気まぐれCINEMAレビュー BackNumber
1999〜2005年

【ア行】

過去の「気まぐれCINEMAレビュー」をまとめました。
満足度は★で、がっかり度は×で評価しました。
五十音順にタイトルが並んでいます。
データベースとしてご活用下さい。

【過去の年間BEST3】
BackNumber CINE LATINO (2007年〜
中南米映画 日本未公開版
2007年〜
【ア】【イ】【ウ】【エ】【オ】  【カ】【キ】【ク】【ケ】【コ】  【サ】【シ】【ス】【セ】【ソ】  【タ】【チ】【ツ】【テ】【ト】 
【ナ】【ニ】【ヌ】【ネ】【ノ】  【ハ】【ヒ】【フ】【ヘ】【ホ】  【マ】【ミ】【ム】【メ】【モ】  【ヤ】【ユ】【ヨ】 
【ラ】【リ】【ル】【レ】【ロ】  【ワ】【タイトル不明】
1999〜2005年
【ア】【イ】【ウ】【エ】【オ】  【カ】【キ】【ク】【ケ】【コ】  【サ】【シ】【ス】【セ】【ソ】  【タ】【チ】【ツ】【テ】【ト】 
【ナ】【ニ】【ヌ】【ネ】【ノ】  【ハ】【ヒ】【フ】【ヘ】【ホ】  【マ】【ミ】【ム】【メ】【モ】  【ヤ】【ユ】【ヨ】 
【ラ】【リ】【ル】【レ】【ロ】  【ワ】【タイトル不明】

【ア a】

アイズ・ワイド・シャット ★★★1999 My Best1 CINEMA
S・キューブリック監督
 レビューはCINEMAの監督たち(S・キューブリック)

アビエイター  
マーティン・スコセッシ監督
 レビューはCINEMAの監督たち(マーティン・スコセッシ)

あの頃ペニー・レインと Almost Famous ★★★2001 My Best1 CINEMA
キャメロン・クロウ監督、ケイト・ハドソン、フランシス・マクドーマンド、ビリー・クラダップ、ジェイソン・リー、パトリック・フュジット(少年)出演
☆70年代。サンディエゴに住む少年が、ロックに目覚め、ひょんなことから、ロックバンドの同行取材をすることになる。映像、時代、音楽、すべてがなつかしい。これぞノスタルジー映画の王道!さすが、キャメロン・クロウ。自伝ということ。ロックバンドの実体は、まんざら嘘じゃないんだろうなあ。グルーピーといえば、リブ・タイラーの母親もあんなだったのかしら?とにかく、ペニー・レイン役のケイトが超キュート。で、相手役の格好いい。そしてそして、説教好きな母親(マクドーマンド)もGood! サントラ、欲しくなりました。見たあとで、とってもハートフルな気分になれました.2001.7.13 サントラはこちら

アモーレス・ペロス 
アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督、ガエル・ガルシア・ベルナル、エミリオ・エチェバリア出演
☆メキシコシティに暮らす3組の人間たちのオムニバスストーリー。ブルーカラーの兄弟と兄嫁は飼い犬を闘犬にしたことで人生が少しずつ狂っていき、トップモデルと不倫している男はモデルが可愛がる犬の失踪に心を乱される。そして、最後の元テロリストは、銃でうたれた闘犬を拾って看病したのをきっかけに生き直すことを決意する。
 それぞれに飼っている犬が中心になって話が展開する構成が面白い。人々の心情もよく表現されていた。トップモデルの話は普通すぎて少々飽きたけど、あとの2つは、その後の話を想像したくなるぐらい引き込まれた。中でももっとも気になるのがあの闘犬。元テロリストの犬たちをかみ殺したのも、ご主人さまへの恩返しだと思ってやったんだろうし、犬に罪はない。と、愛しく思えた。この映画の主役はあの闘犬で決まりだ。2003.2.23 参考CINEMA:「天国の口、終わりの楽園」 「21グラム」「メルキアデス・エストラーダの三度の埋葬」「バベル」

愛より強い旅 EXILS
トニー・ガトリフ監督、ロマン・デュリス、ルブナ・アザバル出演
☆パリからアルジェリアまで、自分のルーツを探して旅をする若いカップルのロード・ムービー。ガトリフ監督独特の民族音楽の使い方が絶妙で、音楽映画としても楽しめる。
 やっとの思いでアルジェリアについた二人が、住民の流れに逆らって歩くシーンは、アフリカからフランスを目指す人々と、自分の故郷に戻ろうとする二人の姿が象徴的に描かれていて興味深かった。ただ、インパクトには欠けるかなあ。翌日に「輝ける青春」を見てしまったせいで印象が薄くなったのも原因だが。邦題はNG。なんでもかんでも「愛」とつけるワンパターン、いい加減にやめて欲しい。2005.12.29 参考CINEMA:「僕のスウィング」「ラッチョ・ドローム

アイ・ロボット I,Robot
アレックス・プロヤス監督、 ウィル・スミス、ジェームス・クロムウェル出演
☆ロボット対人間の話。想像どおり。それだけ。2005.4.2

アイアン・カウボーイズ ミーツ・ゴーストライダー IRON HORSEMEN
ジル・シャルマン監督、アキ・カウリスマキ製作、ドミニク・グールド、アキ・カウリスマキ、ウィルバー・スコット、ジム・ジャームッシュ、マッティ・ペロンパー出演
☆60年代のカリフォルニアを舞台にしたロードムービー。人食い暴走族から逃げるダメ男が、道中、チェ・ゲバラに感化された女銀行強盗に同行したりしながら、なんとか生き延びる。船でソ連に逃げて、女強盗と一緒にコルホーズ(集団農場)で幸せに暮らしました、っていうオチが笑えた。ふざけた映画なんだけど、時代背景を上手に盛り込んでいて楽しめた。2004.8.22

アイ・アム・サム
ジェシー・ネルソン監督(女性。舞台女優として活躍)、ショーン・ペン、ミシェル・ファイファー、ダイアン・ウィースト、ローラ・ダーン出演
☆知恵遅れの父親とその娘の心温まる親子愛。ショーンの演技は評判通り、さすが芸達者。子役の女の子が生意気なんだけど上手い!頑なに父親を思い続ける姿についつい涙してしまった。泣きのツボをしっかりおさえたハートウォーミングな映画でした。
ただ一つ気になったのがスターバックス。いきなりスターバックスから映画が始まるから一瞬、CMかと思った。スターバックスのロゴばかりがやたらアップになるので、店の人は絶対いじめないんだろうな、と読めてしまう。スポンサーなのはわかるけど、いい人ぶり過ぎスターバックス。2003.4.5 サントラはこちら

アイ・ラブ・ペッカー
ジョン・ウォーターズ監督、エドワード・ファーロング、クリスティナ・リッチ、リリ・テイラー出演☆ ボルチモア。バカで写真好きのぺっカー。町の人や憎むべき家族の写真をとるのが趣味。彼女はコインランドリーの管理人。そんなぺっカーの写真がNYで評価されてしまう。けど、そのおかげでぺっカーの回りの人は迷惑を被り……………。愛すべき変人たち。ジョン・ウォーターズならではのキャラで楽しめた。くだらないと言えばそれまでだけど、こーいう映画ってほんと、くよくよ考えることを辞めさせてくれるのよね。ファーロング、消えたと思ってたけど、新境地という感じでなかなかよかったです。2000.7.16 参考CINEMA:「セシル・B/ザ・シネマ・ウォーズ

アウト・オブ・サイト
スティーブン・ソダーバーグ監督、ジョージ・クルーニー、ジェニファー・ロペス出演☆けちな銀行強盗の男と色気むんむんの女刑事の恋。話はけっこう陳腐だったけど、撮りかたとか音楽の感じが「トラフィク」につながるものがあった。2001.5.4 参考CINEMA:「トラフィック」「オーシャンズ11,12」 「エリン・ブロコビッチ」「イギリスから来た男

アタック・ナンバー・ハーフ
ヨンユット・トンコントーン監督、チャイチャーン・ニムプーンサワット、サハーパープ・ウィーラカーミン出演
☆タイのオカマ集団が、バレーボールチームを作って大奮闘!コテコテのオカマちゃん映画で、とくに新鮮さもひねりもなし。退屈だった。タイ映画ははじめてみた。2002.2.13

アダプテーション ADAPTATION
スパイク・ジョーンズ監督、チャーリー・カウフマン製作総指揮・脚本、スーザン・オーリアン原作、ニコラス・ケイジ、メリル・ストリープ、クリス・クーパー、カーティス・ハンソン、スパイク・ジョーンズ出演
☆神経質な脚本家チャーリー・カウフマンは、蘭コレクターの世界を描いたベストセラー・ノンフィクションの脚色(アダプテーション)に取り掛かる。しかし、いっこうにはかどらないため、原作者に会いに行くことに。一方、能天気な双子の弟ドナルドは脚本家養成セミナーに通い始める。
 というような話なんだが、劇中劇が複雑に入り混じっていて、後半は、???の連続だった。「マルコビッチの穴」は、楽しめたが、こちらは、正直ついていけなかった。2004.4.18 参考CINEMA:「マルコビッチの穴」

あなたに言えなかったこと
イザベル・コイシェ監督・脚本、リリ・テイラー、アンドリュー・マッカーシー、シーモア・カッセル、アレクシス・アークェット出演☆ お気に入りのバイプレーヤーが出ていたので見たけど、滅入った気分の時に少しだけ元気になれた。男に振られた女とカウンセラーをしてる悩める男の話。けど、ロマンチックなラブ・ストーリーではなく、ちょっと哲学的。「望みをかなえた人が幸せとは限らない」とか「日曜は嫌い」とか、そういうもんだよね、と思わせる台詞が心地よかった。あと、登場人物がみんな孤独なところもほっとさせられた。私だけじゃないかも、と思える映画でした。やっぱり、リリ・テイラーは最高です。1999.9.17 参考CINEMA:「死ぬまでにしたい10のこと」、脇役たち(リリ・テイラー

アナライズ・ミー
ハロルド・ライミス監督、ロバート・デ・ニーロ、ビリー・クリスタル、リサ・クードロー、チャズ・パルミンテリ出演☆ナーバスになったマフィアのボスと精神科医の交流を描いた作品。ゴッドファーザーに出ていたデニーロが「おれはフレドじゃない」という台詞は笑えた。全面コメディなんだけど、実はマフィアのボスには、父を目の前で殺されたトラウマがあったり、と結構ハートフルな映画でもあった。まあ、軽いタッチの映画を、うまい役者が絶妙に演じてるので許してあげる。2000.4.30

あの子を探して 一個都不能少
チャン・イーモウ監督、ウェイ・ミンジ,チャン・ホエクー,チャン・ジェンダ, カオ・エンマン出演
☆中国の田舎の小学校で代用教員をすることになった少女ウェイが、出稼ぎに出てしまった少年をさがすため、一人で街に出かける。
キアロスタミ監督の「ともだちのうちはどこ?」の焼き直しみたいな映画で、オリジナリティは感じられなかったけど、田舎の子供たちの笑顔はかわいかった。
 巨匠となっても、いろんな分野に挑戦するイーモウ監督には、ほんと頭が下がります。2005.2.13 参考CINEMA:「初恋のきた道」「ヒーロー」「ラバーズ至福のとき

アバウト・シュミット ABOUT SCHMIDT
アレクサンダー・ペイン監督、ジャック・ニコルソン、キャシー・ベイツ、ダーモット・マローニー出演
☆保険会社を定年退職した老人ウォーレン・シュミットが、第2の人生を送ろうとした矢先、妻に先立たれる。孤独感を自覚できないウォーレンは、妻が友人と不倫していた事実を知ってしまう。
偏屈老人の再生を描いて話題になったので、楽しみにしてたんだけど、偏屈どころか味のあるいい親父さんだった。たぶん、アメリカではこれでも十分、困った親父なんだろうけど、日本なら全然ましなほう。娘ともコミュニケーションできてるし、キャンピングカーで旅に出る行動力もあるし。
 人間は、結局、最後は一人で死んでいくんだよねえ。それをしっかり受け止めて、甘えずに生きていかなきゃ、という気分にさせられる映画だった。2004.5.8 参考CINEMA:「サイドウェイ」「ハイスクール白書

アフター・グロウ
ロバート・アルトマン製作、アラン・ルドルフ監督、栗田豊通撮影、ニック・ノルティ、ジュリー・クリスティ、ララ・フリン・ボイル出演☆ モントリオール。便利屋の男と元女優の妻。妻は子供の失踪以来、情緒不安定。一方、ヤンエグの夫婦は、子供が欲しい妻と仕事一筋の夫。この夫婦がふとしたことで出逢い、不倫の道へ。けど、不倫にはそれぞれのトラウマや事情があるわけで…。ジュリー・クリスティってあんまり映画でないけど、すてきな女優。「シャンプー」のころから好きだったけど、うまいね。知性を感じさせる悪女。
で、その夫がマッチョのニック・ノルティっていうのがいい。ニックって一見、脳みそなしにみえるけど、知性派もさまになるんだよね。「ロレンツォのオイル」も良かったし。彼自身、バリバリのコミュニストらしいから、理論派なんでしょう。ということで、役者のうまさをよく引きだしてる映画だった。赤っぽい映像もすてき。そして、音楽が最高。アラン・ルドルフ色がよく出ていた。2000.5.13

甘い人生 甘い人生 A BITTERSWEET LIFE
キム・ジウン監督、イ・ビョンホン、キム・ヨンチョル、シン・ミナ出演
☆ヤクザのボスから愛人の監視役を頼まれた男が、愛人の浮気を見逃してしまったことから命を狙われるフィルム・ノワール。
ビョンホンかっこいー!プロモ・ビデオのよう!ファンには生唾ものの一品でした。
拷問シーンは正直、目を覆いたくなったけど、いたぶられるビョンホンもまたいいのよねえ。
苦しみや、怒り、孤独を内に秘めた男がほんとよく似合うわー。
映画見てるうちに、ビョンホンがトニー・レオンとダブって見えてしまった。ウォン・カーウァイ監督作品デビューも近いのでは?
ただ、映画の内容は、拷問シーンが「オールド・ボーイ」に似てたり、主役以外の役に魅力がなかったりで、出来としては今ひとつ。でもまあ、これはビョンホンのためのエンタテイメント作品ですから。大アマで星一つ!2005.6.25 参考CINEMA:「クワイエット・ファミリー

アマロ神父の罪 EL CRIMEN DEL PADRE AMARO
カルロス・カレラ監督、エッサ・デ・ケイロス原作、ガエル・ガルシア・ベルナル、アナ・クラウディア・タランコン、サンチョ・グラシア出演
☆100年前の小説を現代に置き代えて描いた問題作。メキシコの田舎町に赴任した若き神父アマロは、そこで腐敗した教会の実態を目の当たりにする。新聞社が教会とマフィアの癒着を暴くが、アマロは保身のために反論記事を掲載。さらに食堂の娘の誘惑に乗り、肉欲に溺れてしまう。
 カソリックの国では社会問題になりかねないシビアな話。テロリストを匿っている罪で教会を追われた神父が、唯一、まっとうな聖職者というのが皮肉だった。
 落ちるとこまで落ちたアマロ神父が改心しないままエンディングを迎えたのがリアルで、問題提起映画として見ごたえがあった。2006.1.3

アメリカン・スプレンダー AMERICAN SPLENDOR
シャリ・スプリンガー・バーマン、ロバート・プルチーニ監督、ハーヴィー・ピーカー原作、ポール・ジアマッティ、ホープ・デイヴィス、ハーヴィー・ピーカー出演
☆愚痴ばっかり言ってる病院の書類係が、自らの冴えない毎日をコミックにしたものを映画化したドキュメンタリータッチのシニカル・コメディ。
 国は違えど、冴えないオタク人間の日常はどこも同じようだ。自分の人生とも重なってみえてちょっと恥ずかしかった。ピーカー本人とジアマッティの雰囲気がぴったり(頭の禿げ具合も)。うまい役者だ。「サイドウェイズ」でも主役になり、ノリに乗ってるジアマッティだけど「デュエット」の演技はサイコーでした。
&バックに流れるジャズがかっこいいです。ジャズ・レコード収集家でもあるピーカー自身が選んだだけあって、ソー・ナイスな曲ばかり集めてます。2005.2.15 サントラはこちら 参考CINEMA:「デュエット」サイドウェイ

アメリ 
ジャン・ピエール・ジュネ監督、オドレイ・トトゥ、マチュー・カシュビッツ出演☆ジュネ節健在。アメリの役者がかわいいのが、ヒットの一番の要因だろう。途中はテンポが落ちて、ちょっと中だるみしたけど、アメリのかわいさがすべてをカバーしていた。ウエイトレスにしつこくつきまとう男や、ルノワールの模写ばかりしている老人、頭の弱い果物屋の店員、そして、捨てられた証明写真を集めるのが趣味の男などなど、その風変わりさがすべて個性的。変わりもんオンパレードの映画は私好み。そして、空想好きというのがまた共通項。プラス・アルファのある楽しい映画だった。2002.2.11 参考CINEMA:「ロング・エンゲージメント

アメリカン・ヒストリーX AMERICAN HISTORY X
トニー・ケイ監督、エドワード・ノートン、エドワード・ファーロング出演
☆白人至上主義「ネオナチ」のメンバーである兄に憧れる弟の物語。
公開当時は過激な思想が話題になったけど、あまり過激さは感じられず、逆に説教くささが鼻についた。
兄が刑務所にいる間にどういう気持ちの変化があって改心したのかが、今ひとつわからなかった。2004.7.3

アメリカン・ビューティ 
サム・メンデス監督、ケビン・スペイシー、アネット・ベニング、クリス・クーパー、ピーター・ギャラガー出演☆アカデミー賞をとったとは思えない、小振りの映画だった。ハリウッド的というより、インディーズっぽい映画。娘の友人に恋をして、突然、今までの自分を捨ててしまう男の姿はこっけい。で、ケビン・スペイシーがぴったりはまってた。男が自分の気持ちを哲学的に語るところなんか、よかったよ。あとは、働くアメリカン妻のあのエキセントリックぶりも笑えた。夫よりよっぽどあんたのほうがおかしいよ。
一見ふつうにみえる家族が実は穴だらけ。唯一まともなのは娘。ラスト、ホモの隣人が振られた腹いせ?に男を殺して終わるというシニカルさは、苦々しく思いながらも、これでよかったかも、と思わせるものがあった。一人、犠牲が必要な展開だったから、というか、うまく説明出来ないけど、私は、エンディングがすべてをかたった、はじめて現実になったという気がした。2000.11.23 参考CINEMA:「ロード・トゥ・パーディション

アリ ★★
マイケル・マン監督、ウィル・スミス主演
☆モハメド・アリというとわがままなファイターというイメージしかなかったのだが、愚かなほど純粋な人柄が伝わってくる映画だった。マルコムXやブラック・ムスリムとの関係が強かったことや、徴兵拒否をしたために、ボクサーの資格が剥奪されたこと、その後の復活から、ザイール・キンシャサでの死闘まで、いっきに見れて楽しめた。へんに説明的でなく、ファイトシーンもリアルで、マイケル・マンの映画の中では一番、気に入ったかな。 参考CINEMA:「インサイダー」「コラテラル

アントワン・フィッシャー ANTWONE FISHER
デンゼル・ワシントン監督・出演、アントワン・フィッシャー脚本、デレク・ルーク、ジョイ・ブライアント出演
☆不遇な生い立ちの黒人水兵が、精神科医と触れ合ううちに過去を克服していくヒューマンストーリー。デンゼル・ワシントン監督っていうことで期待したけど、奇をてらったところのまったくない“よい”映画だった。
 不遇の青年の再生ストーリーはたくさんあるので新鮮さはなかったんだけど、青年役の俳優が魅力的だったので、素直に感情移入できた。ラスト、死んだ父親の家族が暖かく迎えてくれるっていうのは出来すぎの気がしたけど、実話だっっていうし、人間希望を失っちゃいけないよね、とちょっと学ばせてもらいました。2004.6.18

アンナ・マデリーナ
ハイ・チョンマン監督、金城武、ケリー・チャン、アーロン・クオック、レスリー・チャン出演☆ シャイな調律師が、破天荒な小説家志望と出会った。2人は一緒に住むはめにある。そんなある日、マンションの上の階に女が引越してくる。調律師は密かに彼女を思うが彼女は小説家志望を好きになり、結局、振られてしまう。けど、自分の思いを童話のような恋愛小説にして彼女への思いを綴る。という、すごーく古典的な恋愛もの。3人の個性がよく出ていてせつなさが伝わってきた。ただ、小説の話はちょっと長すぎ。結局、みーんな別れてしまうというラストが私好み。1999.8.21

アンナと王様
アンディ・テナント監督、ジョディ・フォスター、チョウ・ユンファ、バイ・リン、トム・フェルトン出演☆1860年ごろのシャム。絶対的存在の王様と、生意気なかていきょうしの実らぬ恋。ヒョウバン通り、ユンファ、ステキでした。あのダサさがいいんだよね。側室の裁判シーンはつらかったね。人の上にたつことって、辛いことですね。タイは未だに王様が支配してる国なんだよね。そのせいか、古さを感じさせない映画でした。2000.7.16 タイ旅行記はこちら

OUT
平山秀幸監督、原田美枝子,倍賞美津子,室井滋,西田尚美,大森南朋,香川照之,間寛平,千石規子,小木茂光ほか出演
☆ごく普通の主婦たちが死体解体という裏の仕事に手を染めていく傑作ミステリー。うまい役者をそろえていたので、見ごたえはあったが、ドラマの印象が強かったのでどうしても比較してしまった。主婦たちを脅かすナゾの男は、やっぱり柄本明がいい。ちょっと残念。2004.2.28

アイデン&ティティ
田口トモロヲ監督、みうらじゅん原作、宮藤官九郎脚本、峯田和伸、麻生久美子、中村獅童、大森南朋、マギー出演
☆「いか天」(と思われる番組)で、一躍有名になったバンドの栄枯盛衰を、ギタリスト中島の目を通して描いた青春ドラマ。売れる曲と本当に歌いたい曲の間で苦しむ中島君の前に、ボブ・ディラン似の「神様」が現われ、一家言を残していくっていう設定がユニークだった。お世辞にもかっこいいとは言えない中島が主役っていうのがgood。目立ちたがりのボーカル役が獅童、男前だけど技のないベース役が大森、小心者のお笑い担当役がマギー、というように、役柄と役者の個性もぴったりだった。世代的に共感できるので、存分に楽しめた。ただ、理想の彼女の存在はちょっとなあ。男の理想像は、女から見ると「説教くさくてうざい女」なんだよね。ディランと理想の彼女の発言もかぶっていた気がしたし。ちょい残念でした。2005.5.5

あずみ 
北村龍平監督、上戸彩、原田芳雄、小栗旬、成宮寛貴、小橋賢児、金子貴俊、オダギリジョー出演
☆戦国時代。暗殺者として育てられた少女が、果敢に敵に立ち向かうアクション時代劇。忍びの話は、昔から好きなので見てみた。上戸彩のがんばってる姿に拍手!われらがジョーは気味の悪い悪人役。これもさまになってました。
 ただ、昔から真田忍びのファンなので、ヒロインが徳川側の殺し屋っていう設定はちょっとなあ。忍びは体制側じゃなくて反体制側のほうが、悲壮感があっていい気がする。2005.2.4 参考CINEMA:「ヴァーサス」「スカイハイ

青い春
豊田利晃監督、松本大洋原作、松田龍平,新井浩文ほか出演
☆何を拠り所にしていいかわからない不良高校生の日常を淡々と描いた青春映画。松田龍平は九条役にぴったり。辛い結末だったが青木の選択はわからないでもない。「どうしていいかわからない」と、苛立っているのは子供たちだけではないってことだろう。2004.7.25

アカルイミライ
黒沢清監督、オダギリジョー、浅野忠信、藤竜也、笹野高史ほか出演
☆社会に適応できない雄二とクラゲの飼育に夢中の守は、おしぼり工場で働いている。ある日、工場長夫婦の殺人事件が起こり、守が犯人として捕らえられる。守の父親は守が何を考え、どういう日々を過ごしていたのかを知りたい、と思い、雄二に近づく。
夢か現実かわからないようなところで生きている2人と、それを理解しようとする父親の関係が、ベタベタしていなくて心地よかった。
ジョー演じる雄二の社会不適応加減は、現実離れしてはいるんだが、ひょっとしたらこういう幻のような人間は身近に存在するのかも。とっても不思議な気分になる映画だった。
オダギリジョー、やっぱりサイコー!私の目に狂いはなかった。世界デビューは近いぞ!浅野や、長瀬よりも可能性秘めた俳優だと思った。2003.10.13 参考CINEMA:「カリスマ

赤ひげ
黒沢明監督、加山雄三、三船敏郎出演☆言わずとしれた黒沢映画の傑作。加山雄三が三船扮する赤ひげの門下に入り、多くの患者と接するうちに、赤ひげの偉大さをしていく。すごくシンプルな映画で、黒沢さしさはあまり感じなかった。
ただ、こういう普通のドラマもやっぱりうまい。それはきっと、ワンシーンにたいするこだわりなんだと思う。山崎努が人のいい男を演じてたのが、新鮮だった。1999.12.11

あ、春
相米慎二監督、佐藤こう市、山崎努、冨士純子、藤村しほ、斉藤由貴☆公開時は話題にならなかったけど、キネ旬でトップだったので、借りてみました。2000年のトップを飾るに相応しいタイトルですね。
男はつぶれそうな証券会社に勤めるサラリーマン。妻の親と一緒に住み、はたからみれば、ごく一般的な家庭を築いている。そこへ、ある日、父親だという男が転がり込み、家族は翻弄される。父親役が山崎努なので、「早春スケッチブック」とダブってしまいました。
チャボが効果的に使われてて、ラスト、死んだ父親が腹巻きの中でひよこをかえすエピソードは、春の予感を感じさせてくれた。そうまい監督作品の中では、癖が無い作品。ハートヲーミングさは健在でした。2000.1.8

アドレナリン・ドライブ
矢口史靖監督、石田ひかり、安藤政信、松重豊☆さえない男女がひょんなことからヤクザの金を奪って逃走。ヤクザとの追いかけっこが始まる。サブ監督の作品と比べるとちょっとスピード感に欠ける。けど、それなりにおもしろかったかな?不死身のヤクザ役の松重豊がナイスでした。2000.4.24

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【イ i】

インファナル・アフェア 無間道 INFERNAL AFFAIRS ★★★
アンドリュー・ラウ監督、トニー・レオン、アンディ・ラウ、アンソニー・ウォン、エリック・ツァン、ケリー・チャン出演
☆やくざ社会で先入捜査をするスパイ警官と、警官になりすまし、ボスに情報をリークするスパイ・ヤクザの男と男の闘いを描いたフィルム・ノワール。期待してたけど、期待以上に格好よかったトニー・レオン! 哀愁漂う疲れきったスパイ警官の役がぴったり。どうしてあんなに色気があるのでしょうか。トニー主演の映画ではナンバー1だ。
スパイ同士の心理戦、ボスと警視の腹の探り合いなど、人間の心理ドラマもよく描けているし、暗号やモールス信号、携帯電話などを武器に使ったスパイ合戦もハラハラドキドキの連続。
極上のエンターテイメントに仕上がっていた。
両スパイの女関係もチラチラ出てはくるんだが、箸やすめに徹していたのがまたよかった。
男の友情ものに弱い私にはたまりませんっ!
ハリウッドが欲しがるのも納得。ほんと、ひさびさにドキドキしっぱなしでした。
アンディ・ラウ、老けてひと皮むけた感じ。悪役も見事に演じきっていた。トニー様ばかりでなくアンディにも拍手を送りたい。さすがスター! 2003.11.1 参考CINEMA:「ディパーテッド」

インファナル・アフェア 無間序曲 INFERNAL AFFAIRS U ★★
アンドリュー・ラウ監督、エディソン・チャン(若き日のラウ)、ショーン・ユー(若き日のヤン)、アンソニー・ウォン、エリック・ツァン、カリーナ・ラウ出演
☆大ヒット映画の続編は駄作が多いから、あんまり期待してなかったんだけど、見事に期待を裏切ってくれました!やっぱりマフィアものはいいねえ。「インファナル・アフェア」シリーズは、香港版「ゴッドファーザー」といえるでしょう。
 1作目主演二人(トニーとアンディ)の若き日の話なんだけど、2作目では、二人の上役である香港マフィアのサムと、警部ウォンの友情を中心に描いている。
 マフィアと警察が、それぞれ多数のスパイを送りこんでるから、誰も信じられない世界なんだけど、そんな中でも、人は人を信じようとするし、愛そうとするのです。常に緊張状態にあるから、ささやかな信頼関係が、ものすごーく美しく見えて、胸にぐっときた。
 サムとウォンの男の友情もかっこいいし、サムと妻マリーの深い愛もまた美しい。カリーナ・ラウはかなり老けてたけど、たるんだ肌が姐さん役にぴったり。ますますいい女優になったわねえ。
 香港フィルム・ノワールの集大成ともいえるシリーズ。3作目もおおいに期待しちゃいましょう!2005.3.10

インファナル・アフェア3 無間道V終極無間 INFERNAL AFFAIRSV ★★
アンドリュー・ラウ監督、アンディ・ラウ、トニー・レオン、レオン・ライ、ケリー・チャン出演
☆けっこう複雑な話なので、英語字幕だけで理解できるか不安だったけど、ストーリーの筋なんか気にせず、存分に楽しめた。シリーズの番外編という感じ。
 トニー扮する潜入刑事の死にさいなまれ、もがき苦しむ惨めな男を、アンディが見事に演じていた。アンディ最高!
 レオン・ライは、アンディがマフィアのスパイと疑う敏腕刑事を演じていたんだけど、見るからに嫌味なエリート刑事。最後まで「これが、あの素朴なレオン・ライ?」って信じられなかった。うまい役者だとは思うけど、やっぱりトニーとアンディに比べたらオーラがないんだよなあ。
 ただ、トニー・レオンとケリー・チャンのカウンセリングのシーンは少々長すぎ。トニーのファン向けのサービス・シーンってことが見え見えだった。まあ、私もトニーのファンですし、エンターテイメントだからよしとしましょう。 3シリーズ全部DVDでたら、買うぞー! 2005.4.3 第29回香港国際映画祭にて

イギリスからきた男
スティーブン・ソダーバーグ監督、テレンス・スタンプ出演☆娘の死んだ原因をさがして、ムショ帰りの男が暴れまわる。テレンス・スタンプの存在感が光っていたが、それだけの映画だった。2001.6.2 参考CINEMA:「トラフィック」 「オーシャンズ11、12」「エリン・ブロコビッチ

イグジスタンス
デビッド・クローネンバーグ監督、ジュード・ロウ、ジェニファー・ジェイソン・リー、イアン・ホルム、ウィレム・デフォー出演☆ビデオゲームの試作会。人間の脊髄にプラグを差し込み、バーチャルなゲームを体験する世の中で、ゲームデザイナーとその護衛が、現実かゲームだかわからない、危ない世界を体験する。これぞクローネンバーグ・ワールド。いやらしいゲーム器と人間の脳を刺激するバーチャル世界。今晩、夢に見そう。2000.10.28 関連CINEMA:「スパイダー」ヒストリー・オブ・バイオレンス

イメルダ イメルダ Imelda
ラモーナ・ディアス監督
☆悪名高いフィリピン元大統領夫人、イメルダの半生を追ったドキュメンタリー。子供の頃から美人で目立っていたイメルダが大統領夫人にまで上りつめ、そこから激動の人生を送ることになる。
 英語がはやくて、詳細はほとんど理解できなかったのだが、イメルダは根っから自己顕示欲の強い女のようだ。まだまだ這い上がろうとしているよ、このおばさん。ある意味尊敬します。デビ夫人と通じるものを感じだ。もう1度、日本語字幕つきで見てみたい。2004.10.11 第9回釜山国際映画祭にて

異邦人たち 有時跳舞
スタンリー・クワン監督、大沢たかお,ミッシェル・リー,スー・チー,桃井かおり出演
☆香港近くの孤島に隔離された無国籍な人々を描いた超感覚的映画。映像がクリストファー・ドイルっぽくておしゃれだった。大沢たかおはやっぱりいいねえ。桃井かおりの存在感がすごかった。2004.5.30 参考CINEMA:「ルージュ

愛しのローズマリー
ボビー・ファレリー,ピーター・ファレリー監督、ジャック・ブラック、グウィネス・パルトロウ出演
☆真面目な父親が「綺麗な女と結婚しろ」という言葉を残して死んでいったために、美人にしか目のいかなかった男が、ある心理学者に「女性の心を見るようになる」という暗示をかけられたことから、女性にもてるようになるラブ・コメディ。
デブやブスが綺麗に見えてしまうという設定と、ジャック・ブラックのキャラが傑作。ただ、グウィネスのパパがジャックの上司っていう設定がありきたり。私の好みとしては、もうひとひねり欲しかった。2003.4.5 参考CINEMA:「メリーに首ったけ

イン・ザ・ベッドルーム
トッド・フィールド監督・脚本(俳優として「アイズ・ワイド・シャット」にも出ているらしい。まだ30代。今後に期待)トム・ウィルキンソン、シシー・スペイシク、マリサ・トメイ出演
☆大学生の息子が彼女の夫に殺された。だが、犯人は事故だったと言い逃れ、保釈されてしまう。
息子の死の受け止め方は夫と妻で違うものの、痛みは同じ。夫と妻の苦しむ姿がひしひしと伝わってきて、見ている自分まで心が痛くなった。泣いて騒いだりしないんだけど、静かな二人の演技がすごかった。(フル・モンティでヌードを披露したウィルキンソン。別人みたいだった。芸達者!スペイシクは厳格な母親役がぴったり。マリサ・トメイを平手打ちしたときは、怖かったー。
ただ物足りなかったのは、マリサ。うまい女優なのに、あんまり生かされてなかった気がした。)結局、報復という道を選んでしまった夫婦のその後は、一生、暗闇のままだろう、と思わせるエンディングは辛すぎた。2003.5.24
後日雑感:
 明らかな悪意を持って愛する人を奪われたとき、私だったらどうするだろう、と、もう一度あらためて考えてみた。
テレビや映画で見るだけだった被害者の苦しみは所詮他人事である。
「かわいそう」「ひどい」なんて言いながら、1分もたてば忘れている。
だから「辛いだろうけど報復はよくない。報復しても亡くなった人は戻ってこないよ」なんて、平然と正義を主張できるのである。
 しかし、もし、身近な人が殺されたら、そんなキレイ事を言っていられるだろうか。
私も報復したくなるだろうし「殺された人以上の苦しみを味わって死ね!」と思うだろう。
そして、もし、法が裁いてくれないのなら、この映画の中の夫婦のように、自ら罪を犯すかもしれない。
 事件被害者の気持ちは体験したものにしかわからない。
「報復反対なんてきれい事だ」心からそう思ったのは残念ながら映画を見たからではない。
殺意を持って人を殺した人間に、今の私は極刑を望みたい。2003.8

イン・アメリカ/三つの小さな願いごと IN AMERICA
ジム・シェリダン監督、サマンサ・モートン、パディ・コンシダイン、サラ・ボルジャー、エマ・ボルジャー出演
☆幼い息子を亡くして立ち直れない夫婦が、アイルランドからNYに移住。貧困生活の中から生きる希望を模索していく。
 子役二人が上手。エイズのアーチスト、マテオと子供たちが触れ合うシーンが胸を打った。前評判がよかったので期待したが、正直「いい映画」という以上の感動はなかった。私って冷血人間なのかなあ。ちょっと罪悪感を覚えた。2004.10.18

イン・ザ・カット IN THE CUT
ジェーン・カンピオン監督、 ニコール・キッドマン製作、メグ・ライアン、マーク・ラファロ、ジェニファー・ジェイソン・リー、ケヴィン・ベーコン出演
☆女性教師の周りで猟奇殺人事件が発生。女は担当刑事へ疑いを抱くが…。
 純文学的映画の多いカンピオン監督が、コメディ女王メグをどう料理するか見ものだったが、メグの体当たり演技に脱帽。マーク・ラファロはかっこよくないんだけどセクシー。ストーカー役のケヴィン・ベーコンは、タイトルロール見るまで気づかなかった。女性の目から見た女性のための官能映画とでもいおうか。「ピアニスト」と見比べてみるのもいいかも。2005.1.16 参考:脇役(マーク・ラファロ

インソムニア
クリストファー・ノーラン監督、アル・パチーノ、ロビン・ウィリアムズ、ヒラリー・スワンク出演
☆アラスカの小さな町にカリフォルニアから名刑事が助っ人としてやってくる。
名刑事は、実は、内部告発されていて、調査官に正直に話すという部下を捜査の途中であやまって射殺してしまう。その事実を隠し、少女殺人犯のせいにしようとするが、その犯人に現場を見られていたことから、強迫されてしまう。
 ストーリーは、どうってことのないサスペンスなのだが、インソムニア(不眠症)におちいった刑事の目からみると、一生抜けられない悪夢のように見えてくる。
さすが、「メメント」の監督だけあって、眠れないアル・パチーノの目からみた悪夢の映像は見事だった。ただ、犯人がちょっと弱い。もっと猟奇的な怖さが欲しかった。2003.5.24 参考CINEMA:「メメント

イン・ディス・ワールド
マイケル・ウィンターボトム監督、ジャマール・ウディン・トラビ 、エナヤトゥーラ・ジュマディン出演
☆実際にパキスタンの難民キャンプで暮らす少年を主演に起用し、ロンドンまでの危険で過酷な旅を事実を基にドキュメンタリー・タッチで描いた作品。
 アフガン難民のジャマールと従兄弟のエナヤットは、将来のためにロンドンへ不法入国を試みる。途中、警官に捕まって連れ戻されたり、真夜中に雪山越えをするなど、さまざまな困難を乗り越え、ついにトルコに到着。二人は地中海を渡るため、貨物船のコンテナに乗り込むが、そこで悲劇が起こる。
コンテナのなかで「出してくれ」と叫ぶシーンはフィクションだと知っていても息が苦しくなるぐらい辛いものがあった。命をかけても現状から逃れたい。そう思う気持ちを日本人が理解しようとしても無理なことである。でも、実際に自由と平和を得るために命をかける難民が大勢いるのだ。その事実を知っただけでも、見るに値する映画だった。2003.12.14 参考CINEMA:「コード46」「24アワー・パーティー・ピープル

インドシナ
レジス・ヴァルニエ監督 カトリーヌ・ドヌーブ、 ヴァンサン・ペレーズ、リン・ダン・ファン出演
☆1900年代。ベトナムのゴム園経営者の波乱の人生をベトナム独立運動と絡めた大作。
ドヌーブの美しさと気高さが際立っていた。ドヌーブが若い男に翻弄されるとことか、養女と元彼氏が運命的な出会いをするシーンとか、とってつけたような展開が気になったけど、ベトナム戦争の前にフランスからの独立運動が起こったことをよく知らなかったので興味深くみれた。この映画見た後で「地獄の黙示録最新版」を見ればよかった。2003.9.7 ベトナム旅行記はこちら

インサイダー
マイケル・マン監督、ラッセル・クロウ、アル・パチーノ出演☆大手たばこ会社を突然解雇された男が、「ニコチンには中毒性はない」と嘘の証言をした重役たちを告発した実話をドラマチックに描いた作品。マイケル・マン監督作なので、過剰演出が気にはなったけど、テレビ界の裏事情がよく描かれていたし、ラッセルも苦悩する男をうまく演じていた。ウォーターゲート事件を暴いた「大統領の陰謀」と「エリン・ブロコビッチ」がミックスされたような出来。 2001.3.11 参考CINEMA:「アリ」「コラテラル

イン&アウト
フランク・オズ監督(Sウォーズのヨーダの声!) ケヴィン・クライン、マット・ディロン、ショーン・キューザック出演☆ゲイと間違われた教師がゲイだと自覚するまでをコミカルに描いた作品。アカデミー賞のシーンはパロディがいっぱい。ブラピをおちょくってるのが最高。そういう意味ではおもしろかった。玄人うけする映画だね。
けど、思ったほど笑えなかったな。やっぱり、アメリカンの笑いってついていけない時がある。私は日本人だから、日本の笑いがやっぱり一番なのかな。2000.1.23 参考CINEMA:「ステップフォード・ワイフ

インディアナポリスの夏
マーク・ペリントン監督、ジェレミー・デイビス、ベン・アフレック出演☆50年代のアメリカの田舎町。戦争から戻ってきた2人の若者の青春と旅立ちを描いた作品。さえない男と格好いい男の友情と性、恋、夢。昔から語り継がれてきた定番ストーリー。キャラ的には「らすと・しょー」に近いものがあった。日本で言えば「おれたちの旅」。あこがれの女性を前に、舞い上がって酒飲み過ぎて、いざというときにできなくて、軽蔑されて落ち込む主人公みて、男の子って繊細なんだ、と実感。でも、初々しくていいわ。なんて思っちゃいました。2000.4.25

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【ウ u】

ドンマッコル゙ ウェルカム・トゥ・ドンマッコル(邦題:トンマッコルへようこそ) Welcome to Dongmakgol ★★
パク・クァンヒョン監督、チョン・ジェヨン、シン・ハギュン、カン・へジョン出演
☆朝鮮戦争の最中、山の中で道に迷った北の兵士と南の兵士、そして米兵が、ドンマッコルという桃源郷のような村にたどり着く。はじめはお互いに銃を向け合い敵対しあっていたが、戦争とは無縁の暢気な村人やむじゃきな娘と触れ合ううちに、本来の人間らしさを取り戻していく。
 コミカルな人間ドラマなのだが、殺し合うことのむなしさや、南北統一への思いなど、メッセージ性の強い作品だった。130分という長さも感じないぐらいストーリー展開も工夫されていた。韓国で大ヒットしたのもうなづける。手榴弾が爆発し、蔵のとうもろこしがポップコーンになって宙を舞うシーンは圧巻。
もともとは舞台の作品だったようだが、こんな完成度の高い作品&豪華キャストの映画を新人監督が撮ったということに驚かされた。韓国映画界にはほんと頭が下がります。日本でも絶対に公開してほしい1本である。2005.10.7  参考PAGE:第10回釜山国際映画祭 脇役たち(シン・ハギュン

ウェイ・トゥ・ゴー、ローズ Way to go ,rose ★★
Kim Eung Su監督、Kim Tae-hoon, Choi Ban-yah出演
☆刺激のない結婚生活に飽きてしまった妻が夫に恋人同士のようなデートをしようと言い出すが、二人の気持ちはかみ合わない。数年後、離婚した二人が久しぶりに会ってみると、今度は、映画監督になった夫が妻への未練がたっぷりで…。
 喧嘩ばかりしてなかなか噛み合わないけど、お互いに相手のことを放っておけない。そんなもどかしさが伝わってきて、感情移入できた。日本語字幕があったらもっと楽しめた気がする。役者二人の演技はコミカルなんだけどリアル。よくできたコメディだった。二人でパン屋を襲撃するシーンがケッサク。ラスト、バスの窓から元夫が元妻に気持ちを告白するシーンは、お決まりではあるんだけど、ちょっとホロっときた。長塚(息子)似の俳優、味があってよかった。ほかに何でてるんだろ。2005.10.10 参考PAGE:第10回釜山国際映画祭

ウィズアウト・ユー Without You
フィル・ジョアノー監督・脚色、スティーブン・ドーフ、U2出演☆映画監督のスティーブが、映画製作のゴタゴタと恋人との関係に悩まされるさまをミュージッククリップのようなポップ感覚で撮った映画。ヤッパリ、スティーブンは最高。今後も期待したい。ただ、映画的にはちょっと期待外れ。恋人との話がありきたりでつまんない。結局、振られて「3年後、ぼくにはまだ恋人がいない」で終わったんだけど、それも忘れてたほど、印象のうすいラブストーリーだった。2000.7.16

ウェルカム トゥ コリンウッド WELCOME TO COLLINWOOD
アンソニー・ルッソ、ジョー・ルッソ監督、サム・ロックウェル、ウィリアム・H・メイシー、ジョージ・クルーニー出演
☆大もうけできる強盗話を聞いた男たちが協力して大仕事に挑もうとするが、失敗続き…。まあまあ笑えたかな。役者のうまさに助けられてた感じ。サム・ロックウェル、注目の俳優です。(「マッチスティック・メン」「コンフェッション」)

ウェルカム・ドールハウス
トッド・ソロンズ監督、ヘザー・マタラッツォ、エリック・メビウス、ブレンダン・セクストン・Jr、ダリア・カリーニナ出演
☆ブスでいじめられっ子の女の子は、性格も歪んでて、でも、そんなブスの不器用な生き方に共感を覚えた。結局、自分を理解してくれる人は去ってしまうんだけど「強く生きよう!世の中そんなもんだ」と思わせる楽観的なラストがよかた。2001.1.13 参考CINEMA:「ハピネス」「ストーリーテリング

海を飛ぶ夢 THE SEA INSIDE
アレハンドロ・アメナバール監督・脚本、ハビエル・バルデム,ベレン・ルエダ,ロラ・ドゥエニャス出演
☆1968年、25歳のときに事故で首から下が麻痺になり、以来30年もの間自由を奪われた男性が、尊厳死を選ぶ自由を得ようとする。
 尊厳死や安楽死といったテーマは賛否両論ある。自由のない生活に自ら終止符を打ちたいという気持ちもわかる気がするし、不自由であっても周りに助けられ感謝しながら精一杯生きることも、また素敵なことだと思う。
 だから私は賛成でも反対でもどちらでもない。生きるのも死ぬのも人の自由だ。それをまわりがとやかく言うことじゃない。
 どっかの司教に「尊厳死を望むラモンは愛に飢えているのだ。周りの愛情が足りないのだ」とテレビで言われ、ラモンが憤るシーンは、彼の無念がひしひしと伝わってきて、思わずくやし涙が出そうになった。
 ハビエル・バルデムは「夜になる前に」とは別人のよう。ほんとに化けるのがうまい役者だ。へんにハリウッド映画に進出しないで、このまま、いい作品に出続けてほしい。2005.4.29 参考CINEMA:「オープン・ユア・アイズ「夜になる前に」

海の上のピアニスト
ジョゼッペ・トルナトーレ監督、ティム・ロス出演☆1900年、ヨーロッパとアメリカを結ぶ客船で捨てられた男の子が船の中で育ち続け、ピアノの才能を開花させる。が、陸に降りることを拒否した男は、古くなった船と一緒に爆死してしまう。黒人のジャズミュージシャンとのバトルは圧巻。トランペッターの回想ですすむんだけど、それがちょっと判りずらかった。途中、寝てしまったのもあって、想像していたよりあっさりした映画だった。2000.12.17

裏切り者 THE YARDS
ジェームズ・グレイ監督、マイク・ウォールバーグ、エレン・バーステイン、フェイ・ダナウェイ、ジェームズ・カーン、シャーリーズ・セロン、ホアキン・フェニックス出演
☆新旧うまい役者が勢揃いのシリアスドラマ。華やかさはないけどあとからジワジワくる映画だった。出所した男が従姉妹の彼氏にはめられて、殺人犯人にしたてあげられる。実は男と従姉妹は互いに愛し合っていて、親友であったはずの男二人が憎しみあうようになる。みんなそれぞれ渋い演技してるんだけど、やっぱり落ちていく男ホアキンガ最高でした。

運命の女 UNFAITHFUL
エイドリアン・ライン監督、ダイアン・レイン リチャード・ギア出演
☆何ひとつ不自由のない美人妻が、刺激を求めて不倫に走ったことで悲劇を向かえるエロ・サスペンス。エイドリアン・ラインは色っぽい映画を撮るのがうまいよなあ、と関心しながら見ていた。
ダイアン・レインの演技は女優賞総ナメにするほどよかったとは思わなかったけど、子役あがりの割に、上手な年のとり方をしている。
真面目なだけがとりえの夫が妻の浮気を知って取り乱す姿が惨めったらしくて、私としてはリチャード・ギアの演技のほうに目がいってしまった。男と女でまったく感想が違ってくる映画だと思った。2004.2.7

ウンザ・ウンザ −スーパー8−
エミール・クストリッツア監督
レビューはCINEMAの監督たち(E・クストリッツア)

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【エ e】

エレファント ★★
ガス・ヴァン・サント監督ジョン・ロビンソン、アレックス・フロスト、ティモシー・ボトムズ出演
☆祝!ガス・ヴァン・サント復活!ハリウッドに毒されて地に落ちたかと思ったけど、復活してうれしい。コロンバイン高校で起きた高校生の銃乱射事件を題材にしたドキュメンタリー風映画。 被害者の高校生たちは、いたって普通の生活を送っていて、それをハンディカメラで追いかけているだけ。長い廊下を緊張感なく歩く姿を、背中から執拗に撮り続けるシーンが何度もあるんだけど、そんな何気ない映像に、なんともいえない閉塞感というか、むなしい感じが表現されていた。
 一人一人が廊下ですれ違ったりしているだけなんだが、その見せ方、構成の仕方が絶妙。全然飽きずに見れてしまうのがすごい。はっきりした問題提起はされていないけれど、表現し難いやり切れなさが伝わってくる力作だった。ティモシー・ボトムズ復活に感激。「ラストショー」の主役とこんな形で再会できるとは!2004.3.28 参考CINEMA:「グッドウィル・ハンティング」「小説家を見つけたら」「ジェリー

永遠と一日 ★★★
テオ・アンゲロプロス監督、ブルーノ・ガンツ出演☆芸術映画とはこういうものを言うんだよ、カラックス監督。と、いいたくなったよ。すべてのシーンが絵画を見てるように美しいの。黒と黄色と白をシーンによって使いわけて、人の配置もすべて計算されてる。死を前にした孤独な詩人が、街をさまよいなが過去を振り返っていく。窓拭きの少年も寂しげな顔をして、それが愛しく思えた。さすが、といえる映画だった。2000.10.14

LAコンフィデンシャル ★★★ 1998 My Best1 CINEMA
ジェームズ・エルロイ原作、カーティス・ハンソン監督、ラッセル・クロウ、ガイ・ピアース、ケビン・スペイシー、キム・ベイシンガー、ダニー・デビート、デビッド・ストラーザン、ジェームズ・ロックウェル出演
☆原作もよかったけど、映画はそれ以上にかっこいい!サスペンスを盛り上げるスピードのある展開にあっというまに引き込まれた。ちょい複雑な話なんだが、原作を前編だけ読んでおいたのが幸いした。サスペンスものは原作を途中まで見てから、映画を見るとより深く楽しめることを発見。
人間関係が複雑に入り組んでいて、ドンデン返しが圧巻。この面白さはヘボ評論家なためうまく説明できないんだけど、スピード、映像、役者、すべてがうまく絡み合った久々の傑作だ。参考CINEMA:「ワンダー・ボーイ」「8マイル」「イン・ハー・シューズ

エターナル・サンシャイン ETERNAL SUNSHINE OF THE SPOTLESS MIND
ミシェル・ゴンドリー監督、チャーリー・カウフマン脚本、ジム・キャリー、ケイト・ウィンスレット、キルステン・ダンスト、マーク・ラファロ、イライジャ・ウッド、トム・ウィルキンソン出演
☆恋人が自分を忘れる手術(?)を受けたと知りやけになった男が、自分も同じ手術を受けようとする。しかし施術中、彼女を忘れたくない思いが強くなり、脳のなかで、さまざまな葛藤がはじまる。
 ざっとこんな話なんだけど、過去と現在と記憶の中とが、ごちゃごちゃに入り混じって、なにがなんだかわかんなーい。奇想天外なかなりいっちゃってる映画だった。近頃のチャーリー・カウフマンの世界には正直、ついていけない。私の脳の回転が劣ったせいかもしれないけど。2005.12.31

エデンより彼方に FAR FROM HEAVEN
トッド・ヘインズ監督、ジュリアン・ムーア、デニス・クエイド、デニス・ヘイスバート出演
☆50年代のアメリカ。絵に描いたような幸せな家庭を切り盛りする主婦が、夫の隠された性癖を知り、自分自身も黒人の庭師に恋心を抱くようになる。
 現代なら、夫婦共々こんなに苦しむことはないんだろうなあ。完璧な妻は、私が苦手な優等生だったので、感情移入できなかったが、自分の性癖に思い悩む夫には、ちょっと同情してしまった(デニスがお気に入り、ということもあるのだが)。主婦が恋する庭師は、「24」の上院議員の印象が強すぎて庭師に見えなかった。ジュリアン・ムーア、太っておばチャンくさくなったなあ、と思ったら妊娠中だったらしい。2004.5.3

永遠のマリア・カラス CALLAS FOREVER
フランコ・ゼフィレッリ監督、ファニー・アルダン、ジェレミー・アイアンズ出演
☆伝説のオペラ歌手、マリア・カラスの晩年を虚実取り混ぜて描いたオペラ映画。昔のように声が出なくなったマリアのもとに、全盛期の録音と今の映像を重ねて映画を作るという話が持ち上がる。
 「サンセット大通り」の老女優のように、過去の栄光にしがみつき苦悩するマリアが、現実を見つめるようになるまでを高貴に描いていた。ちょっと退屈なところもあったが、マリアの声はやっぱり圧巻。マリアの波乱万丈の人生をもっと知りたくなった。余談:映画館ではじめて見たアメリカ映画「チャンプ」がゼフィレッリ監督だったってはじめて知った。クラシック音楽のイメージが強かったので意外。2004.6.19

A.I.(Artistic Inteligence)
スティーブン・スピルバーグ監督、ジュード・ロウ出演
☆子供の妊娠が自由にできなくなった未来。人はロボットによってセックスを楽しみ、子供までもロボットで代用していた。そこで、初めて開発されたロボットは親を愛することをインプットされた感情を持った子供のロボット。はじめは愛されていたのだが、実の子供が戻ってきて悲劇がおこる。子供ロボットの悲惨な運命は、どこまでも救われない。それがつらいんだけど、どっか、ほんとに、人の愛情ってなんなんだろう?と考えてしまう哲学的な映画だった。このへんは、亡きキューブリックに描いてもらいたかった。哲学とファンタジーと、CGがまざったちょっとかわった映画だった。「2001年宇宙の旅」のようでもあり「ブレードランナー」のようでもあり、オリジナリティを感じなかったんだよね。嫌いな世界じゃないんだけどなあ。残念。 2001.7.18 参考CINEMA:「マイノリティ・レポート」「ターミナル」「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」「ミュンヘン

英国万歳
ニコラス・ハイトナー 監督、ナイジェル・ホーソーン,ヘレン・ミレン,イアン・ホルム,ルパート・エヴェレット出演
☆精神をやんだ英国皇帝の復活までの話をシニカルに描いている。2001.6.10

エニイ・ギブン・サンデー ×
オリバー・ストーン監督、アル・パチーノ、キャメロン・ディアス、L・L・クールJ、デニス・クエイド、ジェームズ・ウッズ出演☆あるアメフトチームの内情をリアルに描いた作品。アメフトのことがまったく知らないので楽しめなかった。ドラマチックなラストに、“ストーン臭”を感じて不快になった。デニス・クエイドはいつみても男前だ。癖がないからどんな役でもこなせるし。なかなかのバイプレーヤーだと私は買っているのだが。なんで、メグ・ライアン別れちゃったんだろ。もったいなーい。 2001.2.4 参考CINEMA:「アレキサンダー

エリン・ブロコビッチ
スティーブン・ソダーバーグ監督、ジュリア・ロバーツ、アルバート・フィニー出演☆大企業の六価クロム垂れ流しの実体に職にあぶれたヤンママが挑んで、みごと史上最高の調停金額を勝ち取る話。実話らしいけど、ジュリアがぴったり。主演女優賞、納得だわ。何も知らない女があんなに大きな仕事をいきなり出来るのだろうか?という疑問もあるけど、いい意味でのアメリカンドリーム。ソダーバーグ監督らしからぬ正攻法な演出で、TVドラマを見てるようだった。エリンの上司の弁護士(A・フィニー)とのコンビが絶妙。PG&E社ってP&Gのこと?原作あったら読んでみたい。 2001.2.12 参考CINEMA:「トラフィック」 「オーシャンズ11、12」 「イギリスから来た男」「アウト・オブ・サイト

エリザベス
シェカール・カプール監督、ケイト・ブランシェット、ジョセフ・ファインズ、ジェフリー・ラッシュ、クリストファー・エクルストン、リチャード・アッテンボロー、ファニー・アルダン出演☆現在のイギリス王室を作ったエリザベス1世が絶対君主政を行うまでの波乱の人生を正攻法で描いた作品。無表情だけど気品のあるケイトの演技が光っていた。ただ、ちょっと退屈なところもあったかな。ま、あまりドラマチックにしてないのも好感がもてた。イギリスの歴史ってあまりしらないから、ちょっと勉強したくなりました。2000.5.27

エドTV
ロン・ハワード監督、マシュー・マコノヒー、ウディ・ハレルソン、ロブ・ライナー、デニス・ホッパー出演☆一人の素人の毎日をテレビで中継するという発想が、トゥルー・ストーリーとだぶってるので、つい比較してみてしまった。男の日常がかわっていくのは想像できることだから、そこにもっともっと毒がほしかった。結局、主役と彼女との恋の話で終わってるんだもの。いい役者いっぱいそろえたんだから、もったいないよ。ホッパーはあっさり死ぬし。2000.11.23 参考CINEMA:「ビューティフル・マインド」「シンデレラ・マン

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【オ o】

オール・アバウト・マイ・マザー  ★★
ペドロ・アルモドバル監督
レビューはCINEMAの監督たち(アルモドバル)

オアシス OASIS  ★★
イ・チャンドン監督、ソル・ギョング、ムン・ソリ出演
☆社会のはみ出し者と脳性麻痺の女性が不器用に愛を育む純愛映画。障害者の映画ってお涙ちょうだいモノになりがちなので苦手なんだけど、この映画には心を突き動かされた。ソル・ギョングの強烈な個性と、ムン・ソリの体当たり演技に圧倒されっぱなし。
 心ない家族から利用されても言い返せない二人をもどかしく思ったりしたけど、そう思うこと自体が薄っぺらいことなのかもしれない。二人にとっては、はじめから周りの理解なんてどうでもいいことなのだろう。お互いの気持ちが本物でさえあれば、距離も時間も障害にならない。そんな愛の強さに、最後には涙してしまいました。2005.4.16 参考CINEMA:「ペパーミント・キャンディ

オールドボーイ Old Boy ★★
パク・チャヌク監督、土屋ガロン原作、チェ・ミンシク、ユ・ジテ、カン・ヘジョン出演
☆ある男が何者かに拉致監禁され15年後に解放される。犯人の目的は何だったのか…。男は執拗に真実に迫っていく。
 15年も監禁されるなんて、想像しただけで気が狂いそうだが「監禁ビジネス」というのもアジアのどっかの国ではありそう。犯人の本当の目的を知ろうとする男と、一緒になって謎解きしてたので、見終わった後でどっと疲れた。暴力シーンがかなりハードで心臓バクバクしてしまったが、単なるバイオレンス映画とは違って、犯人にも同情したくなる説得力のある展開だった。カンヌでグランプリも納得の力作。たった一度の軽口が人の一生を狂わすこともあるんだよなあ。思わず、自分の過去の過ちを振り返ってしまった。2004.11.6 参考CINEMA:「JSA」「復讐者に憐れみを」「親切なクムジャさん」「美しい夜、残酷な朝

オー、ブラザー! ★★
ジョエル&イーサン・コーエン監督、ジョージ・クルーニー、ジョン・タトゥーロ、ティム・ブレイク・ネルソン、ジョン・グッドマン出演
☆びしょぬれブラザーズ万歳! 何かに似てる、と思ったら「ブルース・ブラザーズ」だ。歌あり、笑いあり、涙あり。私がもっとも好きなタイプのコメディ映画だった。オバカな脱獄3人組の珍道中。細かいことはいいっこなし。ブチキレ・キャラがたくさんでてくるのは、さすがコーエン兄弟。2001.10.31 参考CINEMA:「バーバー」「レディ・キラーズ」「ディボース・ショウ

オール・ザット・ジャズ
ボブ・フォッシー監督、ロイ・シャイダー、ジェシカ・ラング出演
☆「シカゴ」の生みの親フォッシーが監督した自伝的ミュージカル。女たちに愛され天性の才能に恵まれたミュージカル監督が、女とドラッグに溺れ、身体がボロボロになりながらも新作に取り組んでいく。夢と現実が錯綜した映像世界は嫌いじゃない。死体がビニールに包まれてThe Endというのが70年代っぽくて良かったのだが、正直、踊りに乗れなかった。2003.5.5 参考CINEMA:「シカゴ

O(オー)
ティム・ブレイク・ネルソン監督、ジョシュ・ハートネット、ジュリア・スタイルズ、メキ・ファイファー、マーティン・シーン出演
☆学校のスターである黒人のバスケット選手に嫉妬し、破滅に追い込もうとする少年が主役の学園犯罪ドラマ。自分よりもスターである友人ばかりをかわいがる父に対する反発から、残酷な鬼となってしまった、という設定はよくわかるんだけど、それよりも少年の短絡的な行為が目立っていたのが現代の若者の病といえるのかもしれない。それにしても、少年に振り回される回りの子供たちがみんな愚か。自滅していく黒人少年は、潜在的に暴力的なものを持っていたのだろうし、浮気相手に仕立て上げられた少年や恋人も、潜在的に黒人差別の気持ちを持っていたからこそ、あの少年の策略にまんまとかかってしまったんだろう。見ていて、辛くなる映画だった。2002.9.22

オーシャンズ12  OCEAN'S TWELVE
スティーヴン・ソダーバーグ監督、ジョージ・クルーニー、ブラッド・ピット、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ、アンディ・ガルシア、ヴァンサン・カッセル、アルバート・フィニー出演
☆盗っ人集団オーシャンズは、復讐を誓うベネディクトらに居所を知られ窮地に立たされる。再び大きなヤマを狙う彼らの前に、フランス人の盗っ人が挑んでくる。相変わらずのとっ散らかり映画。ゼタ=ジョーンズって昔のデミ・ムーアに似てるよなあ、なんてどうでもいいこと考えながら見てたもんだから、さっぱり話がわからず。唯一の存在感は1シーンだけ出てきたアルバート・フィニーでした。&バックに流れる音楽がかっこよくて乗せられた。2005.11.3 参考CINEMA:「トラフィック」 「エリン・ブロコビッチ」 「イギリスから来た男」「アウト・オブ・サイト

オーシャンズ11
スティーブン・ソダーバーグ監督、ジョージ・クルーニー、ブラット・ピット、マット・デイモン、ジュリア・ロバーツ、アンディ・ガルシア出演
☆超豪華なオールスター映画。11人の男たちがラスベガスの売上金をくすねるという強盗活劇。だましのテクニックとトリックはさすがに見応えあったけど、なんかゲームみてるみたいだった。ジョージ・クルーニーの「テレビの俳優が映画にうつるのは難しいだろ」っていう台詞が笑えた。2002.8.24 参考CINEMA:「トラフィック」「エリン・ブロコビッチ」 「イギリスから来た男」「アウト・オブ・サイト

オープン・ユア・アイズ
アレハンドロ・アメナバール監督☆ 若くてハンサムな男が事故で顔に大きな傷を負う。自分の顔に対するコンプレックスと好きな女に冷たくされたことで、ある謎の会社へ助けを求め、それによって悪夢かゲームのような世界が訪れて…。ストーリーもおもしろいけど、構成が変わってる。なので、途中で寝てしまったので、よくわからなかった。見直して、やっと納得したよ。  スペインって芸術の国だから、美に対する意識がたかいのかも。醜さへのコンプレックスって女性的な感じがするけど。醜くなって悲劇が訪れるっていうのはやりきれない。 2000.5.27 参考CINEMA:「海を飛ぶ夢

おいしい生活
ウディ・アレン監督・主演、トレイシー・ウルマン、ヒュー・グラント出演
☆バカなこそドロが銀行の2件隣の店からトンネル掘って銀行強盗しよう、と考えたことから始まった棚ぼた人生。
アレン映画にしては、ずいぶんわかりやすいありがちな展開だったが、あいかわらず台詞はアレン節炸裂してた。アレンはいつも間抜けなインテリ役が多かったのに、今回は根っからのアホ男をやってた。でも、逆にアホなやつほど周りがよく見えてるもので、気がついたら一番まっとうなことを言ってるのがアレンだった、というラストがgood。欲を言えばもう一つひねりが欲しかったかな。個人的な好みからすれば、はじめに銀行強盗を計画したアホバカ脇役をもう少し広げてほしかった。2003.4.18 参考CINEMA:「スコルピオンの恋まじない」「セレブリティ」「さよなら,さよならハリウッド」「マッチポイント

おかしな二人
ニール・サイモン監督、ジャック・レモン、ウォルター・マッソー出演
☆何でもかんでも細かくてウジウジした男と、おおざっぱなヤンキー男が、奇妙な二人暮らしをはじめたことでおこるドタバタ・コメディ。ニール・サイモンらしい漫才のようなやりとりが冴えてる作品。ジャック・レモンは几帳面で真面目すぎる男をやらせたらナンバーワン! でも、やっぱり「お熱いのがお好き」が最高かな。2001.1.2

オスカー・ワイルド
ブライアン・ギルバート監督、スティーヴン・フライ、ジュード・ロウ、ヴァネッサ・レッドグレーヴ出演☆1800年代のロンドン。著名な劇作家と若き美少年の愛と破滅の物語。オスカー・ワイルドという名前は知っていたが、どういう人物かはよく知らなかった。ホモセクシャルであるだけで逮捕される時代に、若き貴族と愛しあい、投獄されたという人生を知ってオスカー・ワイルドの作品に興味を持った。ジュード・ロウが無垢でやんちゃな美青年にぴったり。美しかったー。 2001.3.2

鬼が来た 
チアン・ウェン監督・脚本・主演、香川照之、澤田謙作出演☆日中戦争の最中、日本軍に占領された田舎町に謎の男がやってきて、日本人の捕虜を預けていく。はじめは、威勢良く「ニッポン男子」を気取っていた捕虜だが、日がたつにつれ、弱気な面を見せはじめる。人のいい村人たちは、その捕虜を殺そうと話すものの、誰も手をかけることができない。人のいい村人と百姓あがりのニッポン人捕虜のやりとりが絶妙。舞台にしてもいいようなテンポのいい掛け合いシーンがたくさん見られた。たぶん、最後は悲惨な結末なんだろうなあ、と予想していても、できれば最後までコメディで終わって欲しい、と願ってしまうのは、人間のサガなのだろう。わかっていたんだけど、ラストの無残な殺し合いは見ていてつらかった。

俺たちニュースキャスター ANCHORMAN: THE LEGEND OF RON BURGUNDY
アダム・マッケイ監督、デヴィッド・O・ラッセル製作総指揮、ウィル・フェレル脚本・出演
☆舞台は70年代のサンディエゴ。人気アンカーマンのロンはカンペだけが頼りの脳天気男。ある日、野心家の女性アシスタントが入ってきたことがきっかけで、男対女の壮絶なバトルがはじまる。
 アメリカでは超有名なコメディアン、ウィル・フェレルのオバカコメディ。アメリカン・ジョークは日本ではあんまり受けないから日本未公開でも仕方ないかも。ジャック・ブラックやティム・ロビンスなど、スターがカメオ出演してるのも見もの。2005.12.24 参考CINEMA:「スリー・キングス

オレンジ・カウンティ
ジェイク・カスダン監督(ローレンス・カスダン監督の息子)、コリン・ハンクス、 ジャック・ブラック、シュイラー・フィスク(シシー・スペイシクの娘)、ジョン・リスゴー、ケヴィン・クライン出演
☆オレンジ・カウンティという田舎町で暮らす優等生が、作家になるためにスタンフォード大学進学を希望する。ところが、学校の教師に成績表を間違えられて不合格に。青年は大学に入るために奮闘するが…。
ヤク中の兄、酒好きのだらしのない母など、クセモノ揃いのまわりの人間のキャラがケッサク。コリン・ハンクスはちょっと頼りない優等生役にぴったり。日本でいえば、妻夫木聡だな。二世監督&二世役者という坊ちゃん嬢ちゃんオンパレード映画にふさわしい、癖のない軽いホームコメディだった。2003.8.26

女と女と井戸の中 THE WELL
サマンサ・ラング監督、パメラ・レーブ、ミランダ・オットー出演
☆オーストラリアの女性映画。田舎の一軒家で病気の父と暮らす中年女性ヘクターのもとに、若い娘が家政婦としてやってくる。厳しい父との暮らしに疲れきっていたヘクターは、奔放な娘に対して恋心に近い感情を抱く。
 堅物の中年女が奔放な娘に翻弄される前半はありがちな話だったけど、車で轢いた男を井戸に捨ててからの後半は、ぐっと心理サスペンス色が濃くなって楽しめた。
 青いもやもやした映像が、二人の女の間にある疑念を表している感じでよかった。
 日本語のタイトルがgood! 原題はただの「井戸」だけど、どんな映画だろう、って想像を膨らませられるナイスな邦題だ。2005.12.3

女は男の未来だ 女は男の未来だ Woman is the future of man
ホン・サンス監督、ユ・ジテ、キム・テウ、ソン・ヒョナ出演
☆映画監督志望のホンジュンは恋人ソナと別れ、アメリカに留学。その後、ホンジュンの後輩ムノはソナに近づき関係を持つ。7年後、再会したムノとホンジュンは、それぞれソナの思い出に浸りながら、酔った勢いでソナに会いに行く。
 一人の女と二人の男。典型的な三角関係のドラマを、ホン・サンス監督らしく淡々と描いていた。
 男に寄りかかるしか能のなかったソナが、7年後にはしっかり成長して、男二人より大人になっていた。年を追うごとにしたたかになっていくソナと、大学講師になっても相変わらずのダメ男、ムノが対照的に描かれていて面白かった。つまるところ、男の多くはロマンチストで、ほとんどの女は現実主義者、ということなのだろう。
 これといってドラマチックな展開はないんだが、ストーリーや映像が巧みに構成された上質の映画だった。2004.10.11 釜山日記はこちら 参考CINEMA:「豚が井戸に落ちた日」「テイル・オブ・シネマ」「浜辺の女

女はみんな生きている
コリーヌ・セロー監督、カトリーヌ・フロー、ヴァンサン・ランドン、ラシダ・ブラクニ出演
☆パリに住む中流家庭の夫婦が、ある日、男たちに暴行され逃げる娼婦に遭遇する。夫は「助けて」と叫ぶ娼婦の目の前でドアをロックしてしまう。妻はその娼婦のことが気になり、入院先を突き止める。封建的で家事を何もしない男たちが、女の反撃にあうコメディ。
 フランスというと発展的な男女関係をイメージしていたのだが、日本とあまり変わらず、男たちがとことん封建的だったのに驚いた。本国でもヒットしたということなので、やはり国は変わっても、男はどこでも同じ、ということなのだろうか。 この映画を見て、男性陣はどう思うのか、聞いてみたいものである。
 フランス映画にしてはめずらしく、単純に笑える映画で好感が持てたが、途中、娼婦の波乱万丈の半生を回顧するシーンが長すぎて、ちょっとだれてしまった。もっと、生活に飽きた主婦と夫、息子の関係を膨らませてほしかった。2003.12.28 参考CINEMA:「ベニスで恋して」(イタリア映画だがテーマが似ている)

踊る大捜査線 THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ! 
織田裕二,柳葉敏郎,深津絵里,水野美紀,ユースケ・サンタマリア, いかりや長介ほか出演
☆テレビシリーズは大ファンだったが、人気が上がって映画シリーズになってからは、内容も薄っぺらくなってしまった感じ。これが、大ヒットしたあの作品??と、疑いたくなった。まだパート1のほうが面白かった。撃たれて生死をさまようのもレギュラーの持ち回りみたいになってるし。ただ、和久さんのシーンだけは、亡くなってしまったということもあり、ちょっとホロッときてしまった。それだけが救い。織田裕二には、このままアクションスターになってほしくないんだけど。。。2004.7.31

オペレッタ狸御殿
鈴木清順監督、チャン・ツィイー、オダギリジョー、薬師丸ひろ子、由紀さおり、山本太郎、高橋元太郎、平幹二朗、美空ひばりほか出演
☆この世で一番美しいのが、自分ではなく息子・雨千代と知った安土桃山は、息子を森に捨てるが、そこで雨千代と狸御殿の姫が恋におちる。
 清順監督の奇妙奇天烈ワールド全開。紙芝居の中に役者が入り込んで、歌ったり踊ったりしてるような手作り風の作品だった。「わけわかんねー。変だけどおもしろーい」というのが率直な感想です。観客をいい意味で裏切り続ける清順監督には頭が下がります。
 タヌキ顔の薬師丸ひろ子が適役。チャンツィイーは顔は仲間由紀恵に似てるんだけど、表情豊かでかわいかった。タヌキの武器が腹鼓だったり、発砲スチロールで作ったような安っぽーい黄金のカエルが救世主っていうのが笑えた。ただ、もうちょっと歌のシーンをたくさん見たかったなあ。2005.10.20

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