでも、この映画は好きになれず。2022.12


マンティコア Manticora
監督:カルロス・ベルムト監督、ナチョ・サンチェス、ゾーイ・ステイン、アルバロ・サンス・ロドリゲス出演/ゲームアーチストの青年は、隣で暮らす少年を助けたことをきっかけに、少年のことが忘れられなくなる。そんな気持ちを隠しながら若い女性と距離を縮め、恋人同士になる。他人の性癖にはわりと肝要なつもりだったが、成人男性の少年愛は受け入れられないので、どうしても拒否反応が出てしまう。本心を隠して普通に恋愛しようと努力している様子を淡々と描いているのだが、それが長くて飽きてしまった。「マジカルガール」は面白かったのだが、テイストがまったく違うので戸惑った。TIFFにて 2022.10

LIVE AND DIE リヴ・アンド・ダイ PAWN
監督:デヴィッド・A・アームストロング 出演:マックス・ビースレイ | ジョナサン・ベネット、レイ・リオッタ、フォレスト・ウィテカー、コモン/あるダイナーに3人の強盗が押し入るが、目的の金庫は真夜中の12時にならないと開けられないと店主に言われ、やむなく隠れて時間稼ぎをすることに。トイレに隠れていた出所したばかりの若い男は、警察に隠れて通報。そこへ顔なじみの一人の警官が店に現れる。
 なんてことはない強盗なのかと思ったら、警察とギャングの癒着の証拠が入ったディスクを巡る争いで、ダイナーには事情を知る人間が集まっていた、という設定。有名役者はあくまで脇役で無名の役者陣が主役というのも面白い。話が複雑ではあるのだが、楽しめた。2022.10 Gyao

リトル・モンスターズ LITTLE MONSTERS
監督:エイブ・フォーサイス 出演:ルピタ・ニョンゴ | アレクサンダー・イングランド、キャット・スチュワート/ダメダメな中年男が、甥っ子の幼稚園の遠足に付き添うことになり、そこでゾンビに襲われる。 ルピタ・ニョンゴがキュートな幼稚園の先生を演じてました。B級ゾンビ映画。2022.10 Gyao


アダム&アダム THE ADAM PROJECT
監督:ショーン・レヴィ 出演:ライアン・レイノルズ | マーク・ラファロ | ジェニファー・ガーナー、キャサリン・キーナー/2022年で暮らす少年アダムは父の事故死から立ち直れないでいる。ある日、目の前に30年後の自分が現れた。彼は2018年に戻るため時間旅行をしている途中、事故で2020年にやってきてしまったという。
 時間旅行SF映画は名作がたくさんあるのだが、その美味しい部分だけをつまみ食いしただけのB級作品だった。役者がスター揃いなのだが、内容がステレオタイプ過ぎ。残念。Netflix 2022.8

インスタント・ファミリー ~本当の家族見つけました~ INSTANT FAMILY
監督:ショーン・アンダース 出演:マーク・ウォールバーグ | ローズ・バーン | オクタヴィア・スペンサー/軽い気持ちで養子をもらうことになった夫婦の基にやってきたのはラテン系の3きょうだいだった。
 子どもたちの個性がそれぞれユニークで、彼らに翻弄する夫婦が微笑ましかった。実際はこううまくはいかないとは思うけど、養子縁組先進国ならではの映画だった。2022.9 Netflix

ONODA 一万夜を越えて
監督:アルチュール・アラリ 出演:遠藤雄弥 | 津田寛治 | 仲野太賀、イッセー尾形/1944年、特殊訓練を受けていた小野田寛郎は、フィリピン・ルバング島に派遣される。降伏も玉砕も許されないと厳命された小野田は3人の部下とジャングルに潜み続ける。間もなく、日本から使者が来て、彼らに対し、遠くから終戦を告げるのだが、小野田は敵のスパイだと言い信じようとしない。農民から盗みを働きながら生き続けていたが、一人がフィリピン警察に殺され、一人は脱走。だが、二人だけになってもジャングルを出ず20年以上が過ぎていく。
 潜伏当時、多くの罪なきフィリピン人を殺したことは知られているのだが、戦時中の気持ちのまま、20年も暮らしていたという、一種の洗脳、狂気状態だと考えると仕方ないのとも思えた。ずっと一人だったと思っていたのだが、投降の2年前まで相棒がいたことを知ってイメージが変わった。戦争が生んだ一種の化け物。投降後、すぐにブラジルに渡った気持ちはわかるが、フィリピン人への贖罪はしたのかは気になった。ちなみ小野田のこと、一般的なブラジル人には知られていないようです。この映画、日本人ではなくフランス人が撮ったこと、なぜ今なのかなど、聞いてみたいことも多い。終戦記念日を前に見るのにふさわしい映画でした。2022.8

ザ・コンサルタント THE ACCOUNTANT
監督:ギャヴィン・オコナー 出演:ベン・アフレック | アナ・ケンドリック | J・K・シモンズ/会計事務所を構える男は、幼少期にアスペルガーと診断され、他人とのコミュニケーションに問題を抱えている。数字の天才である彼は、裏社会と繋がりを持ち、彼らの仕事を請け負っていた。ある日、リビング・ロボ社の財務調査という依頼が舞い込む。経理担当デイナとともに使途不明金の解明に乗り出すが…。
 ベン・アフレックがアスペルガーの男、というのが最初はピンとこなかったのだが、表情の薄い悲しみを秘めた男を見事に演じていた。基本は感じのいい単細胞系男役が合うとは思うのだが、顔の作りが淡泊なので、意外とどんな役でもこなせる。
 鍛えた体にほれぼれ。話の展開もハラハラドキドキありで面白くみれた。2022.9 Netflix

軽蔑
監督:廣木隆一、原作:中上健次、出演:高良健吾 | 鈴木杏 | 大森南朋/歌舞伎町で暮らすカズはポールダンサーの真知子と街を抜け出し、カズの故郷に戻る。街有数の資産家である父は二人に部屋を与えるが、真知子との結婚は許さなかった。
 中上健次原作ということで見たのだが…。廣木監督作品らしい身勝手な男に振り回される女性の描き方が、やっぱり私には受け入れられず。鈴木杏は子役のイメージが強くてセクシーな役は違和感あり。清純派子役あがりから脱皮しようとしているのはわかるのだけど…。高良健吾はダメ男役がよく似合ってました。2022.8

セバーグ SEBERG
監督:ベネディクト・アンドリューズ 出演:クリステン・スチュワート | ジャック・オコンネル | マーガレット・クアリー、ヴィンス・ボーン/フランス映画などで成功したアメリカ人女優のジーン・セバーグは公民権運動に傾倒し、ブラックパンサー党の幹部と親しくなる。ブラックパンサー党に関する情報を違法な盗聴で得ていたFBIは、ジーン宅にも盗聴器を仕掛け、私生活を一部始終監視。ジーンとブラックパンサー党幹部との不倫をマスコミにリークするなど、嫌がらせを始める。フランス映画で有名になりながら若くして自殺したと聞いていたのだが、ブラックパンサー党と親しく、FBIから目をつけられていた事実に驚いた。ジョン・レノンも政府に殺されたという噂もあるぐらいだから、ジーンの自殺もグレーなのではないか。そう思わせるテイストだった。実在の人物ものはつい本人と比較してしまうのだが、ジーンを演じた女優に今一つ魅力を感じず。2022.8 Netflixにて

それだけが、僕の世界  KEYS TO THE HEART
監督:チェ・ソンヒョン 出演:イ・ビョンホン | パク・ジョンミン | ユン・ヨジョン/仕事を失くした中年の元プロボクサー、ジョハは、子どものころに自分を捨てた母親インスクと偶然再会する。弟のジンテはサヴァン症候群で手がかかるが、ピアノの才能に恵まれていた。母に懇願されたジョハは、ジンテがピアノコンクールに出場できるよう面倒を見ることになる。
 ストーリーはステレオタイプだが、ビョンホンとオスカー女優ユン・ヨジョンの演技にぐいぐい引き込まれ、クライマックスではウルウル。とってもいい映画に素直に感動できました。やっぱりビョンホンが好き。2022.9. Netflix

デイ・シフト DAY SHIFT
監督:J・J・ペリー 出演:ジェイミー・フォックス | デイヴ・フランコ | ナターシャ・リュー・ボルディッゾ/街に潜む吸血鬼たちを退治して、歯を抜き取ることで稼いでいる男は、娘の学費を払うため奔走する。アクションシーンがメインのスプラッタコメディ。笑えた。2022.9 Netflix

ひとつの太陽 A Sun
監督:チョン・モンホン 出演:チェン・イーウェン | ウー・チエンホー | サマンサ・コー/高校生の弟が傷害事件で少年院送りになったことをきっかけに家族が壊れていく様を静かなトーンで追いかけた家族ドラマ。早々に兄が自殺してしまうのはショックだったが、一人一人の個性が丁寧に描かれていて見入ってしまった。台湾はヤクザ絡みの映画が面白いのだが、これもその一つ。ドラマチックではあるのだが、あくまで家族目線というのがよかった。2022.9 Netflix

わたしは最悪。
監督:ヨアキム・トリアー 出演:レナーテ・レインスヴェ | アンデルシュ・ダニエルセン・リー | ヘルベルト・ノルドルム/成績優秀だったユリヤだが、医者を辞め、心理学にも飽き、写真家になる。まもなく著名な漫画家で年上のアクセルと恋に落ち、共に暮らし始めるが、子どもを欲しがるアクセルと気持ちがすれ違い始める。ある日、パーティ会場で若い魅力的な男性アイヴィンと出会い…。12章からなる、と最初に示されたので、途中から早く進まないかなあ、と正直思ってしまった。後半はグッとシリアスな内容になるのだが、そこまでのユリヤの言動には共感できず。なので元恋人の病気のくだりもピンとこず。「フランシス・ハ」は大好きな映画だったが、なぜこの映画は受け付けなかったのか、自分でもよく分析できずにいる。2022.8

ユダ&ブラック・メシア 裏切りの代償 JUDAS AND THE BLACK MESSIAH
監督:シャカ・キング 出演:ダニエル・カルーヤ | レイキース・スタンフィールド | ジェシー・プレモンス/FBIと偽り、自動車を盗もうとしたビル・オニールは、罪を帳消ししてもらう代わりにFBIの手先となってブラックパンサー党のイリノイ支部へ潜入。支部長フレッド・ハンプトンに近づく。実話の映画化。様々な映画で描かれているが、何度見ても当時のFBIのやり方はヤクザ以上で絶望的。21歳でカリスマになったハンプトンを危険視して殺害したのだろうけど「革命家は死んでも革命は死なず」。次の世代にその魂が少しでも引き継がれてることを願います。FBIに脅されててスパイをやっていたオニールも気の毒ではある。1990年に罪を告白した直後に自殺したらしいけど、自殺じゃなく、おそらく殺されたのだろう。アメリカの闇。

リトル・シングス THE LITTLE THINGS
監督:ジョン・リー・ハンコック 出演:デンゼル・ワシントン | ラミ・マレック | ジャレッド・レトー/若い女性の全裸遺体が相次いで発見された。若き刑事とロートル刑事は独自の捜査を進めるうち、ある男にたどり着く。
 役者が豪華なので見てみたが…。ありきたりなサスペンスだった。容疑者を演じたジャレット・レト―は癖の強い役ばかりですが、いい役者です。2022.8 Netflixにて

ルンバ・キングズ THE RUMBA KINGS
監督:アラン・ブレイン/1950年代、アフリカのコンゴ民主共和国(旧ザイール)の首都キンシャサでは、キューバのラテン音楽に独自の解釈を加えたミュージシャンたちが祖国に新たなアイデンティティをもたらし、国民的英雄と称えられた。ベルギーに支配されていた同国の独立にもつながっていくこの音楽は、アフリカ全土で一世を風靡する。アフリカの音楽ライブハウス「ピガピガ」に通っていたころを懐かしみながら見た。パパ・ウエンバ懐かしい~。監督はペルー人とのこと。ペルーのぺの字も出てきませんでしたが。2022.9 ピーター・バラカン フェス

ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへ LONG DAY'S JOURNEY INTO NIGHT
監督:ビー・ガン 出演:タン・ウェイ | ホアン・ジュエ | シルヴィア・チャン/父の死を機に久々に故郷に戻ってきた男が、忘れられない運命の女の面影を求めて彷徨う心の旅路を、夢とうつつが交錯する幻想的な筆致で描き出す。現実と過去が入り混じっていて、最初、何がなんだかよくわからず。物語よりも、画面の構図や色使い、まったりとしたトーンが芸術で、なんだかよくわからないけど、見入ってしまった。この手の映画はスクリーンで見たい。ビー・ガン監督、要チェックだわ。2022.8 Netflix

アントニオとレオ
監督: ドナート・ロトゥンノ/50年代。イタリアからルクセンブルクへ出稼ぎに出たアントニオは現地で仕事を得て恋人とも出会う。数十年後、老人となり妻を失ったアントニオは、イタリア出身の女性レオと出会う。世代が違う二人のイタリア人の出会いを描いているのだが、移民の苦労話にしては緩すぎるし、アントニオが故郷に顔を出せなくなった理由も腑に落ちず、中途半端な感があり。2022.7 EUフィルム

海にむかうローラ Lola vers la mer
監督: Laurent Micheli/ブノア・マジメル出演/ローラと名乗って女装している18歳リオネルは母の急死を知り葬儀へ向かう。しかし父フィリップはローラに冷たくあたる。憤慨したローラは母の遺骨を持って逃げるが…。父親がゲイの息子を受け入れられないのは映画でよく取り上げられるが、やっぱり同性としてのショックがあるのだろうか。逆に母親は女の気持ちがわかってくれる息子と仲良くなれるのでしょう。ブノア・マジメルが父親役になってたのが驚き。ローラ役の子が魅力的でした。2022.7 EUフィルム

エルヴィス ELVIS
バズ・ラーマン監督、出演:オースティン・バトラー | トム・ハンクス | オリヴィア・デヨング/南部の田舎町で育ったエルビスは、黒人コミュニティから強い影響を受けた歌い方で、スターに上り詰める。ミュージシャンの伝記映画は当たりはずれがあるのだが、これは私的にははずれ…。主演俳優にもさほど魅力を感じず、エルヴィスの生い立ちにも興味が持てず…。マネージャーの搾取話もよくある話なので。バズ・ラーマン監督作品は好きなので劇場で見たのだが、米国スターに気を使いすぎの感あり。もうちょっとはじけてほしかった。2022.7

オーナーズ
監督: イジー・ハヴェルカ/ある古いマンションのオーナーが集まり、屋根裏の活用法やエレベーターの据え付けなどについて協議を始めるが、一筋なわではいかない住人ばかりで話はまとまらず…。三谷幸喜が得意そうな一幕もの。移民に部屋を貸している1階の住人はエレベーターができても自分の部屋は価値があがらないから、と反対したり、差別主義者の老人は社会主義時代を懐かしみ、すべて金がかかるからと反対するなど、それぞれの発言に一理あり。あるだろうなあ、この手のいざこざは。マンションに住んでいなくてよかったわ、と思ってしまった。2022.7 EUフィルム チェコ映画

ピサの約束 The Promise of Pisa
監督: ノルベルト・テル・ハル/モロッコ系オランダ人のサムは、兄のモーが警察に逮捕されたその日、名門アムステルダム音楽院に入学する。講師はサムの才能を買っているが、サムは楽譜も読めずコンプレックスを感じる。ユダヤ系のセレブ、アンネリースと恋に落ちるが一方で、兄を刑務所から出そうと弁護士を訪ねる。ヨーロッパ映画は、移民のコミュニティを扱った作品が数多くあるので、ちょっと見飽きた感はあるが、オランダのモロッコ系移民という存在を知らなかったので勉強になった。主役の男の子がどんどん洗練されていく姿は、移民家族でなくても寂しさも感じた。本当は成長を喜ぶべきなんだろうけどね。 2022.7 EUフィルム

ホーホヴァルト村のマリオ Hochwald / Why Not You
監督: エフィ・ローメン/オーストリアの山間の村で暮らすマリオはゲイとしてカミングアウトできず、ドラッグに頼る日々を送っている。幼なじみでワイナリーの息子レンツを愛してはいたが、閉鎖的な村の中では気持ちを伝えられずにいた。レンツはマリオを誘ってローマのゲイクラブを行くが、そこでテロの被害に遭いレンツは死んでしまう。田舎の閉鎖性やゲイやムスリムへの偏見、格差など、様々な要素が絡み合った青春ドラマ。立場の違う人々のそれぞれの心理が丁寧に描かれていた。地味だけどいい映画。2022.7 EUフィルム

こはく
監督:横尾初喜、出演:井浦新 | 大橋彰 | 遠藤久美子、木内みどり/長崎で失踪した父が残したガラス細工会社を切り盛りする35歳の亮太。父の記憶はほとんどないが、亮太自身も離婚を経験し2人の息子とは会っていない。無職で虚言壁のある兄・章一が、街で父を見かけたと言い出し、2人で父を捜し始めるのだったが…。今一つ彼らの歴史がわからないまま見ていたが、最後にそういうこと、と納得。木内みどりさん、これが遺作になったのだろうか。全然いけてないのに飄々として女を口説いてばかりの兄のキャラが面白かった。2022.7 GYao


アイヌモシリ AINU MOSIR
監督:福永壮志 出演:下倉幹人 | 秋辺デボ | 下倉絵美、三浦透子、リリー・フランキー/北海道阿寒湖畔のアイヌコタンに暮らす14歳のカント。父の死をきっかけにアイヌの活動から離れ、音楽活動に夢中になる。アイヌ文化を守る活動をしていたデボはカントに小熊の世話をさせる。
 アイヌという自分のルーツについて思い悩む少年と、アイヌの文化を継承しようとするリーダー。二人の視点で描かれていた。目新しさはないが、ドラマチックにしないドキュメンタリーのような作風は好感が持てた。アイヌに限らず、少数民族の儀式はどこも似ているよなあ。人間社会というのは、地域とか気候とか肌の色とか文化は違えど、原点は一緒ということなのでしょう。2022.7

王の運命 The Throne
監督:イ・ジュニク、出演:ソン・ガンホ、ユ・アイン、ムン・グニョン、キム・ヘスク、チョン・ヘジン、ソ・ジソプ/朝鮮第21代国王の英祖は息子・思悼を、学問と礼法に秀でた王位継承者に育てあげようとする。思悼は芸術と武芸を好む青年へと成長。英祖が抱いていた息子への期待は怒りと失望へと転じる。
 「イ・サン」は見ていたのだが、その父と祖父の確執については深堀りされていなかったので、ほぼ初めてしった歴史だった。ガンホが珍しく時代劇で王の役。どんな役でもなり切れる素晴らしい役者です。権力者の家族殺しはどの国でもあったことだが、拷問の仕方がえげつないなあ。見ていて辛いものがありました。2022.7 JAIHOにて

オスロ、8月31日 OSLO, 31.AUGUST
監督:ヨアキム・トリアー、出演:アンデルシュ・ダニエルセン・リー、ハンス・オラフ・ブレンネル/麻薬中毒の治療プログラムを続けるアンデシュは故郷のオスロで友人たちと久々に再会。だがコンプレックスが募り、再びドラッグに手を出してしまう…。
 依存症と闘う青年の内面をずーっと追い続けるドキュメンタリーのような映画。正直、飽きてしまった。2022.7 JAIHOにて

ビギニング Beginning
監督:デア・クルムベガスヴィリ、出演:イャ・スキタシュヴィリ、ラティ・オネリ/ジョージア正教会の信者が国民の大半を占めるジョージアの郊外で少数派のエホバの証人の王国会館が放火された。警察は捜査もせず、さらに長老の妻ヤナは刑事だという男に嫌がらせをされる。長回しのシーンが多いので少々飽きてしまったが、少数派への差別をストレートに描かず、被害者の女性の視点で終始描かれているのに個性を感じた。彼女の悩みはとても複雑で、嫌がらせを受けて傷ついただけでなく、自らの宗教心や夫への愛、子どもへの愛、性欲など、いろんなもやもやが心の中で渦巻いていたのだと想像ができる。辛い映画ではあるが見ごたえあり。第68回サン・セバスチャン映画祭で最優秀作品賞、監督賞、女優賞、脚本賞を受賞したのも納得。2022.7 JAIHO

ピンク
監督:アニルッド・ロイ・チョウドリー、出演:アミターブ・バッチャン、タープシー・パンヌー、キールティ・クルハーリー、アンドレア・タリアング、ドリティマン・チャテルジー/ニューデリー南部の集合住宅で同居する若い女性、ミナール、ファラク、アンドレアは、3人組の若者にコンサート会場で誘われ、夕食を共にする。だが、その後、レイプされそうになり、ミナールが若者の1人ラジヴィールをビンで殴り、彼女たちは自宅に逃げ帰った。大けがをして病院に担ぎ込まれたラジヴィールは政治家の甥で、ミナールたち3人は殺人未遂等で訴えられる。インドの現代女性に対する古い差別意識なども盛り込んだエンタメ映画で面白く見れた。2022.7 JAIHO

プティカンカン
監督:ブリュノ・デュモン、出演:アラヌ・ドゥラエ 、リューシー・カロン/フランス北部の海岸沿いの村に警察のヘリコプターが着陸し、洞穴から牛の遺体が引き出される。牛の腹からはバラバラに切断された女性の遺体が見つかった。村人と子供たちは飄々と生きているのだが、遺体の発見のされ方がえげつなくてギャップがすごかった。結局、犯人も誰?だったし。コメディなのかサスペンスなのか、捉えがたい不思議な映画。2022.7

薬の神じゃない DYING TO SURVIVE
監督:ウェン・ムーイエ、出演:シュー・ジェン、ワン・チュエンジュン/上海でインド製の強壮剤を販売するチョン・ヨンは、ある日、慢性骨髄性白血病を患うリュ・ショウイーから、国内の治療薬の価格が高すぎるので成分が同じインドのジェネリック薬を密輸して欲しいと依頼される。金目当てに密輸を始めるが、国中に高額の治療薬を買えずにいる患者を目の当たりにする。実話らしい。白血病の薬は家を破産させる、というのは昔聞いたことがあったが、事実だったのだろう。一部の製薬会社が患者の命よりも利益を独占しているのは世界の課題の一つであり、かなり身につまされるものがあった。見ごたえのある社会派コメディ。2022.7 JAIHOにて

泥棒役者
監督:西田征史 出演:丸山隆平 | 市村正親 | 石橋杏奈 宮川大輔、高畑充希/はじめはかつて泥棒稼業に手を貸していた過去があった。ある日、泥棒時代の相棒に脅され、ある豪邸に忍び込む。家主である絵本作家の前園俊太郎は、はじめを編集者と勝手に思い込み…。ウソや勘違い、思い込みが積もり積もってぐちゃぐちゃになるコメディ。展開が面白いと思ったら元々舞台だそうで。納得。ハッピーエンド過ぎるのが好みでないけど単純に楽しめた。2022.6

モガディシュ 脱出までの14日間 ESCAPE FROM MOGADISHU
監督:リュ・スンワン 出演:キム・ユンソク | チョ・インソン | ホ・ジュノ/1991年、ソマリアの首都モガディシュ。国連加盟を目指しロビー活動をしていた韓国大使のハンは、北朝鮮から妨害され苦戦を強いられていた。そんな中、反乱軍による内戦が激化しモガディシュの街は戦場と化してしまう。大使館を追われた北朝鮮のリム大使ら一行は、やむなく韓国大使館への避難を決意する。
 ソマリアという不安定な場所でもロビー活動を行っているというのが外交の現実なのですね。北と南が力を合わせて、というドラマチックな部分よりも、ソマリアという国が置かれている状況に興味がわいた。逃亡シーンはさすが韓国エンタ。上手です。ハラハラドキドキできました。2022.7


愛がなんだ
監督:今泉力哉 出演:岸井ゆきの | 成田凌 | 深川麻衣、江口のりこ、若葉竜也/28歳のOLテルコは一目惚れした男マモルの都合のいい女として日々を送っている。そのせいで会社をクビになるが、一方のマモルはテルコとは真逆の自由でガサツな女を好きになる。親友の葉子には都合のいい男がいて…。角田光代の同名ベストセラーの映画化。自分の20代を思い出してしまい、とても切ない気持ちになったが、こういった力関係は、カップルや夫婦、友人同士ではごく普通にあること。自分は確実に都合のいいお人よし側になってしまうのだが、そういう自分が嫌になり、自ら離れていくタイプなので、テルコの気持ちはわかるようでわからない。テルコはきっと自己愛が強いんだと思う。相手のため、とか言いながら、尽くしている自分の姿が好きなのでしょう。だから変わる必要ないよな、と思ってしまった。この手の等身大恋愛もの、若い時は好きだったけど、今となっては、見飽きた感あり。昔だったら、成田凌演じたマモルをひどいと思っただろうけど、いやいや、マモルはごく普通だわ。単に優柔不断なだけ。Amazon 2022.6

アガサ・クリスティー ねじれた家 CROOKED HOUSE
監督:ジル・パケ=ブランネール 出演:クリスティナ・ヘンドリックス | ジリアン・アンダーソン | グレン・クローズ、テレンス・スタンプ、ジュリアン・サンズ/一代で巨万の富を築いた大富豪レオニデスが毒殺された。私立探偵のチャールズは、かつて恋人だったレオニデスの孫娘ソフィアから依頼を受け、事件解決にあたることに。
 役者の存在感からグレン・クローズが真犯人かと思いきや、意外な展開。後味はよくなかったけど。2022.6

1987、ある闘いの真実 1987: WHEN THE DAY COMES
監督:チャン・ジュナン 出演:キム・ユンソク | ハ・ジョンウ | ユ・ヘジン、キム・テリ、ソル・ギョング、カン・ドンウォン/1987年1月14日。軍事政権下での民主化デモが激化する中、ソウル大学の学生が警察の取り調べ中に死亡する。パク所長は遺体の火葬を命じるが、不審に思ったチェ検事は司法解剖を強行。拷問致死が裏付けられる。まもなく圧力により検事は失脚するが、東亜日報のユン記者は死因を暴露。だがユンも逮捕されてしまう。刑務所では看守の一人が密かにユンと活動家の橋渡し役を担っていた。
 政治のドロドロした話は苦手なので、最初はついていけなかったが、後半、学生運動家や女子大生が出てきたあたりからグッとひきつけられるものあり。自分と同じ世代の学生が韓国では命を削ってデモを行っていたなんて、まったく知らなかったので恥ずかしくなった。当時はバブリーな大学生だった自分を省みてしまった。役者陣も豪華で見ごたえあり。2022.6 GYAOにて

オールド・ナイブス ~127便の真実~ ALL THE OLD KNIVES
監督:ヤヌス・メッツ 出演:クリス・パイン | タンディ・ニュートン | ローレンス・フィッシュバーン/CIAの諜報員ヘンリーは、2012年にテロリストにハイジャックされたトルコ航空の事件の内通者がいたことを知らされ、調査を依頼される。すでにCIAを去り、カリフォルニアで家族と暮らす元恋人に愛に行く。裏の裏を読み合うシリアスなサスペンスなのだが、なんとなく予想していた展開で、今一つ面白みにかけた。Amazon 2022.6

コングレス未来学会議 THE CONGRESS
監督:アリ・フォルマン 出演:ロビン・ライト | ハーヴェイ・カイテル | コディ・スミット=マクフィー、ポール・ジアマティ/2014年ハリウッド。40歳を過ぎた女優ロビン・ライトは、大手映画会社ミラマウント社から、映画女優としてのCGデータを売る代わりに、今後一切の女優活動を禁じるという契約を持ちかけられる。最初は一蹴したものの、難病の息子を養育するために20年契約にサインする。実在の女優が同じ女優の役を演じ、CGになったりアニメになったりする近未来映画。生身の人間の演技に代わり、CGやアニメが主流になっている今の時代を風刺したような作品で面白かった。今のアクション映画の多くが緑の背景のところで役者が飛んだり跳ねたりすれば、CGによって見事なアクション映画に様変わりするらしいし、こんな近未来が本当にやってくるかも、と思わせる怖さがあった。アニメのシーンもユニークで、さすがフォルマン監督。2022.6 GYAOにて

マイ・ファニー・レディ SHE'S FUNNY THAT WAY
監督:ピーター・ボグダノヴィッチ 出演:オーウェン・ウィルソン | イモージェン・プーツ | キャスリン・ハーン、リス・エヴァンス、ジェニファー・アニストン/インタビューを受ける新進のハリウッド女優イザベラは、自分がどうやってコールガールから女優になったのかを話し始める。それは一人の客が舞台の演出家アーノルドだったことから始まった。人間関係がぐちゃぐちゃに絡み合うライトコメディ。楽しくみれました!2022.6 GYAOにて

ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャー REBEL IN THE RYE
ダニー・ストロング監督、出演:ニコラス・ホルト | ケヴィン・スペイシー | ゾーイ・ドゥイッチ/1939年、ニューヨーク。作家を目指すサリンジャーは20歳の時にコロンビア大学の創作文芸コースでウィット・バーネット教授と出会う。彼の指導の下で完成させ処女短編は、多くの出版社に断られた末にようやく文芸誌に掲載が決まり、作家としての第一歩を踏み出す。そんな中、劇作家ユージン・オニールの娘ウーナと恋に落ち、青春を謳歌するサリンジャー。やがて自分の分身ともいえる若者ホールデン・コールフィールドを主人公にした短編が一流誌『ニューヨーカー』に掲載されることが決まるが、その直後に始まった太平洋戦争の影響で掲載は見送られてしまう。その後陸軍に入隊したサリンジャーは1944年、一兵卒として激戦のヨーロッパ戦線に参加するのだったが…。

ザ・ビートルズ EIGHT DAYS A WEEK ‐The Touring Years
監督:ロン・ハワード 出演:ザ・ビートルズ | ポール・マッカートニー | リンゴ・スター/1963年から4人が最後に観客の前で演奏した66年にかけて行われた多数のコンサートから厳選した熱狂のライブ・シーンを中心に、メンバーのインタビューやビートルズファンの声を織り交ぜたドキュメンタリー。初期の一部に焦点を絞っているのが新鮮だった。ビートルズは太く短くだったけど、こんなにも長く愛されているのは、やっぱり曲が素晴らしいってことでしょう。解散してからもポールの楽曲は耳に残るし。天才なんだとあらためて確認。Amazon 2022.5

シルヴィ~恋のメロディ~ SYLVIE'S LOVE
監督:ユージン・アッシュ 出演:テッサ・トンプソン | ンナムディ・アサマア | エヴァ・ロンゴリア/60年代のニューヨーク。ジャズのサックス奏者と、レコード店の娘シルヴィが恋に落ちるが、娘にはハイソな婚約者がいた。サックス奏者が演奏活動のためにパリへ旅立ってから5年後に二人は再会。シルヴィはサックス奏者の彼に黙って娘を出産。婚約者と結婚していた。
 ベタな恋愛物語ではあるのだが、黒人女性がダメ男に泣かされっぱなしではなく、女性が優秀で賢くて、ぐいぐい引っ張ていくストーリーが今風だった。時代設定的にちょっとリアルではなかったですが。主演を演じたテッサ・トンプソンは、「PASSING」でもいい演技していたし、これからの活躍が楽しみです。Amazon 2022.6

罪と女王 QUEEN OF HEARTS
監督:マイ・エル=トーキー 出演:トリーヌ・ディルホム | グスタフ・リンド | マグヌス・クレッペル/性暴力や虐待を受けた子どもたちを助ける人権弁護士のアンネは、医師の夫と幼い双子の娘たちと幸せな家庭を築いていた。ある日、夫と前妻との息子で17歳の少年グスタフが学校を退学になったのをきっかけに一緒に暮らし始める。アンネはグスタフを誘惑。2人は逢瀬を重ねるが…。
 アンネが予想外のとんでもない悪女で、見ていてムカムカする映画だった。肉欲だけでつながった二人なので、関係がばれても絶対認めないだろうし、少年の転落も展開が読めた。自己弁護するときの女の必死さが見苦しくて、本当にむかつく女、と思わせた女優の熱演にアッパレです。2022.6

フランクおじさん UNCLE FRANK
監督:アラン・ボール 出演:ポール・ベタニー | ソフィア・リリス | ピーター・マクディッシ/70年代。米南部で暮らすベスは、NY大の教授である叔父フランクにあこがれていたが、祖父はフランクに冷たく家族との隔たりを感じていた。NY大学に進学したベスはフランクがゲイの恋人と暮らしていることを知る。そんな中、祖父が急死。ベスとフランクは車で故郷に向かう。
 見ていて安心感のあるロードムービーだった。70年代の田舎はゲイには不寛容なのは想像できる。祖父のやり方は残酷だとは思うが…。ちょっとドラマチックにしすぎな感はあったがポール・ベタニーが相変わらず魅力的で嬉しくなった。Amazon 2022.6

ヘレディタリー 継承
監督:アリ・アスター、出演:トニ・コレット, アレックス・ウォルフ, ミリー・シャピロ、ガブリエル・バーン/グラハム家の祖母エレンが亡くなった。娘のアニーは夫、高校生の息子ピーター、娘チャーリーと共に家族を亡くした哀しみを乗り越えようとする。やがて奇妙な出来事がグラハム家に頻発。祖母に溺愛されていたチャーリーは次第に異常な行動を取り始める。A24作品で、トニ・コレットが出ていたので久しぶりにホラーを見た。心理的ホラーだったので目を覆うようなシーンは少なかったが、ホラーはやっぱり苦手。Amazon 2022.6

幻の薔薇 ROSES A CREDIT
監督:アモス・ギタイ 出演:レア・セドゥ | グレゴワール・ルプランス=ランゲ | カトリーヌ・ジャコブ/戦後のフランス。元レジスタンスの男性と結婚した美容サロン勤務の若い女性は、借金をして贅沢な暮らしを始める。実家のバラ園を継ぎたいという夫とは価値観のずれが生じる。レア・セドゥは魅力的だったけど、美容サロンで働いているぐらいだから、結婚するときから贅沢好きなのはわかるし、見抜けなかった夫が愚か。と、突っ込みたくなる展開だった。妻の美貌を取るか生活を取るか。どちらが正しいとも言えないので、美貌をとるなら夫は覚悟しましょう。Amazon 2022.6

mid90s ミッドナインティーズ MID90S
監督:ジョナ・ヒル 出演:サニー・スリッチ | ルーカス・ヘッジズ | キャサリン・ウォーターストン/90年代半ばのLA。サンジェルス。兄と母との3人暮らしの13歳の少年スティーヴィー。兄の暴力に怯えて暮らしていたが、ある日、街のスケートボード・ショップで、店に出入りするボーダーたちと出会い、彼らの仲間に入れてもらう。
 反抗期ではあるんだけど臆病な少年が、ボーダーの仲間たちにいろんなことを教わりながら成長していく青春物語。ステレオタイプではあるけど、役者陣がそれぞれイキイキしていて楽しくみれた。兄役のルーカスヘッジズ、最近よく出てる。「ウエイブズ」もいい役でした。この映画、ジョナ・ヒルの自伝的物語とのこと。貧乏で無口な映画好き青年が彼のモデルなのかな? A24作品らしい若者映画で、見ているこちらも少しだけ気持ちが若返った。Amazon 2022.5

ミナリ MINARI
監督:リー・アイザック・チョン 出演:スティーヴン・ユァン | ハン・イェリ | ユン・ヨジョン/1980年代のアメリカ。アーカンソー州に土地を買い、家族で引っ越してきた韓国系移民のジェイコブ。ヒヨコの選別の仕事をしながら、農地を耕し成功を夢見ている。好奇心旺盛な息子デビッドは、心臓の病気を抱え、おねしょに悩みながらも元気に育っていた。妻のモニカは不便な生活に苛立ち、韓国から母スンジャを呼び寄せる。
 移民の苦労を描いたドラマ展開は、日系移民のドラマと同じようなものなので新鮮味はなかった。これが米国で評価されたということは、これまでいかに移民の人生ドラマが広く知られていなかったか、とも言えるだろう。やっと認知された、ということか。移民の国米国でアジア系が生きるのは、今でも大変なことが多いのでしょう。多様性は大事だと頭ではわかっていても、人はなぜ差別してしまうのか…。これが人間の弱さなのでしょうか。2022.6

ルーシーとデジ ~知られざる真実~ LUCY AND DESI
監督:エイミー・ポーラー、出演:ルシル・ボール, デジ・アーナズ, ルーシー・アーナズ/芸能史に金字塔を打ちたてた「アイ・ラブ・ルーシー」のカップル、ルーシーとデジの真実に迫るドキュメンタリー。先にハビエルとニコール主演の映画を見ていたので、ある程度知識はあったのだが、実際のルシとデジの映像がたくさん残っていて、すごい二人だなあ、と改めて関心。キューバでは名家だったが、革命を逃れてきた移民であるデジと、白人ではあるが生活が苦しく、家族のために芸能界に入ったルシ。スターになるだけでなく、プロデューサーになりスタジオを作り、「ミッション・インポッシブル」など数々のヒット作を生み出した二人に感謝です!Amazon 2022.6


風の電話
監督:諏訪敦彦 出演:モトーラ世理奈 | 西島秀俊 | 西田敏行、三浦友和、渡辺真起子、山本未来、占部房子/東日本大震災で家族を失い広島に住む伯母の家に身を寄せている高校生のハル。叔母が倒れて入院したことで、絶望したハルは、偶然通りかかった男性に助けられる。ハルは故郷、大槌を目指してヒッチハイクを始める。
 思いがけないロードムービーもので私好み。ハルがとても魅力的で、彼女が出会う大人たちもそれぞれに存在感があり、じわじわと心に染みてくる映画だった。諏訪監督作品は、もっといろいろ見てみたくなった。2022.4

カモン カモン C'MON C'MON
監督:マイク・ミルズ 出演:ホアキン・フェニックス | ウディ・ノーマン | ギャビー・ホフマン/ジャーナリストの独身男ジョニーは、ある日、LAで暮らす妹に頼まれ9歳の甥ジェシーの面倒を見ることに。慣れない子どもとの共同生活に戸惑いを隠せないジョニーは、ジェシーを仕事先へ連れてい行くことに。とても可愛いお話。ではあるのだが、疲れていたせいかまったく覚えていず…。マイク・ミルズの映画は何気ない日常を切り取る作品が多いので、眠いときに見るのは厳禁だ。2022.5

コーダ あいのうた CODA
監督:シアン・ヘダー 出演:エミリア・ジョーンズ | エウヘニオ・デルベス | トロイ・コッツァー/マサチューセッツ州で聾唖の家族と暮らす高校生のルビーは、通訳として父兄と漁船に乗り、毎日生活に追われている典型的なヤングケアラー。高校の新学期に合唱クラブに入部したルビーは、歌の才能を見出され、バークレーを目指すよう勧められるが。監督は『タルーラ』の女性監督。
 選曲がいいし、何より主役の彼女の声が鳥肌ものの響き。映画館に見にって正解でした。フランス映画のリメイクがアカデミー作品賞って珍しいけど、とても良い作品だったので、納得。物語はステレオタイプだけど素直に感動できた自分にも感動。2022.4

ジュディ 虹の彼方に JUDY
監督:ルパート・グールド 出演:レネー・ゼルウィガー | ジェシー・バックリー | フィン・ウィットロック/1968年。「オズの魔法使」に17歳で抜擢され大スターとなったジュディ・ガーランドだったが、30年後の今は酒に溺れ、仕事もパッとしない日々を送っている。子どもたちとも一緒に暮らせなくなり、やむなく元夫に預けることに。ジュディは今でも根強いファンがいるロンドンで再起をめざす。
 亡くなる直前の物語とのこと。ホイットニー・ヒューストンも同じような半生だったし、若くしてスターになるってリスクが大きいんですね。47歳なんて若すぎる…。Amazon 2022.5

TITAN チタン
監督:ジュリア・デュクルノー 出演:ヴァンサン・ランドン | アガト・ルセル | ギャランス・マリリエ/交通事故で頭部を負傷し、頭蓋骨にチタンプレートを埋め込まれたアレクシア。ある日、追われる身となり逃亡を図る彼女は、少年の姿となって孤独な消防士ヴァンサンの前に現れる。ヴァンサンはアレクシアを10年前に失踪した息子と思い込み、2人は奇妙な共同生活を始める。カンヌのパルムドール受賞作ということで見てみたが受け付けないものあり。予告編の容赦ない暴力は最初のほうだけで、後半は消防士との不思議な共同生活がメインだった。病んだ二人の生活は悲劇的ではあるが惹かれるものあり。ただ、妊婦になった女の描写がグロテスクすぎてホラーにしか見えず。エイリアンだわ。2022.6

トップガン マーヴェリック TOP GUN: MAVERICK
監督:ジョセフ・コシンスキー 出演:トム・クルーズ | マイルズ・テラー | ジェニファー・コネリー/「トップガン」の36年ぶりとなる続編。伝説のパイロット“マーヴェリック”は、若きトップガン・パイロットたちの教官となる。そこには、かつての親友の息子ルースターもいた。
 音楽とMVぐらいしか覚えていなかった昔の「トップガン」をアマプラで見てから、新作を見にいって大正解。亡き親友との関係性が物語のカギを握っていた。戦闘シーンはアトラクションに乗ってるような感覚なので、身体は緊張したが頭は使う必要がないので楽は楽。これぞエンターテイメントと言える、アクション、スピード、お色気、涙ありのてんこ盛りのサービス精神。
 音楽も昔のテーマ曲と新しい曲を使い、実際に声が出なくなってしまったというヴァル・キルマーも今の姿のまま出演し、最後には前作の監督、亡きトニー・スコットへの言葉もあるなど、長らくお待たせしましたの続編の王道でした。さすがハリウッドです。かつての親友って誰が演じたのか調べたら、「ER」のグリーン先生だった。髪があって眼鏡がなくて髭があるので、まったく気づかず。息子役も「セッション」の主役の子らしいけど、メイクで父親に似せてたからわからなかった。 2022.6

ナイトメア・アリー NIGHTMARE ALLEY
監督:ギレルモ・デル・トロ 出演:ブラッドリー・クーパー、ケイト・ブランシェット、トニ・コレット 、ウィレム・デフォー、ルーニー・マーラ/1939年のアメリカ。スタンは見世物小屋で稼ぐカーニバルの一座で働き始める。読心術のテクニックを学んだスタンは電流ショーをしていた美女モリーを連れて一座を抜け出す。その後、2人は一流ホテルで金持ち相手に読心術のショーを始める。[ナイトメア]というタイトルに間違いはないのだが、夢も希望もない、救いようのない展開で、物語も冗長でがっかり。役者陣がオールスター級なのでつい期待してしまったのだけど…。ギレルモ監督作品はオタクむけなので、豪華な俳優など使わず、小道具に拘って作品作りをしてほしいなあ。原点にもどってくれ~。2022.4

パピチャ 未来へのランウェイ PAPICHA
監督:ムニア・メドゥール 出演:リナ・クードリ | シリン・ブティラ | アミラ・イルダ・ドゥアウダ/1990年代、アルジェリア。ファッションデザイナーを夢見る大学生のネジュマは奔放に青春を謳歌していたが、社会はイスラム原理主義が台頭し、女性はヒジャブを強制され、保守的で過激なテロが街を恐怖に陥れていた。
 監督の半自伝とのこと。アルジェリアの思想や歴史について無知だったので勉強になった。今はどうなっているのか、気になった。主演の子が可愛くて華があった。フランスの女優とのこと。今後の活躍が楽しみです。Amazon 2022.6

ボブという名の猫 幸せのハイタッチ A STREET CAT NAMED BOB
監督:ロジャー・スポティスウッド 出演:ルーク・トレッダウェイ | ルタ・ゲドミンタス | ジョアンヌ・フロガット/薬物依存症でホームレスとなった歌手志望の青年ジェームズは、ある日、茶トラの野良猫と出会う。ボブと名付け、ジェームズの肩に乗ってどこへでもついていくようになると、道端での演奏が話題となり、たちまち人気者に。実話とのこと。こういう奇跡があるのですね。ほっこりしました。Amazon 2022.4

ザ・レポート
監督:スコット・Z・バーンズ、出演:アダム・ドライヴァー, アネット・ベニング, ジョン・ハム/ある女性上院職員は9.11テロ事件以後にCIAが行った尋問プログラムの調査を若い青年に依頼する。CIAが行っていた拷問が明らかになるが…。拷問シーンが多くて見ていて辛いものがあり。この問題は、他の作品にも取り上げられていたのでほぼ事実なのでしょう。真実を話させるためではなく、単に痛めつけて楽しんでいるようにしか見えない。惨い現実に気持ちが暗くなった。Amazon 2022.5

SAD VACATION
監督:ダニー・ガルシア,出演:シド・ヴィシャス, ナンシー・スパンゲン/シドとナンシーの関係は1978年、二人が住んでいたニューヨーク・チェルシーホテルの100号室でナンシーの死体が発見され、シドが容疑者として逮捕される、という悲劇的な最後を迎えた。未だ謎の多いこの事件について、直前まで一緒に過ごした友人や目撃者を通じその真相にも切り込んだドキュメンタリー。ナンシーがシドを支配していた、という構図は見えてはきたけど、本当にそうだったのか。そちら側に誘導されている感もありピンと来なかった。Amazon 2022.4

底知れぬ愛の闇 DEEP WATER
監督:エイドリアン・ライン 出演:ベン・アフレック | アナ・デ・アルマス | トレイシー・レッツ/ライン監督らしいエロサスペンス。奔放な妻をアナが体当たり演技。アッパレです。この夫婦関係の歪み方が半端じゃないので、妻は実は夫の嫉妬を歓び、夫が愛人を殺すのを誘導しているとさえ思えた。この二人、実生活でもラブラブだったのにあっという間にお別れしたのもちょっとわかる。この作品の歪んだ関係を引きずってしまったのかも、などと、勝手に想像してしまった。Amazon 2022.5

僕を育ててくれたテンダー・バー THE TENDER BAR
監督:ジョージ・クルーニー 出演:ベン・アフレック | タイ・シェリダン | リリー・レーブ/暴力的な夫から逃れてきた母と息子JRは、実家に戻り田舎暮らしをはじめる。バーのバーテンをしている叔父を慕う繊細なJRは成長し、大学である女性に恋をする。
 作家の自伝の映画化。極々シンプルな作品。可もなく不可もなく、という感じ。Amazon 2022.4

M/OTHER
監督:諏訪敦彦 出演:三浦友和、渡辺真起子、高橋隆大、梶原阿貴/デザイン会社に勤めるアキは、バツイチのレストラン経営者・哲郎と同棲している。ある日、哲郎の8歳になる息子・俊介をあずかることになり、アキは戸惑う。
 恋人同士の二人の会話が即興、ということだが、心情がリアルに伝わってきて見ごたえがあった。離れようとするアキが、哲郎に詰め寄られるシーンは圧巻。説明なんてできないけど、もう嫌っ、という気持ちがストレートでよかったです。
 子役の子もとても上手。諏訪監督は子役を使うのが上手。諏訪監督がフランスで評価されるのも納得。手法は実験的でありながら、ストレートに気持ちが伝わるのがさすがです。やっと見れて大満足の作品でした。2022.4

みかんの丘 MANDARIINID
監督:ザザ・ウルシャゼ 出演:レンビット・ウルフサク | エルモ・ヌガネン | ギオルギ・ナカシゼ/ジョージアのアブハジア自治共和国でみかん栽培をするエストニア人の集落。折しもジョージアとアブハジアの間に紛争が勃発し、ほとんどのエストニア人がこの地を離れる中、イヴォとマルゴスはなおも残って収穫に精を出す。だが、村にアブハジアを支援するチェチェン兵とジョージア兵が鉢合わせし、銃撃戦が始まってしまう。
 敵同士が負傷し、一つ屋根の下で介抱されるうちに、恨みが消えていくまでは心が和むのだが、ラストはやっぱり悲劇でした。コーカサス地方に疎いので、誰が敵なのかわからなくなったのだが、おそらくウクライナで起こっているようなことがジョージアでもあったのでしょう。戦争反対というのは簡単だけど…。でも言い続けるしかないのでしょうね。2022.4


アネット ANNETTE
監督:レオス・カラックス 出演:アダム・ドライヴァー | マリオン・コティヤール | サイモン・ヘルバーグ/シニカルな発言が持ち味のスタンダップ・コメディアン、ヘンリーは、国際的に有名なオペラ歌手アンと情熱的な恋に落ち、世間の大いなる注目を集める。やがて2人の間に娘アネットが誕生。ヘンリーは劇場で笑いをとれないことに思い悩み、妻アンに嫉妬を覚える。
 ミュージカル、というよりも、限りなく演劇に近い不思議ワールド。アダム・ドライバーが出ずっぱりで熱演。コメディシーンは、話題のクリス・ロックにも協力してもらったようでサンクスのテロップが出ていた。個人的に、シニカル発言炸裂のコメディシーンが一番楽しめた。後半、アネットが生まれてからの物語はどんどん闇に向かっていて、ちょっとついていけず。一筋縄ではいかない個性派のカラックスらしさは出てきた。いい意味でまた裏切られた感あり。2022.4

2021年度)

あしたは最高のはじまり TWO IS A FAMILY
監督:ユーゴ・ジェラン 出演:オマール・シー | クレマンス・ポエジー | アントワーヌ・ベルトラン /コートダジュールの海辺の町で観光客相手にヨットの船長をしているサミュエルのもとに、ある女性がロンドンからやって来て、あなたの娘だと言って生後3ヵ月の赤ん坊グロリアを置いて去っていく。彼女を追ってロンドンにやってきた彼は、彼の身体能力を買われてスタントマンの仕事に就く。8年後、成長したグロリアに対し、母親は諜報員として世界中を回っているとウソをつく。よくある展開のコメディではあるのだが、後半、娘を取り戻すために奮闘するサミュエルの姿にはウルっときた。メキシコ映画『No se aceptan devoluciones』のリメイクとのこと。こちらも見てみたい。2022.3

愛の嵐 THE NIGHT PORTER
監督:リリアーナ・カヴァーニ ?出演:ダーク・ボガード | シャーロット・ランプリング | フィリップ・ルロワ/'57年のウィーン、冬。身元を隠し、ホテルの夜番のフロント係として働く元SSのマックスの目前に、かつて弄んだユダヤ少女ルチアが今や高名な指揮者の妻となって現われる……。ナチ高官の制服姿は誰より似合う英国役者D・ボガードが、黒い親衛隊の装束でネチネチと囚われの身の少女をいたぶるさまは、なんと言うか、やっぱデカダンス。やせ細ってるのにオッパイに妙に重量感のあるランプリングを上半身裸にして、サスペンダーに長手袋(それも黒革)という格好で唄い踊らせるイジメの場面は卑猥で、興奮させられました。でも、戦後再び出会ってしまったこの二人のやるせない新たな結びつき(結局、過去の倒錯的関係を忘れられなかったのですね)を描く作品全体の印象は貧しく、メロドラマ的。その中で、完全にかつてに還ってしまい、男は制服に女はみすぼらしい収容所時代のようなワンピースを着て、道行きの橋に向かう場面など忘れ難い。密室で耽るセックスにも“ジャム舐め”など多少の工夫はあった。

イン・ユア・アイズ 近くて遠い恋人たち IN YOUR EYES
監督:ブリン・ヒル 出演:ゾーイ・カザン | マイケル・スタール=デヴィッド | マーク・フォイアスタイン/ニューハンプシャーに住むレベッカは、医者の夫の庇護のもとで暮らしてる。一方、メキシコ国境近くの町に住むディランは、犯罪歴のある自動車修理工。二人には幼い頃からお互いの痛みなどを共有する不思議な能力が備わっていた。お互いが会話できることに気づいた二人は、時間を忘れて二人だけの世界に浸かっていくが、周囲は彼らの行動に不信感を覚え…。
 キュートなロマンチックラブストーリー。ベタではあるが二人の会話が可愛くて引き込まれた。ハッピーエンディングに慣れてなかったので、最後は意外だったが、まあこれは万人受けするよね。脚本が良くできていて、日本のドラマでリメイクしたらヒットしそう。
2022.4

ウエスト・サイド・ストーリー WEST SIDE STORY
監督:スティーヴン・スピルバーグ 出演:アンセル・エルゴート | レイチェル・ゼグラー | アリアナ・デボーズ、リタ・モレノ/1950年代後半のニューヨーク。プエルトリコ系の若者たちで構成された“シャークス”と“ジェッツ”というヨーロッパ系移民グループの対立が激しさを増していた。ある日、シャークスのリーダー、ベルナルドを兄に持つマリアは、ダンスパーティでトニーという青年と出会い、2人は互いに惹かれ合う。しかし2人の恋は決して許されるものではなかったのだが…。
 バーンスタインの数々の名曲とダンスを楽しみながらも、移民同士がいがみ合い、殺し合う後半は、ウクライナとロシアの対立とリンクするものもあり、いたたまれない気持ちになった。スペイン語の台詞が半分近くあり、これはほぼラテン映画といってもいいでしょう。主演の二人は初々しくてかわいかったのだが、存在感は圧倒的にアニータ。助演賞総なめも納得の演技にブラボー! 2022.3

美しき獣 KISS OF THE DAMNED
監督 : ザン・カサヴェテス、出演:ジョゼフィーヌ・ドゥ・ラ・ボーム | マイロ・ヴィンティミリア | ロクサーヌ・メスキダ/ヴァンパイアのジュナは脚本家パオロと出会い、恋に落ちる。パオロはジュナの正体を知っても彼女を求め続け、血を吸わせることでヴァンパイアとしての肉体を手に入れる。動物の血を得ながら平穏な生活を送っていた二人の前にジュナの妹ミミが出現する。
 ジョン・カサヴェテスの娘ということで見てみた。ありがちな吸血鬼ものではあるのだが、ミミがやってきてからのハラハラ感は見ごたえあり。映像も美しかったです。2022.3

選ばなかったみち THE ROADS NOT TAKEN
監督:サリー・ポッター 出演:ハビエル・バルデム | エル・ファニング | ブランカ・カティッチ、ローラ・リニー、サルマ・ハエック/認知症を患っている作家のレオは、ニューヨークの小さなアパートで一人で暮らしてる。娘は、父を医者に連れて行こうとするが、レオは、メキシコで暮らした日々や旅先での思い出へと意識が飛んでいく。
 芸達者のハビエルとエルの演技力が光る作品。意識が混濁する男を演じたハビエルは、「ファーザー」のホプキンスとも通じる迫真の演技でした。エルも存在感あるよなあ。何か大袈裟なことをするわけでもないのに上手い。若いのにさすがです。エンディングはちょっと??でしたが、物語重視ではない映画なので、良しとします。2022.3

エディ・レッドメイン アンダーテイカー 葬る男と4つの事件 POWDER BLUE
監督:ティモシー・リン・ブイ 出演:ジェシカ・ビール | レイ・リオッタ | エディ・レッドメイン/亡き父の後で葬儀店を営む青年クワーティは資金繰りに問題を抱えている。妻を亡くし絶望した男チャーリーは、そんな彼に全財産をあげる代わりに殺してくれと依頼する。一方、ストリップバーで働く踊り子のローズは、意識が戻らない幼子を抱えていた。そんな彼女の前に現れたのは刑務所から出所したばかりのジャックだった。
 悲しみを抱えた人間たちの人生が交錯する群像ドラマ。暗くて地味だけど、心理描写が丁寧で好印象。イニャリトゥ監督の「21グラム」にテイストが似ていた。邦題は最低。2022.3

黄金のアデーレ 名画の帰還 WOMAN IN GOLD
監督:サイモン・カーティス 出演:ヘレン・ミレン | ライアン・レイノルズ | ダニエル・ブリュール/ユダヤ人女性のマリア・アルトマンは、ナチスに占領された祖国オーストリアを捨てアメリカへ亡命。1998年、82歳となったマリアは亡くなった姉ルイーゼがオーストリア政府に対してクリムトの名画“黄金のアデーレ”の返還を求めていたことを知る。肖像画のモデルアデーレは二人の伯母でありナチスに略奪されたものだった。
 実話とのこと。美術品は昔から戦利品として扱われていたのだろうが、個人が国を相手に裁判をして勝ったという事実には驚いた。勉強になりました。2022.3

彼女の人生は間違いじゃない
監督:廣木隆一 出演:瀧内公美 | 高良健吾 | 柄本時生/福島の市役所で働くみゆきは震災で母親を亡くし、今は仮設住宅で父親と2人暮らし。父は補償金をパチンコにつぎ込む日々を送っていた。みゆきは週末になると高速バスで東京に向かい、デリヘルのバイトをしているが…。心に傷を負った女性が風俗の世界に飛び込む、という一種の自傷を描いたドラマはありがちなのだが、これって男性目線だよなあ、と思い、内心ムカムカした。みゆきがなぜ風俗に走ったのかが唐突すぎて最後まで理解できず。2022.3

籠の中の乙女 DOGTOOTH
監督:ヨルゴス・ランティモス 出演:クリストス・ステルギオグル |ミシェル・ヴァレイ |アンゲリキ・パプーリァ/ギリシャ郊外の豪邸に暮らす3人の子どもたちは、外の世界との接触ができない無菌状態で育っている。年頃となった長男の性欲の処理のため、父親は金で雇った女性をあてがうが、彼女との接触をきっかけに、長女の好奇心が刺激される。ヨルゴス・ランティモス監督らしい独特の世界観。正直、苦手。もう少しシニカルコメディ色が強ければ私好みなのだが、気持ちの悪さが全面にでていて笑えなかった。2022.3

カルロス
監督:オリヴィエ・アサイヤス 出演:エドガー・ラミレス | ファディ・アビ・サムラ | アーマッド・カーブル/暗号名カルロスことイリッチ・ラミレス・サンチェス。1973年、パレスチナ解放人民戦線(PFLP)のリーダー、ワディ・ハダドに認められ、PFLPに加わったカルロスは、日本赤軍のフランス大使館襲撃やオルリー空港でのイスラエル機砲撃などのテロに関与し頭角を現わしていく。1975年、ウィーンのOPEC本部を襲撃し、世界にその名を知らしめるカルロスだったが…。
 大義のための行動だったテロ行為が、数を重ねるごとに大義があいまいになり、冷戦時には、各国に都合のいいように使われ、単なる殺し屋代行となっていくまでが、描かれている。カルロスを正当化することもなく、かといって西側バンザイでもない、冷めた視点で描かれていたのがよかった。アフリカや中東諸国の当時の関係性がよくわからないので、??も多かったが、緊迫感は伝わってきた。5時間は長かったです。2022.3

ゲティ家の身代金 ALL THE MONEY IN THE WORLD
監督:リドリー・スコット 出演:ミシェル・ウィリアムズ | クリストファー・プラマー、マーク・ウォールバーグ/世界一の大富豪ジャン・ポール・ゲティの孫ポールが誘拐されるが、ゲティは犯人が要求する身代金1700万ドルの支払いを拒否。ポールの母親ゲイルは途方に暮れる。元CIAのチェイスが交渉役として事件の解決に乗り出すが…。大金持ちほどケチ。金への執着が尋常じゃないから金持ちになれる。これは真なり。でもお金あっても幸せなのかは疑問。実話ということ。役者陣が豪華。ジリジリする展開は見ごたえあり。2022.3

ハイ・ライフ HIGH LIFE
監督:クレール・ドゥニ 出演:ロバート・パティンソン | ジュリエット・ビノシュ | アンドレ・ベンジャミン/宇宙船の中には一人の男モンテと、生まれて間もない赤ん坊の2人だけ。なぜ?という興味から入り、徐々に理由が明かされていく構成。
囚人を宇宙船に乗せて人体実験するという構想にはぞっとしたが、宇宙船内の描き方がアートで「2001年宇宙の旅」を彷彿とさせた。ロバート・パティンソン、顔は好みではないのだが、演技派だよなあ。この映画でも存在感がすごかったです。2022.3

パラダイス・ネクスト
監督:半野喜弘 出演:妻夫木聡 | 豊川悦司 | ニッキー・シエ/ 一年前、ある事件がきっかけで、日本から台湾に逃げてきたヤクザの島。台北で身を隠すように生きていた彼の前にある日、牧野というお調子者の男が馴れ馴れしく話しかけてきた。牧野は一年前の事件のことを知っていると、思わせぶりな態度で島を挑発する。やがて牧野が命を狙われていることを知った島は、牧野を連れて台北から花蓮へと向かう。すると2人はそこで、ある女性と瓜二つの台湾人女性シャオエンと出会い、驚愕するのだったが…。

ひとよ
監督:白石和彌 出演:佐藤健 | 鈴木亮平 | 松岡茉優、田中裕子/タクシー会社を営む稲村家の母こはるは子どもたちへの暴力を繰り返す夫を殺害する。15年後、長男の大樹は地元の電気店の婿養子となり、次男・雄二は東京でフリーライターに。長女・園子は美容師の夢を諦めスナック勤め。3人の前に約束通りこはるが現れ…。
 テーマは暗いのだが、家族ドラマとして見ごたえがあっった。舞台の映画化ということだが、ロードムービー風で、台詞に頼らない見せ方を心得ている感じ。さすがです。家族だけでなく周りの人間にもそれぞれドラマがあって、それをうるさくない程度に描いていた。大洗でのカーチェイスシーンも圧巻。佐藤健、あまり好きになれなかったが、この映画の演技でぐっと好感度が上がった。2022.3

ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ GENIUS
監督:マイケル・グランデージ 出演:コリン・ファース | ジュード・ロウ | ニコール・キッドマン/1929年、ニューヨーク。ある日、敏腕編集者マックス・パーキンズのもとに、出版社をたらい回しにされたという原稿が持ち込まれる。作者は無名の作家トマス・ウルフ。原稿を読んだパーキンズはその才能に惚れ込み出版を約束する。トマスが持ち込んだ膨大な生原稿を激論を重ねながら編集作業に取り組み、処女作『天使よ故郷を見よ』を完成させる。ウルフは名前ぐらいしか知らず、若くして亡くなったこともしらなかったので勉強になりました。役者陣が豪華。2022.2

ペピ、ルシ、ボンとその他大勢の娘たち Pepi, Luci, Bom y otras chicas del monton
監督: ペドロ・アルモドバル、出演: カルメン・マウラ /フェリックス・ロタエタ/自宅の窓際で大麻を栽培していたペピは、警官に踏み込まれレイプされてしまう。彼への復讐のため友人を使って警官の妻ルシを誘拐するが、極度のマゾヒストであるルシはポンに夢中になり…。アルモドバルの原点、ということで見てみたが、奇天烈すぎてついていけず。若いころだったらもう少し楽しめたのかなあ。2022.3 

未来よ こんにちは L'AVENIR
監督:ミア・ハンセン=ラヴ 出演:イザベル・ユペール | アンドレ・マルコン | ロマン・コリンカ/パリの高校で哲学を教えるナタリー。夫も教師で子どもは2人。ひとり暮らしの母は痴ほう気味だったが、それなりに充実した日々を過ごしていた。ある日、結婚25年目に夫から他に愛人がいると告げられ離婚。施設に入った母も急死する。仕事も減り一人きりになったナタリーは、元教え子の暮らす田舎の家を訪れる…。
 孤独と向き合わなければならない世代になっているので身につまされるものあり。何か大きな変化はなくても、ゆっくりと日々の暮らしを続けていこうと思わせてくれる心に優しい映画だった。フランス映画のわりに台詞もまわりくどくなくシンプルで高好感。第66回ベルリン国際映画祭銀熊(監督)賞受賞作。2022.2

名探偵ゴッド・アイ 盲探 BLIND DETECTIVE
監督:ジョニー・トー 出演:アンディ・ラウ | サミー・チェン | グォ・タォ/探偵のジョンストンは盲目ながら推理力で難事件を解決してきた。そんなジョンストンに女刑事ホーが迷宮入りの少女失踪事件の捜査協力を依頼する。
 アンディ主演でジョニー・トー監督なので、かっこいいアクションを期待したのだが…。コメディに走っていて、期待外れ。箸休め作品なのでしょうか? 2022.3

ようこそ、ミスター・マーシャル! Bienvenido, Mister Marshall!
ルイス・ガルシア・ベルランガ監督、ホセ・イスベルト / ロリタ・セビリャ出演/地方の小さな村の村長ドン・パブロは、政府の役人から「近々“欧州復興計画(マーシャル・プラン)”の一環としてアメリカの使節団が到着するため、村を挙げて歓迎するように」と告げられる。念願の鉄道を敷いてもらえると考えた村長は、アメリカ通のマノロと共に一大歓迎計画を進めるが…。脚本はハビエルの叔父であるフアン・アントニオ・バルデムとのこと。1953年の作品。社会風刺のきいた作品であることはわかったのだが、そのころのスペインの状況が今一つ分かっていないので、ピンと来ず。コメディとしてみると普通、という感想しか思いつかず。2022.3

ラスト・リベンジ DYING OF THE LIGHT
監督:ポール・シュレイダー 出演:ニコラス・ケイジ | アントン・イェルチン | アレクサンダー・カリム/CIA捜査官エヴァン・レイクは22年前にケニアで監禁・拷問したテロリスト、バニールが生存していることを突き止め、復讐に燃える。
 なんとも短絡的な復讐ドラマでがっかり。2022.3

リトル・チルドレン LITTLE CHILDREN ★
監督:トッド・フィールド 出演:ケイト・ウィンスレット | パトリック・ウィルソン | ジェニファー・コネリー/ボストン郊外の住宅街で夫と3歳の娘と暮らす主婦のサラは公園の主婦たちの注目の的になっているブラッドと知り合う。主夫をしながら司法試験合格を目指すブラッドは妻や妻の母に頭が上がらない日々を送っている。そんな中、性犯罪で服役していたロニーが街に戻ってきたことで騒然となっていく。
 倦怠気味の夫婦の不倫ドラマ、ではあるのだが、そこに性犯罪者と母の関係、性犯罪者を執拗に嫌う元警官なども絡み、人間ドラマが絶妙に展開される。不倫の結末は? 性犯罪者はまた罪を犯すのか?という二つのハラハラが上手く絡んで見ごたえがあった。掘り出し物映画。2022.3

ロック・ザ・カスバ! ROCK THE KASBAH
監督:バリー・レヴィンソン 出演:ビル・マーレイ | ケイト・ハドソン | ゾーイ・デシャネル/ミュージシャンのマネージャーの男がひょんなことから、歌手を連れてアフガニスタンの慰問に出かけるが、その歌手が持ち金を奪って帰国。マネージャーは、危険なアフガニスタンに取り残されてしまう。ブラックなテイストの作品なのだが、今一つパンチに欠けて入り込めず。キャストも豪華なのに。せっかくケイト・ハドソンが出てるのに、生かされていない。残念。2022.3



愛を綴る女 MAL DE PIERRES
監督:ニコール・ガルシア 出演:マリオン・コティヤール | ルイ・ガレル | アレックス・ブレンデミュール/1950年代南仏の田舎町。ガブリエルは情熱的な性格で周囲を翻弄し、母から結婚か精神病院かを迫られる。スペインの独裁政権から逃れてきた労働者ジョゼと不本意な結婚をするが、心は満たされない。ある日、腎臓結石の治療のため6週間の温泉治療に出かけるが、そこでおインドシナ戦争で負傷したソヴァージュと出会う。
 恋愛至上主義の振り回し女が主役の話が苦手なのだが、マリオンが演じるとなぜか嫌味がない。いい女優です。実直な夫を演じたアレックス・ブレンデミュールが気にりました!2021.12

ある船頭の話
監督:オダギリジョー 撮影:クリストファー・ドイル、出演:柄本明 | 川島鈴遥 | 村上虹郎/山あいの村で川辺の小屋に一人で住み、村と町をつなぐ渡し船の船頭をするトイチ。しかし近くには大きな橋が建設中で、船を利用する人々は、町へ行きやすくなると橋の完成を心待ちにしていた。そんなある日、トイチは川を流れてきた少女を拾い上げると、小屋に連れ帰り看病する。
美しい川の景色に心が癒された。さすがはドイル。多くを語らないアート系かと思ったら、物語は意外と展開がはやく、豪華キャストもそれぞれ個性がしっかりと出ていて好印象。ただ橋が出来たあとのエピソードが短すぎてちょっと物足りなさも感じた。虹郎が演じた若者がなぜ変わってしまったのか…。そこがあまり伝わってこなかった。2021.10

浅草キッド
監督:劇団ひとり 出演:大泉洋 | 柳楽優弥 | 門脇麦/たけしの若かりし頃の話なのだが、頑なに舞台に拘る師匠の姿に後半はグッときた。映画を見た後で、親交のあった東ックスの談話を読んで、さらに泣けてきた。成功するって何?芸人とは?などなど、いろいろ考えさせられた。ベタな構成ではあるのだがよい作品でした。2022.1 Netflix

教授のおかしな妄想殺人 IRRATIONAL MAN
監督:ウディ・アレン 出演:ホアキン・フェニックス | エマ・ストーン/パーカー・ポージー/哲学科教授のエイブは毎日、無気力に暮らしている。悩める中年男に、教え子の優等生ジルや、同僚リタが近づく。ある日ジルと立ち寄ったダイナーで悪徳判事の噂を耳にしたエイブは、世の中のためになるあることを思いつく。
 ダメ男なのにモテモテ。そんな男が急にスイッチが入ってしまい…。というアレンらしい内容に、演技派ホアキンがしっかりはまっていてさすがです。エマ・ストーンはいつものキャラ。アレンは彼女がお気に入りのようですが、いつも似てるキャラばかりで、見ている方としては飽き飽き。2022.2

ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男 DARK WATERS
トッド・ヘインズ監督、 マーク・ラファロ、アン・ハサウェイ、ティム・ロビンス、ビル・キャンプ、ヴィクター・ガーバー、ビル・プルマン出演/企業法務事務所で働き始めたロブは、家畜が急速に死んでいくのに悩んでいるという祖母の友人から相談を受ける。調べるうちに、デュポン社製のテフロンという商品に得体の知れない化学薬品が含まれていることを突き止める。未だに裁判が続いているということにまず驚き。さんざんテフロン加工のフライパンを使ってきたので、もう今更なんだけど、テフロンが剥げてきたフライパンを即買い換えてしまった。地味な作品ではあるが、権力に屈しない人権弁護士の存在に光を当ててくれたことに感謝。まっとうな社会生活を送るためには正義感は不可欠なんだと、あらためて感じる映画だった。2022.1

タルーラ ~彼女たちの事情~ TALLULAH
監督:シアン・ヘダー 出演:エリオット(エレン)・ペイジ | アリソン・ジャネイ | タミー・ブランチャード/天涯孤独の若い女性タルーラは車中で生活しながら旅をしている。姿を消した恋人ニコを探しに、彼の母マーゴが暮らすニューヨークへ向かうが、ニコは戻っていない。残飯を求めてあるホテルに侵入するが、従業員と間違われ、育児放棄した母親に子守を頼まれる。
 ひょんなことから幼児を連れさってしまったタルーラが、無防備な乳児と恋人の母マーゴと接するうちに少しずつ自分の過去と向き合っていくヒューマンドラマ。シンプルだけど役者陣が個性を発揮していて安心感あり。育児放棄の母を演じたタミー・ブランチャードも存在感あり。2022.1 Netflix

ドント・ルック・アップ DON'T LOOK UP
監督:アダム・マッケイ 出演:レオナルド・ディカプリオ | ジェニファー・ローレンス、メリル・ストリープ/地球に向かっている巨大すい星を発見した2人の天文学者が、人類に対して懸命に脅威を訴えるが、マスコミも政治家も真剣に聞こうとしない。近づいてくる彗星を阻止するために自ら命をささげようとする雄姿を描いた「アルマゲドン」と対比してながら見てみた。世界中がコロナに翻弄されている今なので、世紀末的絶望感を揶揄するブラックコメディが、本当になるかも、とさえ思えてしまう。地球滅亡が迫ったら、私もやっぱり美味しいものを食べ、誰か親しい人に囲まれて最期を迎えたいな、などと思ってしまった。メリルが演じた大統領とどこぞの巨大企業のトップのキャラが最高でした!2022.1 Netflix

ドライブ・マイ・カー DRIVE MY CAR
監督:濱口竜介 出演:西島秀俊 | 三浦透子 | 霧島れいか、岡田将生/舞台俳優で演出家の家福は、脚本家の音と平穏な日々を送っていたが、実は妻には愛人がいる。それを知りながらも、平常心を装う家福だったが、音がくも膜下出血で倒れ帰らぬ人となってしまう。2年後、広島で開かれる芸術祭での『ワーニャ伯父さん』の演出を任された家福は愛車の真っ赤なサーブで広島へ向かう。そこで寡黙な女性みさきを専属ドライバーとして雇うことに。
 会話を中心に物語が淡々と進むのは予想どおりだったのだが、妻の元愛人が表れてから空気感が変わり…。独特の棒読み演出法に拘る家福が、感情を押し殺してしまうキャラなのは、違和感なく受け止められたのだが、家福とは真逆で俗物の代表のような岡田演じる元愛人が、車の中で、音への思いを語り、うんちくまで語るシーンには違和感を覚えた。岡田の役にもっとも感情移入できたのは、自分が俗物だからなのはわかるのだが、それだけに、あそこでうんちくを言うのがどうしても解せなかった。
 長い映画ではあるが、台詞はもちろん、映像センスや、赤い車、夜景など、随所に印象に残るシーンが散りばめられていて飽きずに見れた。この辺が高評価の理由なのだろう。フランスのインテリが好みそうな映画。好きなタイプの映画ではありませんが、高評価には納得。2022.1

ハンド・オブ・ゴッド The Hand of God
監督:パオロ・ソレンティーノ 出演:フィリッポ・スコッティ | トニ・セルヴィッロ | テレーザ・サポナンジェロ/84年。マラドーナがバルサからナポリに移籍するかも、と噂されていた頃にナポリで家族と暮らしていたファブリッツィオは、近所の年上の女性に密かに恋をするうぶな少年だった。お騒がせな親戚に囲まれながらも幸せな日々を送っていた彼に悲劇が襲う。ソレンティーノが自分よりも年下ということにまず驚いた。過去作品が高尚で風変りな作風なのでインテリのボンボン育ちのオジサンだと思っていたので意外だった。自伝的要素が強く、過去作品よりもずっと見やすくて感情移入できた。80年代のナポリの人々の暮らしぶりが伝わってくる繊細な作品。もう一度映画館で見てみたくなった。ベネチア国際映画祭銀獅子賞(審査員グランプリ)、新人俳優賞受賞作。2022.1 Netflix

ハウス・オブ・グッチ HOUSE OF GUCCI
監督:リドリー・スコット 出演:レディー・ガガ | アダム・ドライヴァー | アル・パチーノ、ジャレット・レト、ジェレミー・アイアンズ、サルマ・ハエック/運送業を営む父のもとで働く野心的な女性パトリツィア・レッジャーニは、憧れのブランド“グッチ”創業者の孫マウリツィオ・グッチと出会い、恋に落ちる。やがて2人はマウリツィオの父ロドルフォの反対を押し切り結婚する。その後マウリツィオが会社の経営に関わるようになると、パトリツィアは支配権を握ろうと画策し、実権を持つマウリツィオの叔父アルドやその息子パオロと対立していくのだったが…。

PASSING -白い黒人-
監督:レベッカ・ホール 出演:テッサ・トンプソン | ルース・ネッガ | アンドレ・ホランド/黒人が差別されていた20年代のNY。肌の色が白人に近い女性クレアは、自分を白人と偽り、白人男性と結婚している。一方、同じく肌の色が比較的白いアイリーンは裕福な黒人と結婚し幸せな家庭を築いていた。二人は同じ肌の色だったことから若いころは友人だったが、結婚後は疎遠になり、久しぶりに偶然再会する。アイリーンは黒人であることを隠そうとするクレアの生き方に賛同できなかったが…。深くて重いテーマを、あえてドラマチックにせず、モノクロ映像でアート風に仕上げているのに好感が持てた。偽りの自分を演じ続けることの息苦しさが画面を通して伝わってきて、とても辛い気持ちになった。地味だけどよい作品。2022.1 Netflix

ハスラーズ HUSTLERS
監督:ローリーン・スカファリア 出演:コンスタンス・ウー | ジェニファー・ロペス | ジュリア・スタイルズ/祖母に育てられたアジア系のデスティニーは生活のためNYのウォール街近くのストリップクラブの門を叩く。トップダンサーのラモーナはデスティニーを妹のように可愛がるが、そこへリーマンショックによる大不況が押し寄せる。実話の映画化ということ。リーマンショック後の不況下でもたくましく生きようとする女たちがかっこよかったです。Jロウ、やっぱり好きだな。2022.1

パワー・オブ・ザ・ドッグ THE POWER OF THE DOG
監督:ジェーン・カンピオン 出演:ベネディクト・カンバーバッチ | キルステン・ダンスト | ジェシー・プレモンス/1920年代の西部が舞台。牧場主の長男フィルはマッチョなカウボーイ生活にこだわっているが、弟ジョージは綺麗な女ローズを妻にして家庭を持ち、経営者として町の有力者ともうまく付き合おうとしている。弟の妻の連れ子ピーターは、中性的な青年で、男たちからはからかいの対象となっている。なかでもマッチョなフィルは美少年ピーターを目の敵にしているように見えたのだが…。表には見えてこない隠された事実や人間の深い部分の内面がじわじわシミ出てくるような作品。1回見ただけではよく分からないので、途中まで2度見して、伏線を確認した。映像も美しいのでスクリーンで見た方が感動できたかも。いろいろ勘ぐればきりがないのだが、フィルは美青年ピーターの魔性に取りつかれ、ピーターはそれを感じ取り、ある意味、フィルが望んでいたことを実行に移したのだろう、ということで自分の中では納得した。
最後までよくわからなかったのが、なぜローズは革を先住民に譲ろうとし、それをフィルが激怒したのか、ということ。原作を読めばわかるのでしょうか…。2022.1 Netflix

ファーザー THE FATHER
監督:フロリアン・ゼレール 出演:アンソニー・ホプキンス | オリヴィア・コールマン/ロンドンで一人暮らしをしている81歳のアンソニー。ある日、介護人とトラブルを起こし、娘のアンが駆けつける。アンソニーには認知症の傾向が見え始め、それは日に日に悪化しているようだった。
 認知症の患者の視点で描いた会話劇。見ている側も混乱してしまうが、認知症になると日々、こんな感じなのかもしれない、と思うととてもいたたまれない気持ちになった。ホプキンスの演技はさすがです。2022.1

フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊 THE FRENCH DISPATCH
監督:ウェス・アンダーソン 出演:ティルダ・スウィントン、ビル・マーレイ、フランシス・マクドーマンド、ベニチオ・デル・トロ、エイドリアン・ブロディ、ティモシー・シャラメ、ジェフリー・ライト/米国の新聞社のフランス支社が発行する雑誌『フレンチ・ディスパッチ』。名物編集長アーサーが集めた記者たちが書いた3つの記事をフィーチャーした風変りなオムニバス映画。
 もっともワクワクしたのがデルトロが囚人天才画家に扮した1話目。看守のレア・セドゥも最高に魅力的で、モノクロとカラーを行き来する映像も秀逸。1話目で興奮した成果、2話目の学生運動編、3羽目の刑事の息子の誘拐事件編は今一つピンと来なかった。フランス映画へのオマージュが込められているようだが、古いフランス映画を見ていないのでそのあたりはまったくわからず。ベニチオはやっぱり最高に素敵!もう一度、今度は家で巻き戻ししながら見てみたい映画。2022.2

ボクたちはみんな大人になれなかった
監督:森義仁 出演:森山未來 | 伊藤沙莉 | 東出昌大/生活に疲れながらも惰性で生きている46歳の男の人生を、コロナ禍の今から、時代が遡り、若いころの淡い初恋まで戻っていく青春ドラマ。オザケン好きの女のコっていうキャラ設定がリアルで、音楽や当時の流行も懐かしく楽しめた。Facebookで元カノを見つけるシーンをあえて長くせず、駆け足にしたのも面白い。(あまりにそっけなく過ぎたので、よくわからなくて、もう一度確認してしまいましたが)役者も豪華でそれぞれキャラも個性的。好感が持てる青春ものでした。2022.1 Netflix

蜜の味 ~テイスト オブ マネー~ THE TASTE OF MONEY
監督:イム・サンス 出演:キム・ガンウ | ペク・ユンシク | ユン・ヨジョン/チョは、韓国の財閥一家に仕える青年秘書。一家は夫人が権力を掌握。夫であるユン会長は妻に隠れて女遊びを繰り返している。その会長がフィリピン人メイドを本気で愛したことから、家族の関係が歪み始める。若い秘書の目を通して、金と欲にまみれた財閥家族の裏の顔を描いたブラックテイストな人間ドラマ。エンディングは意外だったが、夫人を演じたユン・ヨジョンの存在感がすさまじく、圧倒された。アカデミー賞で助演女優賞を受賞した「ミナリ」はまだ見てないけどすごい演技派。2022.2

ザ・ユナイテッド・ステイツvs.ビリー・ホリデイ THE UNITED STATES VS. BILLIE HOLIDAY
監督:リー・ダニエルズ 出演:アンドラ・デイ | トレヴァンテ・ローズ | ギャレット・ヘドランド/1947年、人気絶頂のジャズ・シンガーだったビリー・ホリデイに対し、アメリカ政府は彼女の代表曲『奇妙な果実』を歌わないよう圧力をかけ始める。政府の圧力にもひるまないビリーに対し、麻薬取締局のアンスリンガー長官は、ファンに成りすました黒人捜査官ジミーを差し向ける。ビリーはその後、幾度となく薬物違反で逮捕されてしまう。
 まだまだ続く人種差別問題に一石を投じる社会派ものなのかと思ったが、ホリデイがなぜ「奇妙な果実」に拘り、政府はそこまで嫌がらせを続けるのかという部分を掘り下げず、ホリデイのパーソナルな部分に焦点を当てた自伝映画になっていた。
 タイトルと内容がちょっと合ってない感あり。ビリー・ホリデイに関してはドキュメンタリーを既に見ていたので、内面の複雑さは既知感あり。ホリデイを陰から愛し続けるジミーの存在感が素敵で、後半はラブストーリーとして見れた。映画的にはエンタメなのか、社会派なのか、あいまいな感じがしたのだが、アンドラ・デイの演技と歌が圧倒的だったので、見ごたえ十分でした。2022.2

ロクサーヌ、ロクサーヌ ROXANNE ROXANNE
監督:マイケル・J・ラーネル 出演:シャンテ・アダムズ | シェネル・エドモンズ | エルヴィス・ノラスコ、マハーシャラ・アリ/80年代に注目され、女性ラッパーとしての草分け的存在となったロクサーヌ・シャンテの物語。よくある成功物語ではあるが、男に騙されな、暴力振るわれながらも「負けないぜ、頼らねえぜ」感が心地よかった。お気に入りのマハーシャラ・アリは珍しくクズ野郎を演じていた。2022.1 Netflix

ロスト・ドーター THE LOST DAUGHTER
監督:マギー・ギレンホール 出演:オリヴィア・コールマン | ジェシー・バックリー | ダコタ・ジョンソン/イタリア文学の教授である女性は、夏のバカンスを一人、海辺の別荘で過ごすことに。豪邸で暮らすラテン系の大家族とビーチでもめた女は、小さな子供が大事にしていた人形を盗んでしまう。女性は若いころ、子どもを心から愛せなかった過去を思い出す。女性の心の変化と過去の悔恨を徐々に見せていく、とっても地味な映画。ギレンホールは女優としてはエキセントリックな役柄が多いだけに、この地味な内容は意外だった。しっかり見ないと何がいいたいのかよくわからないのだが、人間の心は複雑だっていうことを考えさせられた。好きなタイプの作品ではないのですが。ベネチア国際映画祭脚本賞受賞作。2022.1 Netflix


コードネーム U.N.C.L.E. THE MAN FROM U.N.C.L.E.
監督:ガイ・リッチー 出演:ヘンリー・カヴィル | アーミー・ハマー | アリシア・ヴィカンダー/東西冷戦真っ只中の1960年代前半。米CIAの敏腕エージェント、ナポレオン・ソロがベルリンへ向かい、東ベルリンの自動車整備工場で働く女整備士ギャビーに接近。目的は彼女の父親であり天才科学者ウド・テラー博士の居場所を突き止めるためだった。冷戦時代に米ソが手を組むという設定は面白いのだが、なんだかピンとこないアクション映画だった。アーミー・ハマーが好きじゃないのもあるかも。2021.11

ショップリフターズ・オブ・ザ・ワールド SHOPLIFTERS OF THE WORLD
監督:スティーヴン・カヤック 出演:ヘレナ・ハワード | エラー・コルトレーン | エレナ・カンプーリス、ジョー・マンガニエロ/1987年、コロラド州デンバー。大好きなザ・スミスの解散というニュースに動揺するクレオ。いつも万引きを見逃してくれるレコードショップの店員ディーンを相手に不満をぶつける。クレオの友人が軍に入隊する前日の夜、ディーンは地元のラジオ局に単身乗り込み、銃でDJを脅してザ・スミスの曲をかけるよう要求する。
 なぜかスミスをまったく聞いていなかったのだが、世代的にはドンピシャなので、ファッションとか出てくるミュージシャンや俳優の名前とか、すべてが懐かしくてタイムトリップ。モリー・リングウォルドの「プリティ・イン・ピンク」、懐かしい~。
 カーラジオから流れる音楽聞きながら青春を謳歌したり、年上のDJとの交流や、友との別れの前日だったり…。ところどころに「アメリカン・グラフィティ」のインスパイアが感じられて、涙出そうなぐらいサウダージだった。自分がスミスのファンだったらもっと嬉しかったと思う。実際にDJジャック事件があったとのこと。すごいコアなファンがいるんですね。2021.12

十九歳の地図
監督:柳町光男 出演:本間優二 | 蟹江敬三 | 沖山秀子/新聞配達をしながら予備校に通う19歳の吉岡は、単調な労働と集金先での理不尽な対応に嫌気がさし、地図をつくって気に入らない家に×をつけ、いたずら電話で憂さ晴らしをはじめる。同室の30男は、ギャンブル狂だったが、マリアという源氏なの女に入れ込み、犯罪に手を染めてしまう。
 古い映画なのだが、色も綺麗で内容も原題に通じるものがある。
中上健次の原作は10代のころに読んだし、この映画も高校時代の映研部室にポスターが貼られていたのを鮮明に覚えているのだが、正直、内容はまったく覚えていなかったので、とても新鮮な気持ちで見ることができた。
 吉岡の行いは、ツイッターで人を非難して憂さ晴らしする匿名の人間たちに比べたら、ずっとまともで能動的。時代は変わっても格差社会や人間の本質は変わらないのだろう。
蟹江敬三扮する30代の絵にかいたようなダメ男が天使に見えてしまった。ダメさ加減が昭和で懐かしさを覚えた。蟹江敬三、最高でした! 2021.11

スワン・ソング Swan Song
監督:トッド・スティーヴンス、出演:ウド・キア、ジェニファー・クーリッジ、リンダ・エバンス/養護施設に暮らす元ヘアドレッサー、パットは久々の仕事の依頼を受ける。パットは施設を抜け出し最後の仕事に向かうが…。
オハイオの小さな街に暮らすゲイのヘアアーチスト、パットは、仕事を辞め老人施設で暮らしている。ある日、昔の友人の葬式のために遺体のヘアセットをしてほしいとの依頼をうける。
 老人施設を出て小さな冒険をするパットが、ウキウキしたり落ち込んだりを繰り返しながら、小さな冒険をする過程がキュート。怖い役のイメージだったウドが見事にオネエ役を演じ切っていた。2021.11 東京国際映画祭にて

ムリナ Murina
監督:アントネータ・アラマット・クシヤノヴィッチ、出演:グラシヤ・フィリポヴィッチ、ダニカ・カーチック、クリフ・カーティス/クロアチアの島に住む10代の少女は抑圧的な父に反抗的な態度をとる。そんなとき父の友人で成功者の男が訪ねてきたことを機に、少女は外の世界へ憧れを抱く始める。
 カンヌのカメラドール受賞作で、プロデューサーにはマーチン・スコセッシの名前があったので見てみた。海の中の映像がとても美しくセンスがある。そしてなにより少女の存在感。筋肉質なんだけど魅力のある10代の肉体が、ぐいぐいと主張してきて、圧倒された。水着姿で年上の憧れの男性に無言のアピールしている感じがストレートで、若いっていいよねえ。誰にも媚びずに、自力で生き抜くたくましさがかっこよかった。2021.11 東京国際映画祭にて

もうひとりのトム El otro Tom
監督:ロドリゴ・プラ、ラウラ・サントゥージョ、出演:フリア・チャべス、イスラエル・ロドリゲス・ベトレリ、マリシア/ADHD(注意欠如・多動症)の症状を持つ息子を育てるシングルマザーは、副作用の危険を感じて息子への投薬治療を拒否するが、学校や病院は彼女の決断を問題視し、母親は窮地に追い込まれる。
 ロドリゴ・プラとラウラ・サントゥージョのコンビは、社会問題を意識した作品が多いのだが、この作品も単なる障害児を持つシングルマザーの苦労話に終わらず、投薬による副作用や、世間の画一的な決めつけ、といった部分まで切り込んでいるのが素晴らしい。
役者は全員素人でワークショップをして演技指導したとのこと。何より母と息子、二人の演技にブラボーです。2021.11 東京国際映画祭にて

モン・ロワ 愛を巡るそれぞれの理由 MON ROI
監督:マイウェン 出演:ヴァンサン・カッセル | エマニュエル・ベルコ | ルイ・ガレル/スキー場でヒザに大怪我を負った弁護士のトニー。元夫ジョルジオとの出会いから別れまでを思い出す―。レストラン経営者のジョルジオに惹かれたトニーは妊娠を機に結婚するが、ジョルジオは過去の女性や薬を断ち切れない。
 フランス映画らしい男女の会話とセックスがメインの恋愛もの。カンヌで女優賞受賞したとのこと。全裸シーンも多い体当たり演技が評価されたのでしょうか。苦手なタイプの映画なのだが、ラストシーンにぐっときた。女性監督ならではの細やかな心理描写。一緒には暮らせないけど人生で一番好きな人、なんだろうなあ。2021.12

四つの壁 The Four Walls
監督:バフマン・ゴバディ、アミル・アガエイ、ファティヒ・アル、フンダ・エルイイト/イスタンブールで暮らすクルド人の音楽家ボランは、妻と子供と暮らすため、海の見えるマンションを購入。田舎から妻と子を連れてくる途中で事故に遭い、愛する妻と子を失ってしまう。数か月後、病院から戻ったボランは、目の前にマンションが建てられ海が見えなくなってしまったことにショックを受ける。
 家族を失い絶望した男が、海の見える景観に執拗に拘る様が痛々しい。何かに怒りをぶつけることで、やりきれない思いから逃れようとしているのだろう。そんなボランを取り巻く人々が、少しずつボランの人生に関わり、より複雑に絡まっていく過程が絶妙。そして、ゴバディ監督作品の真骨頂でもある音楽は、さすがのインパクト。この作品は過去の作品とはテイストが違うのだが、異国の都会の片隅で生きる罪なき男の苦悩がヒシヒシと伝わる作品だった。2021.11 東京国際映画祭にて

ベネシアフレニア Veneciafrenia
監督:アレックス・デ・ラ・イグレシア、カテリーナ・ムリーノ、コジモ・ファスコ、イングリッド・ガルシア・ヨンソン/ヴェネチアを訪れたスペイン人観光客が次々と殺害される。その陰には街を外国人から取り戻そうとする秘密結社の存在があった。
 1970年代“ジャッロ映画”へのオマージュとも言うべき作品ということだが、そもそもジャッロ映画を知らないので…。
 ベネチアのオーバーツーリズムが住民の生活を脅かしているのは事実なのだろう。イタリアのクルーズ船で働く知り合いがいて、コロナで仕事ができなくなっていたことも知っているだけに、なんだか複雑な気分になった。双子の目的は理解はできたが、住民がもっと絡めばより面白くなったのになあ。単純なエンタメにしたかったのか? 2021.11 東京国際映画祭にて

ボディ・バンク EXTREME MEASURES
監督:マイケル・アプテッド 出演:ヒュー・グラント | ジーン・ハックマン | サラ・ジェシカ・パーカー/N.Y.の総合病院に勤務する英国人のガイは、激しい発作を繰り返して死亡した身元不明の男が気になり、死因を追究しはじめる。
 脊椎の再生治療のために、ホームレスを使い人体実験を行うという設定がリアルで怖くなった。見ごたえあり。20年以上前の映画だが、キャストが豪華なわりに話題にならなかったなあ。2021.11

リスペクト RESPECT
監督:リーズル・トミー 出演:ジェニファー・ハドソン | フォレスト・ウィテカー | マーロン・ウェイアンズ/牧師の父の下、幼いころから教会などで歌を披露し、天才少女と謳われたアレサ・フランクリン。やがてレコード・デビューを飾るも、なかなか自分の歌を見つけられず、ヒットに恵まれない日々が続く。そんな中、かつて父に交際を反対されたテッド・ホワイトと再会するアレサだったが…。
 天才歌手アレサの存在感と歌声をジェニファーが見事に演じていたのが感動でした。ドキュメンタリー「マッスル・ショールズ」と「アメイジンググレイス」とつながる物語だったので、よりアレサにより感情移入できた。いわゆるシンプルな伝記映画なのだが、とにかく歌が素晴らしくて心が震えた。大満足。2021.11


アイダよ、何処へ?
監督:ヤスミラ・ジュバニッチ、出演:ヤスナ・ジュリチッチ、イズディン・バイロヴィッチ、ヨハン・ヘンデンベルグ/1995年、夏。ボスニア・ヘルツェゴヴィナの町、スレブレニツァ。国連軍が管理している街がセルビアの軍人たちに占拠され、2万 5 千人もの住人たちは保護を求めて国連基地に集まってくる。国連平和維持軍で通訳として働くアイダは、夫と息子たちを守ろうと奔走するが…。
 旧ユーゴの紛争を描いた映画では、度々見かける無力な国連軍。結局、そこにいるだけで何も手を出せない、助けられない。それを相手も知っているから舐めてかかる。
 国連軍の何もできないよそ者感と、家族を守ろうとするアイダの必死な姿の対比が秀逸。人は窮地に陥ると「きっと自分たちだけは大丈夫」と思いがちだが、アイダだけは最悪の事態を予感していた。自分だったら諦めてしまうだろうなあ。ナチスのホロコーストのようなことが、ボスニアでも行われていたことがショックだった。辛い映画だったが見に行ってよかったです。2021.10

ジャズ・ロフト The Jazz Loft According to W. Eugene Smith
監督/サラ・フィシュコ、出演/サム・スティーブンソン、カーラ・ブレイ、スティーヴ・ライヒ、ビル・クロウ、(以下、写真のみ/声のみ)ユージーン・スミス、セロニアス・モンク、ズート・シムズ、ホール・オーバートン/ユージン・スミスが1950年代半ばから住んでいたマンハッタンのロフトでは、連日連夜様々なジャズ・ミュージシャンが出入りし、ジャムセッションを繰り広げていた。当時の写真と映像、音声、当時を知る人々へのインタビューをつないだドキュメンタリー。
 前半はスミスの私生活や仕事を彼の残した作品を中心に迫っていき、後半は、ホール・オーバートンとセロニアス・モンクの音声やタウンホールでのコンサートに向けて音作りをしていくミュージシャンの様子をつないでいく。とても見ごたえのある構成になっていて、まったく飽きずに見ることができた。『MINAMATA』を見てからもう一度、見てみたい。若かりし頃のユージーンは男前で、ジョニー・デップにちょっと似ていました。2021.7

MINAMATA―ミナマタ―
監督:アンドリュー・レヴィタス ?出演:ジョニー・デップ | 真田広之 | 國村隼/1971年、ニューヨーク。アメリカを代表する世界的写真家ユージン・スミスの前に日本語の通訳として現れた女性アイリーン。彼女は日本の水俣市で、工場から海に捨てられている有害物質が多くの人々を苦しめている現実を、あなたの写真で世界に伝えてほしいと訴える。水俣の惨状に心を痛め、現地での取材を開始するユージンだったが…。
 水俣病患者の苦悩、大企業と闘う人々の姿を、外国人であるユージンの視点から描いた作品。この映画の前にドキュメンタリーと「ジャズ・ロフト」を見てユージンのルックスと作品に惹かれていたので、さらに感情移入して見ることができた。今のSDGsとは真逆をいく50年前の企業利益優先の態度は腹立たしかったが、実際ああいう会社は多いのでしょう。 映画の後で、ユージンの写真展を見に行き、1961年の日立の写真やウッドストックの写真も見ることができた。さらにユージンと誕生日が一緒だと知りさらに親近感。少しでも多くの人に水俣病を知ってもらうためにも、見てほしい一本。ジョニー・デップがユージンを演じたことにとても価値があると思った。2021.9

ケンザの瞳 Bulado
監督:エチェ・ジャンガ
出演:ティアラ・リチャーズ、エベロン・ジャクソン・ホーイ、フェリックス・デ・ローイ/ケンザは厳格な警官の父と、キュラソーの伝統と精神性を重んじる祖父の3人で暮らしていた。亡き母への思慕を募らせるケンザは次第に祖父の説く穏やかで神秘的な島の伝統に心惹かれていく。シンプルな物語ではあるのだが、ケンザを演じた少女の自然な感じと、と祖父の存在感が際立っていた。祖父役のフェリックス・デ・ローイは詩人、作家、劇作家、映画監督、芸術家、キュレーターとマルチに活躍する、キュラソーを代表する文化人とのこと。祖父が話す言葉はほぼスペイン語?キュラソーの位置関係からしてもスペイン語圏であるのが自然なんだよなあ。やっぱりオランダであることに違和感。2021.9 SKIPシネマにて

グッド・タイム GOOD TIME
監督:ジョシュ・サフディ、監督・出演:ベニー・サフディ、出演:ロバート・パティンソン、バディ・デュレス/ジェニファー・ジェイソン・リー/ニューヨークの貧困地域に生きるコニーは、知的障害者の弟ニックと強い絆で結ばれている。ある日、兄弟は銀行強盗を企てるも、ニックが捕まってしまう。コニーは弟を取り戻そうと真夜中のニューヨークを駆け回る。
 走って走って、上手くいかなくて犯罪を重ねてしまう負のループがスピーディーに描かれていて見ごたえあり。俯瞰の映像もアクセントになっていて見飽きない。何よりパティントンの演技が上手い!どんな役をやっても存在感を出す。末恐ろしい役者です。2021.10

ミッドサマー MIDSOMMAR
監督:アリ・アスター 出演:フローレンス・ピュー | ジャック・レイナー | ウィル・ポールター/家族を不幸な事件で失ったアメリカ人学生ダニーは、恋人クリスチャンの友人たちとスウェーデンの奥地で暮らすあるコミュニティーを訪れる。
 カルト集団の生活に興味本位で踏み込んだ若者の悲劇。よくある話なので、飽きてしまった。長すぎ。2021.10

ミトラ
監督:カーウェ・モディーリ、ヤスミン・タバタバイ、モフセン・ナムジュー/祖国イランで娘のミトラが処刑された日から37年が経ったいま、ハーレはオランダで高名な学者となっていた。しかし、娘を裏切り死に追いやった女の存在を知った時、彼女の心に復讐の炎が芽生える。とても辛い物語だった。娘を失った悔しさを忘れられない女性と、逮捕され拷問されながら過去を忘れようとしている兄、そして密告者の娘。それぞれの心理描写が丁寧で、感情移入できた。密告者である女性にあえて焦点を当てていないところがいい。
イラン革命の是非を問うのではなく、政治に翻弄された人々の人生ドラマになっていた。
2021.9 SKIPシネマにて

理大囲城
窮地に陥った人々が追い詰められていく様子が画面を通じて伝わってきた。すごい緊張感。これぞジャーナリズムの原点。留まっても地獄、逃げても地獄…。出口なし…。警察に捕まったらどうなるのかわからない、という不安な心情が伝わり、身につまされるものがあった。言論の自由、報道の自由のない社会であってはならない、と心から思えた。この作品を撮影し発表したスタッフに心から敬意を表したい。
山形国際ドキュメンタリーにて 2021.10

カツベン!
監督:周防正行 出演:成田凌 | 黒島結菜 | 永瀬正敏/活動写真のカツベンに憧れる染谷は、小さな町の映画館で雑用係として働き始める。酔った先輩弁士の代役で弁士デビューするが…。成田凌びいきなので見てみたが、今一つピンと来ず。容姿のせいなのか時代物よりも現代の都会が舞台の作品のほうが似合う気がした。スピード感やテンポももうちょっと欲しかった感あり。2021.8

窮鼠(きゅうそ)はチーズの夢を見る
監督:行定勲 出演:大倉忠義 | 成田凌 | 吉田志織/優柔不断で流されやすい恭一は、妻がありながら、女性から言い寄られるままに不倫を重ねている。そんなある日、大学の後輩の渉と7年ぶりの再会を果たす。ゲイで昔から恭一を想い続けていた渉は、不倫の証拠をちらつかせながら関係を迫る。二人の揺れる想いが、じりじりと伝わってくる上質の恋愛映画だった。成田凌目的で見始めたのだが、大倉も魅力的。二人の良さを引き出した行定監督、さすがです。2021.8

THE GUILTY/ギルティ DEN SKYLDIGE
監督:グスタフ・モーラー 出演:ヤコブ・セーダーグレン/捜査中のトラブルにより現場を外された警察官のアスガーは、緊急通報指令室のオペレーター勤務で、男から誘拐されたと思われる女性イーベンからの電話を受ける。デンマーク映画。電話だけで緊迫感を出す手法の映画は、以前も見たことがあったが、こちらもとても脚本が良く出てきていて飽きずに見れた。舞台劇にしても面白いだろう。評価も納得の秀作。2021.8

Summer of 85  ETE 85
監督:フランソワ・オゾン 出演:フェリックス・ルフェーヴル | バンジャマン・ヴォワザン | フィリッピーヌ・ヴェルジュ、メルヴィル・プポー、ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ/1985年、夏のフランス。ヨットで一人沖に出た16歳のアレックスは、転覆したところを偶然通りかかった18歳の少年ダヴィドに助けられる。ダヴィの魅力に惹かれていくアレックス少年の心の動きの描写が絶妙。主役のフェリックスがリバー・フェニックスに似ているので、じーっと見入ってしまいました。85年のファッションや音楽は、自分にとっても懐メロなので、すっかり気分は女子学生。少年の初恋は悲劇的に終わるのだけど、彼の後の人生に対するポジティブな視点も描かれていて、清々しさも残った。フェリックス君の次回作にも期待大。このまま素敵な俳優になってほしい。2021.8

しあわせへのまわり道 LEARNING TO DRIVE
監督:イザベル・コイシェ 出演:パトリシア・クラークソン | ベン・キングズレー | ジェイク・ウェバー/マンハッタンに暮ら書評家ウェンディは、21年連れ添った夫から突然別れを切り出される。偶然知り合ったタクシー運転手タルワーンから、自動車教習を受けることになったが…。恵まれて生きてきた中年女性ウェンディよりも、インドで迫害され亡命してきたシーク教徒の人生に目が行った。イザベル・コイシェ監督の作品は無国籍で監督色は薄いが、心理描写が丁寧に作られているので好印象。2021.9

スクールガールズ LAS NINAS
監督:ピラール・パロメロ 出演:アンドレア・ファンドス | ナタリア・デ・モリーナ | ソエ・アルナオ/90年代のスペイン。修道院の女学校に通う少女たちは、厳しい規律の中でも好奇心のままに小さな冒険をする。
 少女時代の好奇心あるあるがたくさん出てきて、十代に気持ちだけプレイバック。後半は少女の出生の秘密の話になるのだが、こちらはちょっと説明不足の感あり。おそらく監督の自伝的物語なのでしょうが、見ている側には複雑な事情は伝わってこなかった。2021.8

パレードへようこそ PRIDE
監督:マシュー・ウォーチャス 出演:ビル・ナイ | イメルダ・スタウントン | ドミニク・ウェスト/1984年、不況に揺れるサッチャー政権下の英国。探鉱閉鎖に抗議する炭鉱夫のストライキは4ヵ月目に入ろうとしていた。ロンドンに暮らすゲイのマークは、そのニュースを見て彼らを支援しようと、仲間たちとゲイのパレードで募金活動を行い、合わせて“LGSM(炭坑夫支援レズビアン&ゲイ会)”という支援組織も立ち上げる。
 保守的な探鉱の村人と都会の若いLGBTの人々が、力を合わせて声を上げるなんてことが、実話であることに驚いた。それぞれのキャラクターもしっかり描けていて見やすい映画。日本ではあんまり評判にならなかったけど、掘り出し物。2021.10

バンパイア・サック SUCK
監督・主演:ロブ・ステファニューク 出演:ジェシカ・パレ | デイヴ・フォーリー 、イギー・ポップ、アリス・クーパー/カナダのインディーズ・バンドの紅一点、ベースのジェニファーが、怪しげな男と姿を消した翌日、彼女はまるで別人のようなセクシー美女に豹変して帰ってきた。なんと、ジェニファーはヴァンパイアになってしまったのだ。
 クスクス笑える吸血鬼音楽コメディ。イギー・ポップやアリス・クーパーも楽しそうに出演していて良かったです。2021.10

ハングマン HANGMAN
監督:ジョニー・マーティン 出演:アル・パチーノ | カール・アーバン | ブリタニー・スノウ/猟奇的な首吊り殺人を毎晩11時に起こす犯人を警官と記者が追いかけるサスペンス。とくに印象に残らない物語。アル・パチーノの存在感も薄くて…。2021.10

ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー BOOKSMART
監督:オリヴィア・ワイルド 出演:ケイトリン・デヴァー | ビーニー・フェルドスタイン | ジェシカ・ウィリアムズ/卒業式前日。大親友の女子高生モリーとエイミーは勉強一筋の優等生だったが、フタを開けてみると、遊んでばかりの同級生たちが、一流大学に進学が決まったと知り、急に焦り始める。会話がシニカルでそれぞれのキャラも立っていたけど、今一つ物語に入り込めず。2021.8

台風家族
監督:市井昌秀 出演:草なぎ剛 | 新井浩文 | MEGUMI、藤竜也/台風が近づく夏の日。鈴木家の長男・小鉄が妻子を連れて実家へ戻ってきた。目的は、10年前に銀行強盗をし、奪った2000万円とともに行方不明になった両親の葬儀に参列するため。両親の法的な死亡認定のために、10年ぶりに兄弟が再会するが…。兄弟仲の悪さ、キャラクターの違いが面白くて終始、笑いながら見れた。金の亡者の長男の事情にはちょっとほだされたけど、基本はクズなんだよね。働けよ、と突っ込みたくなったけど、長男のダメダメ感は、十二分に楽しめた。剛はやっぱりいい俳優だ。2021.8

凪待ち
監督:白石和彌 出演:香取慎吾 | 恒松祐里 | 西田尚美、リリー・フランキー、吉澤健/ギャンブル依存症の郁男は恋人の亜弓とその娘と共に、亜弓の故郷・石巻に移り住む。一人で暮らしていた猟師の父・勝美は、癌を患っているが、気丈に仕事を続けている。ある日、郁男とケンカした後で亜弓が何者かに殺され、遺体となって発見される。
 白石監督作品の常連俳優に混じって慎吾がギャンブル狂のダメ男を熱演していた。思ったほど暴力的ではなく見やすい映画でした。2021.8

42 ~世界を変えた男~
監督:ブライアン・ヘルゲランド 出演:チャドウィック・ボーズマン | ハリソン・フォード | ニコール・ベハーリー/1945年、ブルックリン・ドジャースのGMブランチ・リッキーは、一人の黒人選手ジャッキー・ロビンソンと契約をする。ジャッキーは数々の差別的待遇や卑劣ないやがらせを受けながらも、スター選手となっていく。
 亡きチャドウィックの出世作なので見てみた。ジャッキー・ロビンソンの名前は聞いたことはあったが、どんな選手なのか知らなかったので勉強になりました。2021.8

ライトハウス THE LIGHTHOUSE
ロバート・エガース監督、ウィレム・デフォー、ロバート・パティンソン出演/1890年代、ニューイングランドの孤島で灯台と島の管理を行うトーマスは、若いイーフレイムをこき使う。過酷な自然環境の中、二人きりで暮らす男が、次第に神経を病んでいく様を描いている。島の過酷さと狂っていく若い男の姿が延々続くので、正直見ていて辛いものあり。力作ではあるのですが…。ロバート・パティンソンの演技力がすさまじくて圧倒された。すごい役者です。こんな映画を選んで出演したことにもアッパレ。2021.8



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